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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
帰ってきたグロスティア編
148/172

145話 賞味期限?なにそれ

さて、カチュリアを出る際に、門番の人がまだ危ないからと引き止めようとしたので、冒険者ギルドから依頼された調査隊だとウソをついて、なんとか町の外に出る事が出来た。

無事に街道に出れたのはいいんだが、ここで問題発生だ。

俺達の次の行き先は、ここより東にあるというハルバーレと決まっている。

このまま街道を東に向かって進めばハルバーレに着くそうだ。

しかし、街道を進むとなると馬車が使えない。イノッチが街道歩いてたらさっきみたいに大騒ぎになってしまうからな。

かといってイノッチに馬車を引いてもらって森の中を進むのは迷子になる可能性が高いだろう。


「別に徒歩でもいいよ?歩いてゆっくり行くのも楽しいし。それにゆっくり進めば住居候補地を見逃すことも少なくなるんじゃないかな?」


「そう?じゃあハルバーレまでは歩いて行こうか。」


「にゃぁ!お散歩ですっ!」


皆の賛成もあって、ハルバーレまでは徒歩で行く事になった。馬車を手に入れてからは馬車の移動が多かったから、たまには歩くのもいいだろう。

軽い気持ちで歩こうなんて言ってみたが、トリスから「ここからハルバーレまで徒歩ですと最低でも7日は掛かりますね。」と言われて俺とアリアがピタッと足を止めたのはご愛嬌というものだ。全然動じなかったガオーとマグロとタァマちゃんは俺達よりも立派な冒険者なのだと思う。

ま、まぁ、歩きながらイノッチの隠蔽方法でも考えよう。




「うーん、インビジブルで姿を消す。・・・これは馬車が勝手に動いてるみたいで怖いよな。ミニマムでイノッチを小さくして運んでもらう。これも同じ理由で却下だ。馬車自体をインビジブルで消すってのはどうだ?いや、これだと突っ込まれる可能性が出てきてしまうな。となると、イノッチに幻影を掛けて別の何かに見せるか?そういう魔道具あったっけなー?無ければ作るしかないが・・・」


「ヨーヘー、さっきからブツブツ言ってるけど、集中してないと急に魔物が出てきてビックリしても知らないからね。」


「ん?あぁ、大丈夫、ちゃんとスカウトで索敵はしてるから。」


「はいはいっ!お兄ちゃん!」


「ん?どうしたのタァマちゃん。」


「タァマげんえー出来るます!」


「げんえー?あぁ、幻影か。タァマちゃん幻影出来るの?見た目を変えられるとか?」


「えっとー?そうじゃにゃいです。見ててください!『ミニャージュウォーク』」


タァマちゃんがミニャージュウォーク(たぶんミラージュウォーク)と発するとタァマちゃんの身体から魔力が溢れ、タァマちゃんの身体を包み込むと、その姿が消え失せた。これはインビジブル?いや、タァマちゃんに特殊魔法の適性はなかったはずだ。

となると、もしかしてマグロのウォーターショットみたいな種族固有魔法だろうか?

そんな考えをしていると、姿が消えたと思っていたタァマちゃんが俺の右隣に現れた。

幻影魔法を褒める為に、頭を撫でようとすると俺の手がタァマちゃんをすり抜けてしまう。

すり抜けたタァマちゃんは幻のようにその姿を霧散させる。すると今度は俺の左隣にタァマちゃんが現れた。そして正面にもタァマちゃんが現れた。

ギョっとして周りを見てみると、そこかしこにタァマちゃんがいるではないか!

こ、これは・・・!天国だ!!可愛いタァマちゃんがいっぱいだーーー!

ってそうじゃない。これってアレじゃないですか!残像?残像だよね?俺のなんちゃってリアル残像とは違う本物の残像だよね!?うぉおおお!スゲーーー!!

つーか本体わからないんですけど!?魔力探知しようにもご丁寧に均等に魔力が割り振られててわからん。おまけにタァマちゃんって忍び足が凄い上手なんだよ。なので物音で探すのも困難を極めそうだ。

何回かタァマちゃんの残像に触れてみるが、全然本体が見つかる気がしない。

む~っ!こうなったら・・・!


「タァマちゃん!1分で見つけるから!」


「にゃはっ♪見つかりませーん♪」


見てろよー。お兄ちゃんホンキ出しちゃうからね!


そして1分後


「魔は満ちた!これで終わりだっ!『ざ・わぁるど』!!」


ふふふ、これで俺の勝利が確定した。この周辺の空間はもう俺の世界だ。いつもの様に時間を止めて全部の残像を手当たり次第触ってみるのもいいが、それよりもこの魔法の効果を乗せたほうが手っ取り早い。タァマちゃんのミニャージュウォークは魔法だからな。これで全ての残像を消せるはず。


「魔よ消えうせろっ、『ディスペル』」


ざ・わぁるどにディスペルの効果をのせてやった。

上級魔法じゃないので魔よ消えうせろとか言わなくても魔法名だけで発動できるんだが、なんとなく気分を高める為に言ってみた。

さぁ、これで俺の支配空間内にある魔法的効果は全て解除される。ちなみにディスペルは魔法に効果があるのであって、魔道具自体の効力を消すことはない。魔道具が発生させた結界とかなら消すけどね。現象をキャンセルさせるって感じだな。だから魔法の袋の効果が切れて大変な事になる事はないのだ。


ディスペルの効果が発動すると同時に、空間内に無数にいた天使達は一瞬で全てが消えてしまった。

ちょっと・・・いや、激しく勿体無い事をしてしまったと後悔している。

そして俺の正面にいたタァマちゃんだけが残って、目をパチクリとしていた。


「にゃあ、みつかっちゃった。」


ニパッと笑うタァマちゃんが余りにも愛おしくて正面に立つタァマちゃんをギュっと抱きしめた。あぁ、可愛いなぁ。


「ヨ、ヨヨヨ、ヨーヘー!!今の!今の何!?」


「それよりも魔法効果を打ち消しませんでしたか!?そんな魔法も使えたのですか!?」


あ、いっけね。トリスにはディスペルの存在教えてなかったんだっけ?ガオーも知ってるんだし、教えないのは不公平だよな。マグロも・・・まぁいいだろう。


俺は皆にざ・わぁるどの説明とディスペルなんかの特殊魔法についても教える事にした。

ちゃんとアリアの了解は得ましたよ?俺は皆のことかなり信頼してるしな。もし漏れたら俺に見る目がなかったか、漏らしてしまうような状況にしてしまったということだろう。酒によってしゃべったら制裁するけどな。俺の魔法については信頼に足る人物になら教えてもいいんじゃないかと思っている。アリアもその辺は同意してくれた。


「それよりも!またなんていう魔法を作ったのよ!ヨーヘーの思い通りになる空間?それってもう無敵じゃない!」


「そんなことないよ?発動まで動いちゃいけないとか指定空間を俺の魔力で埋めなくちゃいけないとか使うのに制限が結構あるんだ。それに倒しきれないと今度はこっちが大ピンチ。なんてったってかなりの魔力を使っちゃうからね。使用魔力は範囲の広さに比例するけど、さっきの空間だけだってエクスプロージョン20発分くらいの魔力を使うんだよ。」


「随分燃費が悪い魔法なのね。納得の威力ではあるけど・・・。」


「つーかお前ぇ、そんな魔法使えるなら解放戦争の時にもっと楽出来たじゃねーか。」


「嫌だよ。俺は表舞台に立たないって言っただろ?俺の名前が歴史に刻まれたら未来が変わってアリア達と再会できなくなるかもしれないって思うとそんな目立った行動できないよ。」


「そういえば天獣王物語ではヨーヘーの存在には全然触れてませんでしたね。」


「まぁほとんどガオーの功績にしてたし。」


「え?というと、物語に書いてある天獣王はどこからともなく武器や食料を調達してきたというのは・・・」


「それは俺のクローンで食料や武器防具を増やしただけ。」


「死者をも蘇らせたというのは?」


「いや、死んでないよ?死に掛けた兵士をリバースで助けたりはしたけどね。さすがに死んだ人は無理だよ。」


「奴隷紋を消す術を持っていたというのは・・・」


「さっき使ったディスペルで奴隷紋消してたかなー。」


「山のようにある料理を食べ尽くしたというのも・・・」


「それは正真正銘ガオーの功績だ。ルコーの奴も一緒に食ってたけどね。あいつは食い過ぎて体が重くなったのか、3日くらい飛べなくなったんだよ。あれには笑ったなぁ。でもさすがに全部は食べ切れなかったはずだよ?余った分は勿体無いから魔法の袋に収納したけど。あ、そういえばあの料理まだあったな。すっかり忘れてたよ。食べる?」


「ごめんなさい、それって物語に出てくる有名なシーンの料理ですよね?多くの読者がそんな料理を食べてみたいという感想を抱いている『万物の炊事』と呼ばれる宴の料理・・・皆が憧れた料理まだ余ってるから食べるかと言われても・・・光栄なような、なんというか複雑な気分です。というよりなんだか頭が痛くなってきました。」


「量はともかく、そんな大層なもんじゃないけどなー。それ言うならセリアが食べ残した聖年祭で振舞われた天上鳥の丸焼きとかの方が「もう結構ですっ!」あ、はい。」


「お兄ちゃん!タァマ食べてみたいですっ!」


「おー、そうかー。いっぱいあるからね。道中摘まみながら歩こうねー。」


「おいっ、俺様の分もあるよな!?」


「お前はどんだけあるか知ってるだろ。先は長いからな。この在庫を一掃するんだから気合い入れろよ。」


「何も全部食わなくたっていいだろうがよ。もうあの料理作った奴は死んじまってるんだから、大切に食おうぜ?」


「大丈夫、1品ずつ取ってあるから無くなったとしても複製できる!」


保管してあるといっても、これらの料理なら再現できる自信はある。味の研究の為にサンプルとして取っておいてあるという意味合いの方が強かったりするが、ガオーは食えるか食えないかという判断でしか考えていないので、いつでも食えるぞという意味合いでこのように言っておいた。


「それを聞いて安心したぜっ!うめぇもんが結構あったからなっ!あの水袋みてぇな肉もあるよな!?よしっ、じゃんじゃん食おうぜ!」


「私も食べたーい。」


「もうっ、アリアまで!・・・私も頂きます。」


あー、よかった。このまま眠らせておくのは勿体無いもんな。

あれ?最初なんの話をしてたんだっけ?

・・・・・・あっ!そうだ!イノッチの幻影についてだっ!なんか脱線しまくってなぜか残飯処理をするという話になってしまったな。

まぁハルパーレまで長いんだし、ゆっくり考えるとしよう。


来週は有明に聖地巡礼に行かないといけないので、もしかしたら更新できないかもしれません。

なるべく更新出来るように頑張りますが、更新されなかったら寛大な心で許してください。

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