クラスみんなで異世界転移!異世界文化は畜生の香り☆
あらすじでそれっぽい事書きましたが、この作品ってコメディーなんですよ。
なんやかんやあってクラス全体が異世界に飛ばされましたが、此処は普通の高校ではなく
超☆高校だったのです。
-----------------------------------------------------------------------------------
「ああ、勇者様方!我が国をお救いください!」
魔方陣が輝き円の直ぐ傍に居た金髪ロングの美しい少女が何故か日本語で言った。
周囲を見渡すと、少女と偉そうに座っている男にその横にいる太った女の3名にフルプレートの騎士が8名。
超☆リーダーでクラスのまとめ役、クラス委員長の池田君がドイツ語で話す。
「ええと、此処は何処ですか?美しいお方」
と、同時に池田君は周囲を見渡す。
クラスメイト以外、全ての人間が首をかしげている事を確認した後にクラス全体にドイツ語で言った。
「よし、ドイツ語が分からないようだ。今後の作戦を決める。望月さんは日本語でこの少女の対応。敵対はせずに明確に言質も取らせないように」
超☆忍者の望月さんを前に出したという事は池田君はかなり警戒度を上げている様だ。
日本語とドイツ語の2か国語で話して相手が言葉の規則性から単語や文法を認識し難くしてるみたい。
「おーけー。場だけ持たせるね」
望月さんが日本語で金髪の少女に対応している最中にドイツ語でクラス全体超☆高速会議を行う。超☆高速会議は1分以内で全クラスメイトの意見を交換し合い、まとめるものだ。これの目的は全体の思考を全員が認識することで今後の行動を決めるものであって多数決では無い。多数の意見が正しい愚民的な思想は誰も持っていないのだ。
「これは拉致である、テロリスト共を皆殺せ」
超☆軍人でロシアの帰国子女のルコビッチさんが靴のつま先をトントンと地面に叩きつける。爪先の隠しナイフがいつでも飛び出る様に準備している様だ。
「拉致である事には同意するが先ず我々の安全を確保した後、闘争か和解かを選ぶべきでは?」
超☆政治家で衛生委員長の増田君が急ぐべきではないとルコビッチさんを制した。
「全員、王を確認したか?不必要に装飾されて本人もだらしなく太っている。この時点である程度この国の政の程度が知れるだろうさ」
増田君と同じく超☆政治家で皮肉っぽく発言したのは広瀬くん。彼らは右翼と左翼だ。
「デュフフッwww異世界で俺TUEEEとかwwww夢にまで見たヌコポォッwwww」
超☆オタクの田中君が発言したと同時にクラス委員長の池田君が田中君を勢いよく指さして言った。
「田中!詳☆細☆説☆明っ!」
「把握でござるwww広瀬氏が言った様に王制が腐敗した国であり自国の利益の為に我々を魔法で呼び寄せた可能性が高いで候www我々には異世界間を渡る過程で物理法則を無視した能力が付与されているっていうwww」
田中君の説明が終わったと同時に高い金属音が響いた。
僕たちクラスメイトは出席番号を元素記号に当てはめたコインをそれぞれ持っている。気体とか液体とかがあるからその元素記号は抜かしているけど個体で取り扱いしやすい元素は貴重金属でもコインにしてる。
この音はタングステンを弾いた音。つまり望月さんからの緊急信号だ。
クラスの全員が黙ってポケットや袖に手を入れる。みんな良く変なのに狙われるので隠し武器を持ってるのだ。
「リーダー。少女の【魔法】で【自動翻訳】が成されました」
「ああ、それは良かった。言葉が通じなくて皆混乱していたんだ」
池田君はドイツ語で少女に対してにこやかに笑みを浮かべる。流石はリーダーだ。超☆高速会議を混乱と言い換えて相手の抱く不信感を無理やり自分たちの痴態にした。これで恥を晒したと自分たちが認めた事になるけど、それ以上は追及されなくなった。それに【自動翻訳】が少なくとも日本語とドイツ語の2か国語を相手に伝える能力があるという事が分かった。完全に僕たちの知っている法則を無視した正に【魔法】だ。
田中君の発言の信憑性が増す。
「ええ、文献と違う言葉を話しておいででしたので私も【自動翻訳】の魔法を発動するのに少し時間がかかりましたわ。望月様の言葉は習っていたのですが」
少女が少し困ったような笑顔で対応する。
この言葉でクラス全員がこの拉致行動は複数回行われている事に気付き、先任者は文献に残る程大きな出来事に関わっていたという事が分かった。
「それは、失礼しました。して、勇者とは何か教えて頂けませんか?」
「ええ、勿論です。今から300年程前・・・。」
少女の話を要約すると、魔族に侵略されそうになっていた人族を異世界から拉致した人間に救わせたという事だった。さも美談の様に語っているがこれは・・・。
「という訳で、私たち王族は勇者様の血を引く勇者の家系なのです」
「つまり、今回も300年の時を経て魔族が進行していると?」
池田君は笑みを浮かべているが彼が激怒している事をクラスの皆は解っている。
「いいえ、今回は魔族ではありません」
「えっ、それはどういう」
「隣国である帝国が侵略してきたのです。帝国の行いは悪逆非道で、奴隷を使い・・・。」
あっこの国終わったわ。随分手の込んだ自殺をするんだなぁ。
ぞわり、とクラスメイトの空気が冷え込む・・・と言う事は無い。自身の感情を態度や雰囲気に出すなんて3流のやる事だ。
『これから貴方を殺します』なんて言外に言っていたら余計な労力が増えるのだから。
「―――――という訳ですっ!最早、悪の帝国の行いを見過ごすわけにはいきませんっ!」
頭の弱い戦士をその気にさせる為の戦前演説の様な説明が終わった。
「王様。直接の問答をお許しください」
池田君の最終確認だ。クラスのほぼ全員が敵勢だと判断している中で数人が最終警告を行う。
「許す」
「お姫様がお話した事に間違えはありませんか?何分、我々は平和な国から来ましたのでお話がどうしても信じ難く」
「違いない」
「・・・・・・・・・・・・そうですか」
池田君が後ろに居る僕たちに右手の指を2本立てた後にそれを左手で握り込んだ。
彼は怒りの余り正常な判断が出来ないのでリーダーの任から一時的に降りるハンドサインだ。
当たり前だ。拉致した癖に奴隷の様に戦争に参加しろなんて、お前たちが悪逆非道と罵った帝国と同じじゃないか。
僕たちを舐めすぎだ。そしてクラス全員を舐めた代償は高くつく。『舐められたら終わり』なのだ。
「はーいっ!昔の勇者様はどうやって女神様に祝福されたってわかったんですかー」
超☆スパイの葉月さんが元気良く手を上げる。人懐っこい性格で相手の懐に入り込むのが得意な葉月さんも明らかに搾取する為に動き始めた。クラスの中でも大人しい子なのになぁ。
「ええ、なんでも【ステータスオープン】と唱えると女神さまの祝福の内容が分かるみたいですわ」
「【ステータスオープン】www」
田中君が間を置かずに呟く。良く分からないけどこの世界について詳しいみたいだしなんか凄い。
「おっwwwおっwwwおっwwwおっwww」
田中君の前に薄いガラス板の様な物が浮遊している。此方からは見えないけど文字が書いてあるのは田中君のメガネが反射している。見た感じアラビア文字かな?にょろにょろしてる。
「勇者様?貴方の祝福は何でしたか?」
「【大賢者】でしたおwww」
「まぁっ!素晴らしい祝福ですわっ!」
⦅皆々様www聞こえますかな?www某の本当の祝福は【支配人】あらゆるものを支配する能力の様ですなwww皆々様についても口に出さずとも、考えるだけで某と会話できますぞwww後、声に出して【ステータスオープン】を唱える必要はナッシングwww無駄にカロリー使ってしまいましたなwwwポテチとコーラを要求するwwww⦆
⦅田中君やっほー⦆
⦅これで超☆高速会議がしやすくなったな⦆
⦅そんな事よりおうどん食べたい⦆
突然脳裏に田中君の声が飛んできたと思ったらクラスの皆の声も聞こえた。
始めて使う能力をこんなにも早く使い熟すのは流石だ。
⦅取り敢えず皆々様には某の考えをお伝えいたしますぞwww⦆
⦅まー、一応聞いておいた方が良いよねー⦆
⦅今晩のごはんどうしましょうね?⦆
なんか皆、初めて携帯電話を買った時に嬉しくて友達に連絡を取るみたいな感じになってる。
僕もちょっと楽しい。
⦅国を消す。出来る限りの財を奪う。以外にナーイwwww⦆
⦅意義なーし⦆
⦅賛成だね⦆
⦅リーダーは?⦆
⦅僕は意見しないで置くよ。リーダーとして感情で考えてはいけないからね⦆
⦅じゃあ賛成の人てー上げてっ!⦆
⦅・・・15人。平氏は反対ですかな?www⦆
⦅うん。僕は反対かな。クラスが平凡になるようにしないといけないからね⦆
そう、僕は超☆平凡。世界でも特筆する才能を持ったクラスメイト達が文化を時代を未来を変えすぎないように、世界がごく当たり前な進化をしていく様に調整してる。田中君が巨大ロボ作って宇宙戦争をやらかしたり葉月さんがスパイ活動で要人全てを魅了して葉月さんの為だけの国家を作らせないようにしたりと結構大変だった。
⦅貴族を全員殺す程度で良いんじゃないかな?それでこの国回らなくなるし。手間も減るよ。財を奪うのは賛成だけどね。後、テロリスト共に伝える祝福は【農夫】とか【戦士】辺りにして欲しいな。確認されたら厄介だから偽装したいけど・・・。⦆
⦅私【世界を欺く】持ってるよー⦆
超☆スパイの葉月さんが答える。
⦅じゃあ皆の閲覧される祝福を変えといて貰って良い?⦆
⦅おっけー・・・。終わったよ⦆
王制の弱点は民衆に学習の機会を与えない事だ。それで御しやすくなるのは確かだが知識階層の人間が全て消えれば勝手に自壊していく。知識の無い民衆に正しい財の使い方が分かる訳無い。
そうすれば、歴史的に僕たちが国を滅ぼしたのでは無く、民衆が知識人を殺害したことによって国が自壊した事になる。今の所、歴史的に見て召喚されたのは【大賢者】と【その他大勢】になってる。【その他大勢】は歴史的に考えて【民衆】だ。未来でフォーカスされる機会は少なくなる。【大賢者】田中君はゆっくり城で過ごして貰って【民衆】の僕たちが動く。
実に平凡な国の滅亡に繋がるのだ。
⦅・・・・・・平君に賛成。結果が変わらずに手間が減るなら楽な方が良い。田中君の能力で城に真空層張ってくれれば携帯核がある。この城程度の範囲なら地下160mまで蒸発するよ⦆
超☆科学者の齊藤さんの一声で今後の行動が決定した。
池田君がロシア語で話す。
「お姫様。我々も【ステータスオープン】を使用しましたが大多数が【農民】か【戦士】になっております」
「そうですか、残念です。しかし、勇者様である事に変わりはありません。是非城でゆっくりしてください」
お姫様は無理に笑顔を浮かべる様にしているのか顔が引きつっている。王様を確認すると頭を抱えている事を隠そうともしていなかった。
⦅池田君、モールス信号を短音0、長音1で話してみて⦆
「お気遣い大変嬉しく思います。我々は少々休ませていただきます」
お姫様は首を傾げている。自分の魔法の効力を疑っているんだろう。
池田君が英語で言い直した。
「失礼、私の世界にしかない言葉が含まれていたようです」
「あら、そうでしたの?」
「ええ、お気遣い大変嬉しく思います。我々は少々休ませていただきますね。それと、地図にこの国の貴族が住む場所を教えて頂けませんか?もし、我々が悪の帝国とたたかう場合の補給線を考えなければいけませんので」
お姫様は王様の顔をうかがう。王様が頷くとお姫様は言った。
「そういう事でしたらご用意いたします。では【大賢者】様が確認にいらしてください」
「ぶひっwww分かったっていうwwww」
⦅ハニートラップ?泣き落とし?田中、後は任せた⦆
超☆喧嘩屋の後藤さんが自分の胸を押し上げて腰をくねらせてケタケタと笑う。
田中君の事を心配して何かがある事を教えてあげたみたい。
⦅デュフフッwwwお任せあれwww我々を舐めた人間に情などナーイwwww⦆
まあ、田中君はクラスでも沸点が低い方だからやると言ったらやる。例外はないって事は皆知ってるから後藤さんの言葉は本当に田中君の事を思ってだ。愛だね。
なお、超☆遅筆の模様。