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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第一章 何でもありの異世界

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12/100

12.セーブポイントなしの結末

「あわわわわわっ!」


 モモコは、驚きのあまり、腰が抜けてしまった。


 足音がしなかったのに、いつの間にかそばにいたのだから、幽霊かと思ったのだ。



 黒髪の人物は、スーッと立ち上がって姿を見せた。


 面長でサイドテールの若い女。青いドレスに身を包み、満面に笑みを浮かべているが、手にロングソードを持っている。


 彼女は、ひょいと木の上に飛び乗って、モモコの鼻へロングソードの切っ先を向ける。


「さあ、そのスキルをちょうだいな」


「お、お前は誰だ!?」


「お前? ずいぶん失礼な口を利く女ね」


「さっきの男たちも同じことを言ってたが、何が目的だ!?」


「しかも、男みたいな話し方をする……。

 同じことを言っていた男たちがいるって?

 ああ、スキル狩りに会ったのね。私もその一人よ」


()()()()()!?」


「そう。経験とか耐久とか敏捷とかを上げるために、相手を殺して奪うの」


「奪う!? そんなことが出来るのか?」


「あら、知らないの?

 もしかして、この世界に来たばかり?

 開拓民を志願したとか?

 それなら、大したスキルはないわね」


「ああ、開拓民さ」


「嘘ばっかり」


 女は、パチンと指を鳴らすと、モモコとアンベールの前にステイタス画面が現れた。


「職業、勇者と魔法使い、って書いてあるじゃない。

 どこが開拓民?

 ……あら? セーブポイントって、もしかして、ミッション実行中の人たち?」


「……」


「しかも、セーブしていない。

 ということは、始めたばかりの素人ね。

 あらあら、経験値以外は、もうLV1のMAX。

 これはこれは」


 と、その時、モモコは意を決して立ち上がった。


「出でよ! この場に――」


 だが、その後の言葉が出なかった。


 女が素速くモモコの左胸をロングソードで貫いたからだ。


「この子が死んだら、あんたも自動的に死ぬわよ。

 ミッションの実行者は、互いにリンク設定が成されているから。

 さようなら」


 女に別れを告げられたアンベールは、急に目の前が暗くなって、その場に倒れ込んだ。



   ◇◇◆◆◇◇



『>アンベールが勇者になりました』


『>モモコが魔法使いになりました』


 意識が戻ったモモコとアンベールの前に、電子音とともに、ゲームに出てくるような半透明の画面が現れ、それぞれ上記のメッセージが表示された。


 モモコはしゃがんだ姿勢で、アンベールは立った姿勢。


 アンベールはモモコを見つけ出すや否や、急に泣き顔になり、しゃがんでモモコを抱きしめた。


「そんなに嬉しいか?」


 二人を見つめるアルバンは、首を傾げた。


 モモコは立ち上がる。


「魔法の使い方を教えてくれ!」


 続いて、アンベールも立ち上がる


「武器の使い方を教えて!」


 アルバンは、ニコニコ顔になった。


「ずいぶんと、やる気のある連中だ。

 いいだろう」


 それから、モモコは、さりげなくステイタス画面に移動し、さも偶然に開いたかのように装った。


「ここにセーブポイントってあるが」


「ああ、ステイタスと保存時点の場所と時間を、まとめてセーブしたものだ。

 最大で10個しか残らない――」


「スペックはわかったから、セーブの仕方を教えてくれ!」


「よかろう」


 モモコとアンベールは、顔を見合わせて微笑んだ。


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