53.女シーフ
モモコが意識を取り戻したとき、まだゼプトが治癒魔法で治療中だった。
「ゼプト。ありがとな」
モモコのねぎらいの言葉に、ゼプトは少し顔を赤らめるも、治療を続ける。時間がかかっているということは、重傷だったようだ。
「咄嗟の判断で、よく防げたな」
アルバンは、成長する剣でフォルシオンを弾き飛ばしたモモコを称える。
「ああ、あれか? 無我夢中だったよ。
自分の力で弾き飛ばしたというよりかは、剣が弾き飛ばした感じだ。
もっとでっかく成長すると思っていたけど、違う部分で成長したのかなぁ」
そう言いながら、モモコは木に突き刺さったフォルシオンを見上げる。
「なあ。あの剣を奪ってもいいよな。後ろから振り回されても危ねえし」
「もちろんだ。戦利品にちょうどいい。後で、武器屋で売ると資金の足しにもなる」
「で、エスカ。そいつを動けないように体力0にしたか」
エスカは鼻をフンとならす。
「もちろんだ。言われるまでもない」
モモコは、自分のステイタス画面を開く。
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ステイタス
職業:勇者
LV:3
経験:230 知能:270 攻撃:265 敏捷:255
体力:215 耐久:285 魔力:240
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「あいつも動いたから、少し体力が減ったみたいだな。でも、その体力を丸々もらえて、こっちは助かったぜ。おそらく、200を切っていたからな。
経験値は、あいつを倒して200から230に上がったってとこか」
それより、知能以下のスキルがそのまま奪えて、軒並み200からグンとアップしたことにモモコはムフフと笑う。
「いやー、この調子で、LV4、LV5って、ガンガンいくぜ!」
モモコは、拳を振り上げた。
「まだ動いちゃ駄目」
「お、おっす……」
ゼプトの忠告に、モモコは頭をかく。
モモコが回復すると、今度こそセーブをした。
「さて、次の場所へ行くか。
……そうだ、女。ゲルトはそのままにしてやる。それまで奪うと、こっちが盗人みたいだからな。って言っても、体力0だから言葉を返せないか」
「スキルを奪うのは、盗人に近いがな」
「アルバン! そういうことを言うな! 戦利品だろうが!」
「物は言い様だ」
「いいや、これは立派な戦利品だ!」
二人は、言い争いながら歩き始めた。他のみんなは、苦笑いをしながら後に従う。
一行が、そろそろ林を抜けると思われた頃、アルバンが急に足を止めた。すぐ後ろにいたモモコが、ぶつかってアルバンにのしかかる。
「おいおい! 急に止まるなよ!」
「静かに!」
「どうした?」
「そこの木の陰に、誰かいる」
アルバンの指さす先に、ひときわ太い木があった。
じっと待っても、時折吹く風で木々の葉がザワザワする音しかしない。
待ちきれなくなったモモコは、アルバンの前に出た。
「おい! そこに隠れている奴! いることはわかってるんだ! 姿を見せろ!」
すると、木の左から赤いドレスの女が現れた。
亜麻色のロングヘアに碧眼の美女だ。身長は、170センチメートルのアンベールより頭一つ高いから、女にしては大柄だ。
その女が後ろに手を組んで、ニヤニヤしている。
「誰だ、お前?」
そう言いつつも、モモコは頭に流れ込んでくる女のスキルに驚愕した。
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ステイタス
職業:シーフ
LV:4
経験:350 知能:385 攻撃:375 敏捷:399
体力:392 耐久:325 魔力:370
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「なあ、アルバン」
「何だ」
「超やっべーのが来た……」
「見ればわかる」
女が足を踏み出す。一行は、一斉に後ずさりした。




