49.仲間が多すぎる
お腹いっぱいになって気力も充実したモモコは、すっくと立ち上がり、早く出発しようとアルバンの腕を引き、まるで子供のように飛び跳ねる。
「そうだ。ガリカは、どうする? あの町に残るのか?」
町の方角を指さすモモコを見たガリカは、アルバンと顔を見合わせた。
「魔王討伐の協力者だよな? だったら、仲間にならないか?」
背中を押す言葉に横目でチラッとモモコを見たガリカだが、すぐにアルバンの方を向いた。
目で何を語り合っているのか不明だが、ずいぶん時間がかかっていることに気がかりなモモコは、突き放すように言う。
「イヤならいいぜ。無理にとは言わない」
ガリカが顔だけ向けて、ジェスチャーを交えて答える。
「いいえ。このパーティーには、人数が多いかなと」
「いいって、いいって。仲間は多い方がいいに決まってる」
モモコは、ガリカに向かって手を差し伸べる。ところが、アルバンが体の正面をモモコへ向けた。
「私は、そうは思わぬが」
「なんで?」
「人が増えれば、戦力が増えると同時に、守るべき人が増える」
しばしの沈黙が続いた。
「なら、アルバン。今の人数で魔王に勝てる作戦があんのかよ?
勝てるには、全員がどの程度のレベルにまでアップしていなければいけないのか?
それまでに、追われる身でありながら、どこでレベルアップするのか?
天空のなんとか城にたどり着くまでに――」
「天空の城ブラオバルツ」
「そうそう、そこに行くまでに、どの地点でどのレベルにまで達していないといけないのか、計画でもあんのかよ?」
「ない」
「なんだよ、それ! 行き当たりばったりじゃんか!」
「違う。勇者の選択した運命に従うまで」
「馬鹿野郎! 運命に従うなんて、きれい事を言って、勇者に全部責任を負わせるんじゃねえよ!
だいたい、この異世界へ連れて来られた人間が、『はい、お前は今から勇者な』って押しつけられて何が出来る?
この魔王討伐が経験済みのゲームで、ある程度知識があるならまだしも、この先、何がどこにあるのか、こっちは全くわからないんだぞ!
だから、フェムトやゼプトにも付いてきてもらっているんだ!
この世界の知識を持っている人物が一人でも欲しいから、そして、戦力が欲しいから、ガリカにも声をかけているんだ!」
興奮気味のモモコの肩に、アンベールが手を置いた。
「責任は私も負うから、一人で背負うなよ」
モモコは、アンベールの顔を見て頷き、もう一度ガリカを見た。
「なあ、ガリカ。俺は、この世界の知識を持っている者が欲しいとは言ったが、それだけではない。
魔王討伐という同じ目的を持つ仲間として、迎え入れたい。
ともに戦おう!」
また沈黙が支配したが、熟慮断行という様子のガリカが口を開いた。
「いいわよ」
すると、久しぶりにピロローンという電子音とともにメッセージ画面が表示された。
『>ガリカが魔法使いとして仲間に加わりました』
モモコは、満面の笑みを浮かべて、ガリカに握手を求めた。
「ありがとう! モモコ・パーティへようこそ!」
ガリカは、ちょっと困惑した表情を浮かべる。
「ええ。でも、言っていい?」
「おお、何でもいいぞ」
「このパーティ、人数が多いの」
「それは気にするな」
「いいえ。勇者1、賢者1、シーフ1、それに魔法使い4になったんだけれど」
「えっ?」
「戦士とか剣術使いとかがいないんだけど」
「早く言ってよおおおおおぉ……」
ガリカの「人数が多い」の意味がようやくわかったモモコは、しゃがみ込んでしまった。




