第104話:後は野となれ山となれ
あまりに真面目な話をする八剱に対し璻は八剱に言葉をかけた
「なんというか…八剱さんって案外クソ真面目に考えているんですね」
八剱は璻の言葉が気に食わなかったのか思わず言い返す
「クソは余計ですぅ〜変に真面目な所は愛嬌という事にしといてくださいよ!それに自分には無い広い視点で物事を考える事って興味深いじゃないですか!こういう議論は常に新しい発見がありますし、ずっとしていたいですね」
獅子子は話し込んでいる八剱、藤宮、璻に声をかける
「はいはい〜もうそのくらいで。業務中だぞ?早く周りの環境を調査しつつ水が流れなくなった仮説を立てなさいな」
藤宮と八剱は同時に「へぇーい」とやる気がない返事を獅子子に返す。八剱は片手で巨大音叉を持ちながらその辺をプラプラと散策し始めた。
璻は本殿の奥を指を指すと獅子子に問いかけた
「ちなみに獅子子さん、あの本殿の奥にある土砂崩れになっている場所って近寄ってもいいんですか?」
獅子子は璻の質問に応える
「いいけど気をつけてね。土砂崩れになるかもしれないから」
璻は軽く頷き「はい」と真剣に返事を返した。
藤宮は本殿の近くを歩き回り、八剱は川を覗きこみ不自然な箇所を探し始めた。璻は本殿の奥へ歩き土砂崩れの場所まで歩く。
じっと目線をあげ山の斜面を見つめた。山の斜面が不自然に切り取られているのがわかる。
……人工的に山を削ったのか?……
土砂崩れの周りをよく見ると木が人工的に切られ倒れているのが何本か見える。璻は土砂崩れの場所を確認するとある物を発見する。
表面の凹凸の少ない石がいくつものその場に散らばっていた。
璻はその場にしゃがむと凹凸の少ない石を拾い確認する
……なんでこんな所に凹凸の少ない石がいくつもあるんだろうか?しかも……
璻は石を置き、その近くにあった土を手で触ってみることにした。
「こんなにも土は乾いている…森の中なのに」
サラサラとしている土を手で触れると水分が少ないことがわかる。
山の土は湿っている事が多い、特に川がすぐそばに流れている土地は土は水分が多く湿っている。土の栄養がないか…あるいは何らかの原因で土が暖められ水分がない状態が続いてる。そんな所だろうか?
璻は頭の中で考え始めた
……こんな森林だらけのこの土地なのに土は異常に乾いている。もっと湿ってていいはずなのに。アスファルトの多い都会だと土は渇き切っているのはわかるがここは森で標高も高い場所。石も土も全て不自然。小さな要因が積み重ならなければ土砂崩れという大きな問題にはならないはず……
璻は触った土を戻そうとした瞬間、何かを発見した。
白い陶器のような物が見える。
その近くには他にも不自然に削られた灰色の石が散らばっていた。疑問を感じた璻は土を元に戻し素手で周りの土を掘り始めた。璻は必死に掘り進めるとお茶の缶のような陶器が見えた。ようやく掘り終わると全体がようやく形を表した。
土を払い、周りをじっくり見てみると少し大きいお茶の缶のような陶器に見える。
ゆっくり、蓋を開けて確認すると白い棒のようなものがあるのがわかった。
どうしたらいいかわからなかった璻は近くにいた藤宮に声をかけた
「藤宮さん、なんか……お茶の缶みたいな白い陶器を見つけたんですけど、これってなんですかね?」
藤宮は璻に駆け寄ると白い陶器をじっと見つめ、陶器の蓋を開けた。
中をじっくり見つめる藤宮はこれが何かわかったのか唐突に蓋を閉めた。
「璻さん慌てないで聞いてください。これ骨壷です。しかも大きさからして人骨です。絶対に骨壷落として割らないでくださいね」
藤宮の話を聞いた璻は慌てて骨壷を地面に置いた
「ヒィィ〜!なんで早く言わないんですか!」
藤宮は大声で獅子子に声をかけた
「獅子子さん〜こっち来てもらってもいいですか?」
獅子子は藤宮の問いかけに応え藤宮の元へと歩き出した
「はいはい〜今向かうわ」
獅子子が藤宮の隣に着くと、藤宮と璻が顔を引き攣らせながら獅子子を見つめた。
不自然に思った獅子子は2人に問いかける。
「どうしたのさ?」
藤宮は獅子子に唐突に骨壷を渡した。
獅子子は藤宮から骨壷を受け取ると藤宮は獅子子に声をかける
「獅子子さんこれ骨壷です。璻さんが見つけました」
獅子子は慌てる様子もなく藤宮と璻に問いかける
「どこにあったの?」
璻は獅子子の問いかけに応える。
「石が崩れている箇所を掘ったら出て来ました。他にも不自然な形の灰色の石や黒い石がちらほら見えます」
獅子子は少し考え込むと璻と藤宮に声をかける
「他に骨壷がないか調べるか……土砂崩れで墓が壊れたかもしれない」
璻は獅子子に問いかける
「この出てきた骨壷はどうするんですか?」
獅子子は璻の問いかけに冷静に応える。
「骨が入っている場合はここの土地の所有者に返すか?DNA鑑定で子孫を探して引き取ってもらうか?あるいは集合墓地に入れるかだな?ここにいてもこのご先祖は報われないからね。子孫を探して供養した方がいいわね」
璻は獅子子に問いかける
「ここ墓地だったんですかね?」
獅子子は璻の問いかけに応える
「確か…ここに川が流れていた時に墓があったとは聞いていたけどある時無くなったとか言ってたね。こんなに雑に骨壷があるとなると……土砂崩れで墓が崩れその原因で川の水が堰き止められた可能性もある」
璻は獅子子に問いかける
「ちなみに…なんですが、この骨壷があるあたりの土は異様に乾いていましたし山の地層が不自然に切り取られていました。これは何か人工的に崩したあとに見えます。この上って何か工場とか建物ありますか?」
獅子子は苦笑いしながら璻を見て応えた
「鋭いね…さすがだわ。この上は工場の際に山を切り崩して従業員の休憩場所があったわ。なぜか、その休憩場所では体調不良になる人が続出したって話だけど」
藤宮は璻と獅子子に声をかける
「とりあえず、俺と璻さんは骨壷探しますよ。獅子子さんはこの骨壷預かっておいてください。墓が水を堰き止めている原因だとしたら、亡くなっている連中に自然管理なんとかしろよ。なんて物理的に無理な話になりますよね?今ここに生きている人間が問題を解決しないといけないですから」
藤宮の発言はごもっともである。
結局、生きてる人間が死んだ人間の尻拭いをし、責任を取らねば人間も自然も地球も壊滅する。
獅子子は藤宮の提案を受け入れると言葉をかけた
「わかった。この骨壷は預かっておく。無理せず危ないと思ったら逃げなさいね」
獅子子の言葉に藤宮と璻は「はい」と返事をした。
璻は気乗りしない表情で藤宮に声をかける。
「藤宮さん骨壷探しやりましょうか……」
璻は大きくため息を吐くと藤宮は璻を気にかけるように声をかける
「心配しないでください。何かあったらなんとかしますから」
頼りない藤宮の言葉に璻はあまり当てにしないようにしようと心に留めた。
璻と藤宮は一緒に本殿の奥へ向かった。
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・山の地層
山を削ると埋め立てても自然は元には戻れません。それは一回手を加えると地層のバランスが崩れるからです。
何回も人間が手を加えた土地は土砂崩れを起こし、人間が不自然に作り変えた場所を変えていきます。
ちなみに今後人間が埋め立てた土地などは自然災害が起こりやすく土地自体が崩壊し人が住めなくなっていきます。
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