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水流士-因子を解く-  作者: 小野里
- 新人研修編 -環境業務-

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第106話:固有振動数

 


 藤宮はこっちに向かってくる八剱に顔を向け声をかけた。



「八剱くん、何かありました?」



 八剱は藤宮の問いかけに応える。



「いや、急に獅子子さんが飛び出していくから何事かと……」



 藤宮は八剱に事情を説明していなかった事に気がつきとすぐさま説明を始めた。



「あのですね、実はこの土砂崩れから骨壷を発見しました。そこから怪我するから軍手いりますねって話から隠者に軍手借りに行こうになりました」



 藤宮の説明に八剱は納得した様子で「なるほど」と呟くと話を返した。



「実はこちらも色々原因になりそうな所は確認できました。この水源地、川が二つに別れていて湧水が流れているみたいなんですが、片方が何かに詰まっているようで」



 藤宮は八剱の話を返した


「詰まっているとは?」


 八剱は藤宮の問いかけに応える



「石の間から川の水が少量流れているみたいなんですが……石と木々が詰まっているかつ、土砂崩れで川が潰れかけていて。石と木々をどかして水がどうなるのかやってみないとなんともなりませんね……」



 藤宮は八剱の話を聞くと「そうですか……」と呟き、少し黙って考えていた。


 八剱は藤宮と璻の後ろにある土砂崩れをキョロキョロと見ると2人に声をかける



「あっ!そうそう藤宮さんと龍後さんはどうです?骨壷以外何かありました?」



 八剱の質問に璻は応えた。



「この土砂崩れの中に片面に凹凸がない石が多く、藤宮さんに報告したら墓石じゃないかって話になり」



 璻から"墓石"と言う言葉を聞いた八剱はなぜか酷く驚くと思わず言葉が漏れ出た。



「はっ……墓石ですって?」



 なぜそんなにも八剱が驚くのかわからなかった璻は深く頷き「はい」と応えると八剱は急に手で頭を抱え少し落ち込みながら璻に返事を返した。



「マジか…だとすると相当めんどくさい案件ですよ」



 頭を抱える八剱に対し見かねた藤宮は声をかける



「その可能性が高いので八剱くんに墓石見てもらおうって話を今さっきしてましたね。璻さん、見つけてある石取ってあります?八剱くんに渡してもらえますか?」



 璻は頷くと八剱に石を見せた。



「こっ……こちらにあります。これですね。八剱さん手出してください」



 八剱は璻の目の前に手を広げる待っていると…璻の両手がギリギリはみ出るくらいの大きな黒い石を持っていた。いかにも10キロ以上ありそうな重い石に見える。女性が持つには苦労する重さだ。


 八剱は驚いた表情をすると璻に思わず声をかける



「ばっ……バカじゃねぇの?」



 八剱の肉眼では璻の足元の周りに小さい墓石のかけらがいくつもあるのが確認できる


 璻は言葉をかけながら石を八剱に手渡そうとする



「墓石ってこんなにおっ……重いんですねっ……」



 璻の言動が理解できなかった八剱は頭の中で璻の行動理由を考えていた。


 ……なぜ?わざわざそんな大きな石を選んで他人に持たせようとするのだろうか?単にバカなのか小さい石に気づいてないのか?……


 

 璻は八剱に大きな石を渡すと八剱は声が漏れ出た


「おっ……も…無理…」


 そういうと八剱は一旦しゃがんで大きな石を地面に置いた


 璻は八剱の貧弱さに呆れると言葉をかける。



「墓石なんで重いのは当たり前。貧弱ですよ」



 八剱は璻にツッコミを入れる



「龍後さんもっと小さい石ください。これじゃボケてくれって言わんばかりの重さです」



 八剱の言葉に璻は思わずツッコミを入れる



「八剱さんに墓石でボケろなんて頼んでませんよ!墓石に失礼じゃないですか!小さい石ですね。ちょっと待ってください。今探しますから」



 そういうと璻はあたりを探し始めた。


 八剱は深くため息を出すと璻から受け取った墓石を手でじっくり触りながら何かを確かめるように墓石を見つめた。



「確かに……これ墓石か石碑ですかね?触っただけでは撥水加工しているのかわからないので音叉で石の中にある水分子の振動を見ないとなんとも……」



 璻は不思議そうな表情で八剱に問いかける。


「巨大音叉使って振動させるんですか?」


 八剱は頷くと璻に応える



「まずこの石の固有振動数を見ないといけないんですが……この石、大きすぎて水分子見にくいですよ」



 璻はキョロキョロしながら周りを確認し手のひらに乗るくらいの黒く片面に凹凸のない綺麗な石を発見した。


「これどうですか?」


 璻は八剱のすぐ後ろにあった片面がきれいに削られている石を拾うと八剱に渡した。八剱は璻から石を受け取るとじっと見つめては手で触り凹凸を確かめる。



「墓石?みたいですね。これでやってみますか」



 八剱はポケットから機械を取り出すと石に小さい器械のような物をつけた。


 藤宮も不思議そうにすると八剱に問いかけた。



「今、墓石につけたのなんですか?」



 八剱は「ああっ……この事ですか?」そういうと藤宮は相槌をするように深く頷いた。


「見たことないなと……」


 八剱は嬉しそうにしながら、機械の説明を始めた


「これは固有振動数を計測する機械です」


 八剱の言葉に聞き覚えのある言葉だと認識すると頭の中で記憶を振り返る。


 ……固有振動数?なんかその話、誰か言ってたな……


 その瞬間なぜか頭の中から九鬼の声が聞こえてきた。



「あのな。地球上には全て"固有振動数"ってものが存在するんだよ。必ず、物にも人にも植物や動物にだって固有振動数が存在する。俺の一族は水の流れのなかでバランスが悪い水分子を瞬時に判断し振動させ、固有振動数のバランスを整えるんだ」



 ……あっ……そういや九鬼さんが言ってたっけ………



 固有振動数は地球上の誰もが"固有振動数"を持っている。だが木も石も例外ではない。その事を身近に意識する事すらない現代に璻は少しだけ腹立たしさと同時に自分の未熟さを感じていた。


 璻は思わず八剱に声をかける


「石の固有振動数を意識した事なかったですね…」


 

璻の問いかけがツボに入り八剱は唐突に笑い声を上げた



「あははぁぁぁっ〜!龍後さん何言ってんですか。そりゃっ〜常に意識しながら生きる人の方が稀ですよ。昔は固有振動数を計測する機械が重くて運べなかったらしいですけど、今はだいぶ小型になりました」



 藤宮は八剱に質問をする


「これつけてどう測るんです?」


 八剱は藤宮の質問に応える。


「測り方は…この石に違う石を打ちつける!」


 そういうと八剱は足元にあった別の石を拾い機械をつけた石に打ち付けた。石の音がよく響き渡る。八剱は機械をつけた石に数字が表示されていることを確認すると八剱は嬉しそうにしながら璻と藤宮に機械の数字を見せた


「ほら、数字出たでしょ?5.3kHz」


 璻は八剱の言葉を聞き返した。


「この5.3kHzってこの石の固有振動数ですか?」


 八剱は頷き応える



「そうです。これに巨大音叉で音を当て水分子の振動を整えて、高濃度のフッ素化合物の可能が高いなら特殊な光を当てて濃度を確認しなきゃいけないですが……その場合、土にも高濃度のフッ素化合物があるか確認する必要がありますね。そこは水流士の管轄外になります」



 璻は八剱の発言に疑問に思う



 ……水流士に管轄外とかあるの?……



 璻は八剱に問いかけた。


「えっ、初めて聞きましたよ。水流士に管轄外とかあるんですか?」


 八剱は璻の質問に応える



「なーに言ってんですか?ありますよ。そりゃ水流士が全部管轄してたら、潰れますし水流士自体、適正がない人間しか出来ない職業ですからね。人や物に流れている水分子の調査と調整が主な仕事ですが地層となると隠者と共同して進めなくてはいけないです。地層から水分子を調べるにはかなりの数の水流士が必要になります。そんないっぺんにスケジュール組んで水流士を集める方が無謀ですよ」



 璻は少し考えて八剱に質問をする



「もしですけど。その土地が日本にとっても世界にとっても大事な土地だった場合どうするんです」



 八剱は笑いながら応える



「あーありますね。日本には2つ、潰れたら全世界に影響が出る場所があります」



 璻は真剣な表情で八剱に問いかける。


「どこですか?」


 八剱は難しい顔をしながら応えた



「そりゃ言えませんよ〜守秘義務なんで。ただヒントを出すと火山、もう一つは水が湧き出る場所です。どちらも外国資本に買われそうになったり旧石屋が汚染物質流したりでしっちゃかめっちゃかにされて、それ以降から隠者や地元の人たちと協力してその土地を守っていこうって方針になりました。今は隠者が守ってますよ。まぁ、この土地も大事ですけど、全部ここから治すってなると数年はかかりますね。特に高濃度のフッ素化合物は分解に時間がかかりますから」



 璻は八剱の言葉を聞き少し落ち込むと返事を返した。


「そうですか……」


 藤宮は落ち込む璻に声をかける


「今日は調査の段階なので今日で全て終わるわけでありませんよ。あくまで原因の調査が今日の目的です。何かわかっただけでも今日は収穫があります」



 藤宮の言葉に璻は軽く頷いて返事を返した。


 八剱は石から固有振動数を測る機械を外し藤宮と璻に声をかけた


「はい。じゃあ今から音叉で見るんで」


 そういうと八剱は璻に石を渡した。


。:*:★。:*:★━━補足ポイント━━★:*:。★:*:。


・固有振動数は地球上の誰もが"固有振動数"を持っている


固有振動数はこの地球上に存在するもの全てにある振動数を指します。この時代では人間や動物の臓器ごとに固有振動数があることが論文で掲載されると治療の幅が広がり世の中の発展に大きく貢献しました。


・日本には2つ、潰れたら全世界に影響が出る場所がある

八剱が話していますがこの2つは水と火を司っている場所になります。

2050年では重要な場所が潰れると大陸中で地震が起き日本はおろか世界中の水は一瞬でなくなくなることがわかってから隠者が死守しています。


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。:*:★。:*:★━━━━━━━━━★:*:。★:*:。

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