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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第二章 レベルアップの旅

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51.宿敵再び

 モモコが林の奥へ奥へと入っていくと、逃げる野獣が増えていった。隠れていた魔獣たちがLV3の勇者を見て、群れを成して逃げるのだ。その群れは今、十匹以上いる。


「ちっくしょー! 全部やっつければ経験値が30以上は上がるのにぃ!

 おいこら、待てぇ!」


 待てと言われて待つ魔獣などいない。群れは、徐々にモモコを引き離して低木が密集した箇所に一斉に飛び込んだ。


「困ったぁ。あの中にこのミニスカート姿で突っ込むと、足を枝で切りそうだ。

 どうしよう……。」


 そうやって考えあぐねていると、魔獣が飛び込んだ辺りから、ガサガサと葉っぱがざわめく音がする。モモコが剣を構えると、一斉に魔獣が飛び出してきた。


「うわわわっ! 反撃か!?」


 ところが、魔獣は勇者を見て驚き、左右へ二手に分かれて逃げた。


「こらぁ! かかってこい! 逃げるとはずるいぞ!」


 と、その時、また正面からガサガサと音がしてきた。まだ残党がいるのかと、モモコは警戒する。


 すると、低木の上からニューッとせり上がってきたものがあった。


 一升瓶みたいな酒瓶が斜めになっているのだが、瓶の底が斜め上を向いている。それが10時の方角から時計回りに12時の方角に回転して止まった。そして、ガサガサという音とともに近づいてくる。


(まさか、あいつ!?)


 そう。あ(・)い(・)つ(・)だった。密集する低木の間から出てきたのは、あの金髪で緑のドレスの女なのだ。


 モモコを確認した女は、豪快なラッパ飲みを中断し、瓶を持っていた右手をだらんと下げた。そして、舌なめずりをする。


「よう。かかってこいとは、度胸があるな!」


 そう言って千鳥足になりながらも、手ぶらの左手を背中に回し、フォルシオンを取りだした。


 モモコは、女のヒステリックな語調に首をすくめる。膝が笑いかけたが、下腹にグッと力を入れてこれを堪えた。


 女が、ちょっと顔を前に向けて覗き込むような目つきになる。


「ん? 見た顔だな。……そうか、服が違うからわからなかったが、町にいた生意気な小娘か。

 ちっこいLV6の奴はどうした? はぐれたか?」


 その言葉に振り返って助けを求めそうになったモモコだが、その隙に剣圧で斬られそうなので、ここは我慢をする。


「おお? いつの間にLV3になっていたか。

 おもしれえ。スキルを奪って、こっちのレベルをアップするちょうどいい機会だ。

 さあ、行くぜ」


 女は、フォルシオンの切っ先をモモコへ向ける。距離は10メートル程度離れているが、威圧感が半端ない。


 その時、モモコは目の前の女のステイタスが頭の中で見えた。画面が表示されているのではなく、文字が頭の中に湧いてくるのだ。


 ――――――――――

 ステイタス

 職業:野武士

 LV:3

 経験:268 知能:270 攻撃:265 敏捷:255

 体力:262 耐久:285 魔力:240

 :

 ――――――――――


 どうやら、LV3になってから女と同じく、相手のステイタスが遠くから読めるようになったらしい。しかし、同じLV3とはいえ、経験値が200になったばかりのモモコからすると、どの値も差が大きすぎる。


(――どうする!? 逃げるべきか、戦うべきか!?

 ん? 待てよ……。

 んん!? マジか!? やっべぇ!! ずーーーっとセーブしてねえぜ!!)


 LV3になった時、舞い上がってしまい、すっかりセーブを忘れていたのだ。


 つまり、ここで死んだら、この林に来るよりもずっと前に戻ってしまう。


 モモコは天を仰いだ。


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