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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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49話 ホーンテッドハウス

魔法の袋(家)に入ると表情に若干影は残っているもののアリアが元気になっていた。


「ヨーヘー。今日の夕飯は何にする?今日は出掛けずに家で食べたい気分だなぁ。」


「今日はタァマちゃんが害虫駆除を頑張ってくれたからカツカレーにすることにしたよ。」


「そうね!それがいいよね!今から態々外に出るのもアレだしね!」


アレってなんだ?まぁ言いたい事は解るけどね。


「それじゃあ早速作りましょ!ヨーヘーが作ってくれた地球料理本で勉強したから私もカレー以外にもう一品作るね。」


「カツカレーって結構重いから軽めの奴でお願いね。」


「うん!このお茶漬けとか軽いよね?」


「カレーがあるからご飯物はやめようか。あとパン系も」


「えぇ・・うーん、じゃあマリネかカルパッチョ?」


「マリネは食材によって漬け込む時間が変わるからカルパッチョにしておけば?」


「カルパッチョか・・・牛肉で作るんだよね。」


「本来のカルパッチョはそうだけど、カツオのカルパッチョとかあったし美味しければなんでもいいんじゃないかな?」


「カツオって魚だよね?ヨーヘーの持ってきた食材に魚ってないからなぁ。むぅ、魚料理も作ってみたいなぁ。早くキレースに行って魚を手に入れなきゃね!」


かつお節とか缶詰なら魚あるけどな。カルパッチョには向かないよな。


「じゃあお肉は重いだろうから、たくあんのカルパッチョ作るね。」


ほう、そう来たか。どんな感じになるんだろう?正直想像できない。


3人で夕飯を作り、食卓にはカツカレーとたくあんのカルパッチョが並び、皆でいただきますの挨拶をする。

たくあんのカルパッチョ、なんか色合いが綺麗だな。どれ・・・。

コリコリコリ。

うん、たくあんだ。ちょっと油っぽいたくあんって感じだな。まぁこれはこれで・・・漬物という先入観さえなければ有り・・なのかもしれない。

タァマちゃんはたくあんのカルパッチョについてはどうでもいいようでカツカレーと大格闘している。喜んでいるようでなによりだ。


その後いつもの様に後片付けをして3人でお風呂に入ってから今日は寝ることにした。お風呂の露天気分を味わえる外の景色を映し出す魔法はアリアに怒られたのでオフにしておいた。


夜も更けて今は深夜、ふと目が覚めてしまった。

タァマちゃんは当然のように俺のベッドで寝ている。タァマちゃん用のベッドもあるんだが、ほとんど使われたことはない。まぁタァマちゃんみたいな可愛い妹と一緒に寝れるのは嬉しい事だし、むしろ積極的に一緒に寝たいと思っていたりするのでノープロブレムなんだけどね。

俺の横でスゥスゥと寝息を立てるタァマちゃんの頭を撫でているとある事に気付いた。

俺のベッドの傍らに何やら気配を感じる。恐る恐る気配の方向に視線を向けると・・・

そこには女の人が立っていた。

ぎぃやぁぁぁぁぁああ!!っと悲鳴を上げる為に息を吸い込んだところで聞きなれた声が聞こえてきた。


「うぅ・・ヨォヘェ・・・」


「・・・アリア?」


脅かさないでほしい。場所が場所だけに幽霊が出たかと思っちゃったじゃないか。

幽霊屋敷に泊まってちょっとそっち方面に敏感になっているようでちょっとビビってしまった。

あと俺の名誉の為に言っておくが、俺はチビッてない。大事な事だからもう1度言うがチビッてない!ちょっと下着が濡れちゃっただけだ!


「ヨーヘー・・・、お願いがあるの。」


「な、なんでしょう?」


どうやって誤魔化すか考えながら自分の下着を気にしているとアリアがお願いがあると言ってきた。

暗くて顔色はよく見えないが、膝を摺り合わせてモジモジしてるのがわかる。


「あのね、トイレ・・・付いてきて欲しいの。」


「・・・・・」





「ヨーヘー、そこにいる?」


「いるよー」


俺は何をやっているんだろう?


「ヨーヘー先に戻っちゃダメだよ?」


「はいよー」


1人でトイレにいけないというアリアに付き添って1階のトイレにきているわけだが、俺もついでに用足しておくかな。それとパンツも履き替えておこう。別に漏らしているわけではないが一応念の為だ。

そう考えた俺は代えのパンツを持って空いている方のトイレに入った。



「ヨーヘー・・・いるよね?」



「・・・ヨーヘー?ねぇヨーヘー?いるんでしょ?」



「ヨ、ヨーヘーふざけちゃ嫌だよ?ねぇいるんでしょ!?ねぇってば!!ね、ねぇー!ねぇーーー!!」



「うぇ・・・よぉへぇ?い、いないの?やだぁ・・・ヨーヘー・・・」



ふぃ~スッキリした。やっぱり新しいパンツは爽快だな!


「うぇぇぇん・・よぉへぇ・・・よぉへぇ・・・」


「ん?アリアどうした?」


「!?ヨ、ヨーヘー!?何で返事しないのよぉ!どうして意地悪するのぉ!?」


「あ、ごめん、俺もトイレ入ってた。」


「ヨーヘーのばかぁぁぁ」




アリアのトイレを済ませて2人で2階に戻ってきた。アリアはトイレで怖い事があったのかずっと俺の腕にしがみついていた為、柔らかい物が俺の腕に押し付けられている。折角代えたパンツがまた濡れてしまいそうだ。


「じゃあアリア、おやすみ。」


「・・・・・」


ベッドまできたがアリアは俺から離れようとしない。


「ヨーヘー・・・私も一緒に寝てもいい?」


「はっ!?」


「お願いします。何もしないから!」


アリアそれは俺の台詞だよ!?


「き、昨日の膝枕のお礼ってことでいいから!」


あぁあれか・・・てかそれでいいのか?むしろ俺へのご褒美ですよ!?


「タ、タァマちゃんもいるから狭いかもよ?」


「このベッド広いから大丈夫だよ。私枕持ってくるね!」


とは言ったものの俺から離れる様子は無い。


「あの、アリア?」


「枕取りに行きたいから私のベッドまで行こ?」


どんだけビビってるんですか!?

苦笑しつつアリアを伴って彼女のベッドまで行って枕を回収。

その枕を俺のベッドに置いて今は3人で俺のベッドに入っている。並びはアリア・俺・タァマちゃんだ。

アリアは俺の右腕に抱きついたままだ。ちょっとでも外そうとすると爪が食い込んでくるからそのままにさせている。抱き着かれて嬉しいのだが、血は止めないでね。


「おやすみヨーヘー。」


「あ、あぁおやすみ。」


なんだろうこの状況は。嬉しいシチュエーションなのは間違いないのだけど、嬉しさよりも困惑の方が勝っている気がする。

困惑しつつも時間が経つにつれ、俺の意識も遠くなって・・・



くるわけがない。

ね、寝れるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

なんだこの状況!?

アリアもう寝てるし!!

くっ、嬉しい、嬉しいがキツい!なんでアリアは平気な顔して寝ていられるんだ!?俺男だぞ!?

もしかして男として見られていないのか?そ、それは嫌だ!いかん、頭が混乱していてネガティブな事を考えるようになってる。よし、心を落ち着けて寝よう。羊だな。無心で羊を数えればいつの間にか寝ているさ。

あそ~れ、羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・



羊が5963匹、羊が5964匹、アリアが396人、羊が5965匹・・・

無理だ。こんなの寝れないよ・・・。



翌朝。


「朝になってしまった・・・。」


「にゃぁ・・?お兄ちゃんおはよござしゅ・・・」


「うん、おはようタァマちゃん。」


「にゃ?お姉ちゃんもいるです。」


「うん、いるね。アリアもいるね。ぐっすりだね。」


「にゃあ♪3人一緒です♪」


タァマちゃんは嬉しそうに俺とアリアに抱き着いてきた。


「う、うーん・・・あ・・・、ヨーヘーおはようー。そ、その・・昨日はありがとね。」


寝ぼけたアリアに引っ叩かれるルートも想定していただけに、意外と冷静なアリアに驚いた。


「じゃあちょっと顔を洗ってくるねー。きゃっ!」


ベッドの上を歩いていたアリアがベッドから落ちた。前言撤回、結構動揺はしているようだ。


アリアから解放された俺は、アリアと入れ替わりでやってきた睡魔さんに誘われ、そのまま意識を手放したのだった。



「お兄ちゃん!起きてくださーい!ご飯ですよー!」


タァマちゃんが俺に跨って体を揺らす。


「お兄ちゃん!起きてください!起きないと・・・にゃーしますよー!」


にゃーってなんだ?凄い気になる。むしろされてみたい。

だが、そんなことより俺は今猛烈に感動している。

妹に起こしてもらうの夢だったんだよなぁ・・。

しかも馬乗りで起こしてもらえるだなんて、まさしく憧れるシチュだよ。


「タァマちゃん、にゃーって何?」


「にゃあ♪お兄ちゃん起きました!ご飯です!お姉ちゃんが呼んでますよー!」


タァマちゃんに引っ張られながら俺は1階へと降りていく。結局にゃーってなんだったんだ?




「お姉ちゃん!お兄ちゃんを起こしてきました!」


「ふふっ、ありがとうタァマちゃん。ヨーヘーおはよー。ん?早くは無いかな?」


時間を見るとお昼だった。随分寝たんだなぁ。まだちょっと寝足りない気もするけど、これ以上寝ると2人に迷惑掛けるもんな。


「顔洗って戻ってきたらヨーヘーが寝ててね、疲れてたみたいだったから起こさなかったの。」


「お姉ちゃんニコニコしながらお兄ちゃんの顔突いて遊んでました!」


「た、タァマちゃん!?言っちゃダメだよー!」


アリア何やってんの?よし、あとでチーズの魔記録を見てみよう。オートにしてるからたぶん撮れてるはずだ。


アリアが作ってくれた朝食、もとい昼食は豚肉の生姜焼きとポテトフライだった。


「どうかな?」


「うん、上手に出来てるよ。美味しい美味しい。」


「よかったー。ヨーヘーがいなかったから上手く出来てるか不安だったんだよー。」


レシピ本を作ったからアリアも一人で地球料理を作れるようになったわけか。


「でも、やっぱり一緒に作った方が楽しいね!今度はちゃんと起きてもらうからねー。」


このレシピ本があれば1人で作れるからと今後キッチンを追い出されるかもしれないと一瞬思ったが、そんな心配はいらなかったみたいだ。


昼食を食べ終わって、依頼も完了したのでガイスさんにお暇する旨を伝えることになった。


「よ、ヨーヘー・・・。私、ここで待ってちゃダメかな・・・?・・・ダメだよね。さすがに失礼だもんね・・・。」


「無理しなくてもいいよ?」


「ううん、ガイスさんは宿まで貸してくれたのに挨拶しないで立ち去るなんていけないと思うんだ・・・。こ、怖いけどちゃんと挨拶するから!!」





「ガイスさん。部屋を貸してくれてありがとうございました。すっかり疲れも取れましたよ。」


「ほぅほぅ、それは良かった。お主らの様な者達ならば歓迎するんだがの。もう行くのかの?」


「はい、あんまりお邪魔しても悪いですからね。依頼人に依頼完了の報告もしないとですし。たぶんまた後で依頼人と依頼完了の確認の為に来ると思いますけどね。」


「そうか、この屋敷はワシの持ち物なんじゃがのぅ。譲った覚えはないのじゃが・・・」


ブツブツと呟いているガイスさんだったが、俺の隣のアリアが意を決したように話し掛けたので意識をアリアに向けたようだ。


「あ、あのっ!・・・ひ、一晩部屋を貸していた、いた、頂いて、ありありあり、ありがとうございました!」


アリア頑張った!偉いぞ!でもな、言い終えたと同時に俺の後ろに隠れるのはどうかと思うぞ。俺なら微妙にショックを受けるだろう。


「ほほほ、やはり可愛らしいお嬢さんじゃ。ワシと一緒にここに住まんか?」


「ひぇぇえっ!?」


「ほほほほ、冗談じゃよ。お嬢さんのおかげで新しい趣味が見つかった気がするよ。こちらこそありがとう。」


アリアのせいで変な趣味に目覚めてしまったらしい。

朗らかに笑うガイスさんに見送られながら古屋敷を後にしてリアール氏の店に終了報告に向かう事にした。


「私、頑張ったよね?自分で自分を褒めてあげたいと思うんだよ!」


キミはどこのマラソンランナーだ。まぁ苦手に立ち向かった?のは偉いよな。

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