ニャ~・・・212
「レイ、行って来ます」
「行って来るね」
夕方に見付けた宿で1泊して、朝食を食べてのんびりした後に、ミヤちゃん達はお菓子屋さんに行った。エレノアさんの為に美味しいくて弟子になりたいところがあると良いな。
久しぶりにのんびりできる僕の予定は、ふかふかのベッドで古代語の調べものをした疲れを取る事。寝たい時に寝て起きたい時に起きる、自由な猫の一日を満喫するのだ。そう、頭の疲れを取るのだ、猫が本を読み続けるのには大変な苦労が有った・・・・・・誰でも飽きるだろう事を僕がしたんだ、猫だけに余計疲れた筈だ。
明日がオリビアさんの結婚式、街をあげて何かをする気配はない、お祭が終わったばかりだし、王女様の結婚式は僕達街の者には関係ないのかも、僕は猫だから余計だニャン。
結婚式では、驚くサプライズがあるんだよね、皆が驚くところを僕も見たいけど、結婚式に忍び込むのは止めておこう。
明日の為にその一、疲れを取ってのんびりだ。
「ニャ~≪ああ~、僕魔法が使えるかもだよ。練習したいけど、宿屋さんに何かあるとミヤちゃん達に迷惑が掛かる、そうだ寝ながら、魔法の呪文を考えよう・・・・・・思い出そうか? ヒントはファイヤだ、試す呪文を考えよう≫」
憶えている英語を並べて見よう、ファイア・ウォーター・アイス・サンダー・ストーン・ウィンド・ソイル ・ライト・リカバリー・・・・・・この位かな、もっと凄いのもありそうだけど、先ずはこの中で使える様になりそうなのを練習したいな。
これ以外だと属性の上位版みたいなのと補助魔法だ、ライラ先生が使える足の速くなる呪文はピエ・ラピッド(足を速く)だったけど、ラン・ファーストが足が速くなるだな。スピード・アップも試してみよう。
簡単な単語はビッグとスモールだな、他にもありそうだけど難しいのは覚えていないな。
≪ふふふ、ありがとう、ミルクは喜んでいたわね≫
≪シルフィ、さんありがとう。魔法を使える様に頑張ります≫
≪色々使えるといいわね≫
何処から聞こえたのか分からないシルフィさんの声、美味しいお茶を飲んで喜んでいたのがエルフの王女様なんて想像もできないな、エルフの里には何人のエルフさんが住んでいるのかな。
お皿の干し肉を少し食べて、寝ながら英語の発音の練習だ。
声に出す事は出来ないから、頭の中でやるぞ。
「早く結婚式終わらないかしら」
今日はオリビアさんの結婚式の日、僕達はそれぞれのベッドに横になって時間が過ぎるのを待っている。
「何でオリビアさんの結婚式が近いからて、お店が休みなのよ。全然弟子入りのお店が探せないわよ」
露店と市場の少しの店しか営業してなかったらしい。昨日と今日は出歩いても閉まっているお店が多いそうだ。
結婚式が終わって、夕方頃になると沢山のお店が仕事始めの様にお店を開けるそうだ。
お昼過ぎの結婚式が終わると、街全体がお祝いムードに変わるんだとか。今この時間は、各家庭では特別な料理を用意しているとか、開いている酒場も静かにお祝いをしているらしい・・・・・・静かに出来ないと思うけど、皆がひっそりとお祝いをするのが慣わしなのかも、その代わり夜は凄く街全体がうるさくなるそうだ。
お祭の後の結婚式、これが終わらないとエレノアさんのお菓子の一流職人の夢が近づかない。
お城のお菓子職さん達のようになりたいと思ったなら、その手助けをしてあげたい。ラガルトさんに頼めば何とかしてくれそうだよな、次期国王様なんだからね。
ちゃんと歩けるようになるまで無茶をしないと良いな。
「鐘の音が聞こえるよ、始まるのかな」
「綺麗な音ね、鐘の音を聞くのは久しぶり」
「エレノアさんは聞いた事があるの?」
「誰でもあるわよ、お祭りの時と領主様の家族の結婚式があった時とかね」
お祭りの時は朝に数回、夕方に数回なっていたな。何処で鳴っているのか知らないけど、微かに聞こえていたから遠くの方だったんだ。
「お祭りの時は鳴ってるね」
今の鐘の音が結婚式の始まりなら、ラガルトさんの立っている姿のお披露目に皆が驚く時だな。
「凄い、沢山鐘が鳴ってる」
カラ~ン、カラ~ンと聞こえる、祝福の鐘の音は大きい音だ。始まったんだ、オリビアさん、結婚おめでとう。
「ニャ~≪フレ君も大喜びだな。魔法を覚えないと2人の結婚式はなかったんだから≫」
お城に滞在していたのに国王様と王妃様を見かける事はなかったな、もし通路を歩いていたら、凄い数の使用人を引き連れて歩いているんだろう。
お城の通路では数人しか会った事がないな、お庭のあの人達は元気かな、喧嘩しても止めてくれるミルクさんはいないんだよな。
「お菓子をたべよう」
「お祝いだ」
「明日から頑張るぞ」
「ニャ~≪毎日、頑張っているぞ≫」
そうだ、行かねばならないところが、作戦がそろそろ成功して欲しい。
結婚式の次の日、僕を首に巻いたメグちゃんがずんずんと歩いて行く。行きなれたギルドはもう少しだ。
「ギルドの看板が見えてきたよ」
僕のお願いで朝食を食べた後に少しのんびりしてからギルドに来た。
「何の用で来たのよ、秘密にし過ぎよ」
「ニャ~≪秘密は秘密ニャン、作戦は成功するかな≫」
「ギルドの後は皆付き合ってよね」
「今度こそ美味しいお店を紹介するよ」
メグちゃんを先頭にギルドに入る僕達が見たのは凄い数の冒険者だ。
「何が起きているのよ」
「掲示板の前に凄い数の人が集まってるね、何かあるのかな」
「また、高い報酬の依頼が有ったりしてね」
そうだなエレナさんの言う通りだよ。会話をよく聞くとそんな様な事を言っている。
何故かひそひそ話のように小声で会話しているよ、皆が。
「受付に行けばいいのよね」
「ワンワン」
「来たわね、凄い事になっているわよ」
受付のお姉さんが笑顔で僕達に話し掛けてきた、それも小声だ。
「僕の名前はレイ、荷物は届いてますか?」
僕は自ら届いている物が無いか聞いた・・・・・・作戦が上手く行っていますように。
「おい、レイだってよ。同じ名前の女の子だな」
「子猫のレイだからな、女の子に用はない」
「ああ、ここにいるかよ」
「街で、また、猫探しだな」
ギルド内の冒険者の人達が僕の事を話している、また掲示板に何か貼ってあるのかな?。
「もしかして、初めて聞いたかもレイちゃんの声。お荷物ね・・・・・・じゃないのよ、ちょっとこっちに来てよ」
僕はカウンターに乗っているので、ミヤちゃん達がお姉さんの顔の近くに近付いた。内緒話があるんだな。
「何だろう?」
「何かな?」
「私もかな?」
「例の依頼がまた来たのよ、それも今度は金貨1枚よ。どうしてなのよ、貴方達は何者なのよ」
「冒険者。またなんだ」
「冒険者。今度は金貨1枚なんだ、両替してくれないとお菓子が買えないんだよ」
「お菓子職人? 凄いわ、今度は誰が探しているかしら」
「猫冒険者、ラガルトさんかな」
「レイ、ニャンはどうしたのよ」
「ここを出てからかな、今は静かに静かにだからね。それで、お届け物は来ていますか?」
そうだよ、依頼はどうせ門番さんの所に行けばいいんだよ、それよりも届いているか確認の方が大事だよ。
「届入れいるわ、レイちゃん宛ね、ちょっと待って」
やった、来てるよ、予定よりも長く王都に居れて良かったな。危うく受け取れないところ頃だったよ。
「ところで何が届くのよ」
「そうか、荷物を受け取りに来たのね。シーラスからか、送るのに幾ら掛かるのかしら」
「レイちゃんにお届け物か、ジャンからなのかな、それともお母さんから。元気にしてるかな」
早く来い、早く来い、あんまり待たせると溶けちゃうぞ。こんなに楽しみな事は滅多にないよ。
頭の中で変な替え歌を歌ってしまったぞ。長い作戦だったな。それも、相手次第なんて。
「お待たせ、受け取りの署名は代わりにお願いね」
僕用のペンは家に置いてきたからね、代筆が必要だ。
「大きい木箱だ、手紙もあるよ」
「ここに名前を書けばいいんですか?」
「大きいわ、シーラスからレイちゃんにか、洋服なら小さいからこんなに大きくならないわね」
ふ、僕は小さいからねこの大きさなら四、五十着は余裕で入るな。僕の洋服の生地の面積は・・・・・・大きい折り紙より少し大きいぐらいか、広げるとあの位なのか。
「荷物か少ない、エレノアさんが持ってね」
「了解です」
確かに大きい、ミヤちゃん達が誕生日に木箱を持って街の中でお菓子を買った時の木箱は、ミカンの段ボールより少し小さいぐらいの大きさ、目の前の木箱はミカンの段ボールにミカンが沢山有りそうと思えるぐらいの大きさだ、高さが少し長い。
「さあ、お店に行こう。今度こそやっているよ」
「あの、みんな、いつもの依頼よ。ほら、金貨1枚の」
僕以外の皆は受付から外に出る為に移動し始めた、そこにお姉さんが小声で話し掛けくれた。
僕が大事だったのはギルドに来て木箱を受け取る事、その後にエレノアさんの弟子入りのお店を探すお菓子を食べるツアーだった。
木箱を受け取ったミヤちゃん達が受付に戻ってお礼を言った。
「お店は後ね」
「また待たされるのか。金貨1枚だからね・・・・・・まだ見た事がないよ、金貨を」
「くれぐれも、秘密にして行くのよ。変な騒動が起きない様にね」
それはそうだな、金貨1枚だ、この金額を知ったら街中の人が僕を探すのに仕事もしないで探すだろう、凄い騒動になるのは想像出来るな。冒険者しか知らないのが少し救いだな。
この頃は犬のふりをする事が多いな。
「はい、ありがとうございます」
「署名を貰って来てね」
「どうも」
「ありがとう、受付のお姉さん、荷物ちゃんと受け取りました」
皆はお礼とお辞儀をして今度こそギルドを後にした。僕も台の上でお礼とお辞儀をした、優しく撫でられた僕は急いで皆の後に続いた。
「ああ、今日も何かあるのね」
お城から聞こえる鐘の音と、声援の様な音が聞こえる。
門のところで門番さんとお城を眺めるようにして、何か起こる雰囲気を感じていた。
エレノアさんが嘆くのも無理はない、この街に着いて、お祭の後に何日もあったのに結婚式の翌日の今日まで働くお菓子屋さんがまだ決まってない。
システムが今一僕には理解できないけど、人手不足で雇いたいお店が見付けられなければ、弟子入りも仕事も無い。
求人広告でもお店のドアに貼ってあれば探すのに苦労しないんだけどな。
「ケーキとクルクルクッキーは残っているかな、食べたいな」
最近では沢山食べる日が続いていた、今日は少ししか食べてないんだよな。珍しい事に。
「お待ちしてました」
「どうぞ、お部屋にご案内します」
「????」
ミヤちゃんが不思議がっている。それはそうだな、僕達が報酬に釣られてお城に来たのは3回目、今までは見張りの人がお城まで案内をして、使用人の人が僕達を部屋まで案内してくれた。その時もこんなにお城のドアの所には人は居なかった。
「ニャ~≪20人は居そうだけど、誰を待っているんだろうな≫」
「ご到着です、レイ様、ミヤ様、メグ様、エレノア様がお越しになりました」
あれ、僕以外のミヤちゃん達の名前を知っている、やっぱり僕達を知っている人が依頼主だ。
「お荷物をお持ちします」
「どうぞお渡しして下さい」
「直ぐにお部屋にご案内します」
「え、これは」
「夕食の時間までお部屋でお寛ぎ下さい」
「お呼びに参りますので」
何人もの人達に声を掛けられ、荷物を奪われ、通路の両脇にも沢山のお城の使用人が並んでいた。その人達が僕達が通ると次々にお辞儀をしていた。
そうか、足が治ったラガルトさんが僕達の為にこんな事をしてくれたんだな。
「凄い歓迎だね。お部屋に着いたらお菓子は有るのかな」
「はい、お持ちしますよ」
「ありがとう」
メグちゃんの呟きに近くに居た使用人・・・・・・メイドさんが返事をしてくれた。
「皆様のお部屋は3階になります、どうぞ足元にお気を付け下さい」
「今日も美味しいね」
「サクサク感が素晴らしい」
またまた案内された部屋はいつもの部屋だ、部屋まで来る通路も同じところを通ったので間違いない。
夕食前の部屋は、寛いで待てる来賓室だった、この部屋を見慣れたので、落ち着く、和む、馴染みの旅館に来た感じか。いや、馴染みの銭湯に部屋付きだな。
部屋のドアを開けると、ソファーのテーブルの上にはクルクルクッキーが置かれていた、残念な事にケーキは無いらしい。
「まだまだね、このクルクルは見た目が悪いわね。私ならここをこうすると・・・・・・いいのよね」
「ニャ~≪熱いうちにしないと駄目なんだよね、今更しても割れるよ≫」
割れたクルクルクッキーを床から拾うとすぐに口に入れたエレノアさん少し苦笑いをした。
「ギルドから受け取った手紙と箱の中を確認しよう、レイ、自分で読む?」
任せよう、皆も聞きたい筈だ。
「ミヤちゃんが読むニャン、聞いているニャンよ」
「そう、なら代わりに私が読むね」
「楽しみだね」
ミヤちゃんが手紙を取り出した、なんて書いてあるのかな。
「レイちゃん、お手紙ありがとう。それと結婚のお祝いのクリスタルは無事に届きました」
「ローラさんからの手紙だ」
「続きを読むわね。私の知り合いのハリーさんがレイちゃんのお手紙を届けてくれたのよ、ミヤちゃん達のお父さんと同じ名前のハリーさん。お父様の造船所で働くハリーさんは違う街からシーラスに来ていたのね、冬の休みに帰って、レイちゃん達に会ったと聞いて驚いたわ。結婚のお祝いに貰ったクリスタルは宝物になりそうよ、実は私は生活魔法の水属性を使えるの、何かの役に立つと良いわね。そうそう、レイちゃんから頼まれたメグちゃんの大好きな大人の味を木箱に沢山詰め込んだのよ。暑くなる前に食べるのは大変だと思うけど、一杯あるので喜んでもらえると嬉しな。結婚は夏、私は南の大陸に住む事になりそう、勿論シーラスに帰って来る事もあるけれど、今までのようにシーラスに長くいる事はなくなるの、もし南の大陸のガーラスに来たら、遊びに来て下さい。ローラより」
「す・す・す・ご~い。大人の味が届いたんだ、エレノアさん開けて」
僕がメグちゃんを喜ばして聞くのは久しぶりだ『す・ご~い』はとても大きい声だった。
「大人の味か、遂に見れる日が来たのね」
「レイ、大好きよ」
「レイちゃん、大好き」
「レイちゃん、これ何?」
「大人の味ニャン、子供が食べるニャン、大人は食べれないニャン」
確かメグちゃんはこんな感じだったな。
あんなに大きい木箱に全部がチョコレートなのか、食べ過ぎは良くないけど・・・・・・食べ過ぎるんだろうな。
「嬉しい、どうしようかな、こんなに沢山あるのは初めてだよね」
「そうね、メグ、食べていいかな?」
「仕方ありませんね、1枚どうぞ」
「私も食べたいです」
「メグ、ありがとう」
かぶり付いたぞ、ミヤちゃんがとても嬉しそうな笑顔で食べたぞ、それを見たメグちゃんが頷いた。
「では、小さく砕くので、お待ち下さい」
「ええ~、何でよ。ミヤちゃんは1枚なのに」
「大人は少ないと決まりがあるんだよ、それに初めてなんだから味合わないと駄目だよ」
まあ、最初から1枚は味見には多過ぎだな、砕けたチョコレートを少しく口に入れて味合わないと料理人とは言えない。美味しかったら、その後で大きい欠片を貰えばいいんだから。
メグちゃんルールの砕けた欠片はシンシアさんにあげていた欠片よりも大きかった。
大きいのはお母さんじゃないからなのか、それとも沢山あるからなのかどちらだ。
「美味しい、何これ・・・・・・メグちゃん、顔に何か付いている?」
「大人の味ニャンか?」
仕方ない、エレノアさんを助けてあげよう、この会話の流れはシーラスの皆さんしか分からない。
「うん、大人の味よ。凄く大人の味」
「そうです、大人の味なんです。では、この欠片をあげます」
「え??」
分かる、エレノアさんの気持ちは分かるよ、砕けた欠片全部をくれるなら、砕かないでよと思うだろう。しかし、メグちゃんのルールなんだから仕方がない。
「要らないの?」
「いえ、大人の味を食べたいです」
「私も食べる」
今日まで王都にいて良かったな、受け取れないと荷物はどうなるのかな、家にお届けと違ってギルドだからな。
「ニャ~≪作戦は成功した、ローラさんならお金持ちで送ってくれると思ったんだ≫」
ソードさんと同じ事をして貰ったけど、ギルドまで運んで貰えて良かったな。
クリスタルの効果とか手紙に書いたけど、ローラさんは水の生活魔法か、役に立つと良いな。
しかし、ここまで上手く行ったなら、もう一押をしたらミヤちゃん達は喜ぶだろうな。
今からは無理だろうから明日だな。
「レイ、ありがとう」
「レイちゃん、ありがとう」
「はいニャン」
メグちゃんのす・す・す・ご~いが聞けて良かったな。




