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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
帰ってきたグロスティア編
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136話 わぁ、夢のような料理

この話は若干グロテスクな描写があります。これは苦手なやつだって思いましたら飛ばしちゃっていいです。後書きにダイジェスト載せておきます。

あと食事中の方はご注意ください。決して想像されませぬよう。

感謝を述べてきた鳥人さんは族長さんでした。


「ワシはこの集落の族長をしておる者です。どなたかは存じませんが、旅のお方、危ない所を助けて頂きまして感謝致します。」


「いえ、力になれて良かったです。被害はありませんでしたか?」


「運悪く6名が大怪我を負ってしまいましたが、そこのお嬢さんに助けて貰えたので、それ以上の犠牲は出さなくて済みました。」


「頑張ったね、偉いぞタァマちゃん。」


俺は集落を守り抜いたタァマちゃんの頭を撫でてやると、えへへぇ、と嬉しそうに喜ぶタァマちゃんにほっこりする。


「怪我人はどちらに?」


「あちらに集めております。かなりの深手を負った者もおるので、そやつは助からぬかもしれませぬ。」


俺は族長さんが目を向けたほうを確認すると、そちらからアリアがやってくるのが見えた。


「ヨーヘー、怪我人は皆治療したよ。血管がやられて危なそうな人がいたけど、ヒールで止血しておいたから、たぶん大丈夫だと思うんだ。」


「なんとっ!?そちらのお嬢さんは神聖魔法をお使いになられるのですか!?ありがたいっありがたいっ!なんとお礼を言ったらよいやら!」


怪我人はアリアが全部治してしまったみたいだ。さっきまでちょっと影のあった族長さんは嬉しそうな笑顔を浮かべてアリアに感謝していた。アリアはいきなり感謝されていて戸惑っているみたいだ。


「あなた方はこの集落の恩人です。ぜひ歓待させて頂きたい。急ぎでないのであればもてなしたいのですが、如何でしょうか?」


「そういうことでしたらお言葉に甘えさせて頂きます。」


「おぉっ、そうですかそうですか!皆の者!宴じゃっ宴の準備をせよっ!旅の方、この集落の名物であるワーム料理を振るいますぞっ」


ワーム料理・・・。あっ、俺としたことが聞き間違えてしまったみたいだ。きっと「わぁ!夢のような料理!」略してわぁ夢料理に違いない。って、んなわけあるかーい!現実を逃避するな!対策を考えなければ後悔するぞ!ワーム料理・・・もしかして、もしかしなくても芋虫さんを使った料理なのだろうか?

・・・おぅふ、さすが鳥さん達だ・・・出来れば猛禽類の皆さんが食すような普通のお肉とかがいいんだけどなぁ・・・。でも善意でやってくれることだし、いらないとは凄く言い辛い。他の皆の表情もマグロ以外はちょっと引き攣っているのがわかる。海老、蟹の時は皆こんな気分だったのかもしれない。そんな俺達の心境を知らずに、族長さんはテキパキと指示を飛ばしていた。・・・これは腹をくくるしかないかなぁ。




族長の家に招待されて、目の前に並ぶ料理に唾を飲む。

こいつぁ・・・予想以上だ。全部で10品くらいあるのだが、全ての料理に芋虫さんが自己主張していた。せめて芋虫さんだとわからないように調理されていれば良かったのだが、全部が在りしの姿をそのまま残していた。グランドワームのようなミミズみたいなやつからデフォルトの芋虫さん。こいつはもしかして毛虫さんというやつだろうか?なんで毛を処理してくれないのだろうか。そしてこの赤いやつはなんだ?赤は、赤いのはダメな気がする。メインとして用意されたやつなんて30cmくらいあるでっぷりとした芋虫さんだ。これの成虫ってどんなのになるんだろうな。極めつけは壷のような食器に入れられた芋虫さん達。こいつ等は・・・動いている。

この時点で俺の目から光が消えていた。食べられそうな物は、あのこんがり揚げられている奴と、ミミズっぽいやつ、あとは30cmのやつは切ればいけるだろうか?

俺達の中で唯一マグロだけはテンションが高く、さっそく並べられた料理を口に運んでいた。嬉しそうに食べているようなのでいざとなったらマグロに全部食べて貰おう。

鳥人の皆さんには手の代わりに羽があるので、足で器用に芋虫さんを掴むと、葉っぱの上に押さえつけながら啄ばむように食べていた。

俺達のパーティの皆はマグロ以外は若干躊躇っている様子。その中でも一番に料理に手をつけたのは意外にもアリアだった。そういえば、海老、蟹の時も真っ先に食べていたな。食に対する興味というのが強いんだろう。

意を決した様子で口に運び、目を瞑って租借している。味はそんなに悪くなかったようで、他の料理(毛虫と赤いのと踊り以外)にも手を伸ばしていた。アリアすげーな。

タァマちゃんもそんなアリアを見て料理に手を伸ばす。あ、その赤いのいっちゃうの?それをチョイスしちゃう?

タァマちゃんが赤い奴を口に入れて3回くらい口を動かすと、微妙そうな表情を浮かべて俺に顔を向けると口を開いて口内を見せてきた。

ヌチャァという効果音が聞こえた気がする。タァマちゃんの口の中には潰れた赤い奴とそいつの体液であろうネバっこそうな白い液体が広がっていた。やめなさい。口を閉じなさい。見せてくるんじゃありません。なんだよあれ、半熟かよっ!俺は絶対にあれは無理だ。

トリスはというと「私は菜食主義なので」とか言って、野菜だけを食べていた。トリス汚ねぇ・・・菜食主義ってなんだよ、いつも普通に肉とか食ってるじゃん。


くそぅ、仕方ない、俺もアリアを見習って覚悟を決めるか。まずは切り分けられた30cmさんだ。切り分けられた事で原型がないので、初心者には優しいはずである。

取り分けられた30cmさんを手に取り、意を決して口に運ぶ。

モグモグモグと恐る恐る咀嚼する。

ふむ、意外と淡白な味だな。あっさりしていて口当たりもいい。ソースをもうちょっと工夫すれば結構美味しい料理になるんじゃないだろうか。


「どうですかな?それはオオミツバガの幼虫でして、ワシの好物なのですよ。」


「あ、はい。あっさりしていて美味しいですね。」


「そうでしょうそうでしょう。では次はこちらをお食べください。」


族長が次に薦めてくるものをドキドキしながら見守る。毛が生えてるのと赤いのと動いているのだけはやめてくれっ。

そんな願いを込めてみたが、族長が手というか翼で持ったのは、壷型の食器だった。あれは・・・あの壷は・・・!


「こちらも大変美味でしてな。死んでしまうと味が落ちてしまうので、このまま食べるのが一番美味しいのですよ。」


ワサワサワサ


手渡された壷からは、何かが蠢くような音が聞こえてくる。その壷の中をチラッと見てみると、5cmくらいの白い奴等が何十匹も蠢いていた。

無理無理無理無理!!

これ一番ハードなやつじゃん!初心者モードから一気にヘルモードだよ!!これ無理なんですけど!いかなくちゃダメですか!?そもそも踊り食いって苦手なんだよ!白魚だって踊り食いは無理なんだ!た、助けてっ!助けてアリア!あれ!?なんで目を逸らすの!?未来の旦那様が困ってるよー?アリアさん?アリアさーーーん!


「ささっ!一気にいってくだされ!新鮮なうちが一番うまいですからなっ!」


うっせーよ!あんたにとっての善意を相手が善意として受け取るもんだと思うなよ!悪気がない分質が悪いわっ!


「お?ヨーヘー、それもうまそうだね。ミーにも分けてくれないか。」


俺がダンシングワーム達に躊躇っていると、横から手が伸びてきて壷の中身を鷲掴みにすると、そのまま口に運ぶ猛者が現れた。


「うんうん、これはいけるね!ヨーヘーも食べてみるといいよ!」


黙れ阿呆。いいからそのまま全部食え。1匹たりとも残すなよ。あとな、お前の口から半身を出してウネっている姿が見えて余計食欲が無くなったわ!ちゃんと全部飲み込めよぉぉぉ!!


「オェェェェッ!」


何かを吐瀉する音の方に視線を向けると、ガオーがシンガポールしている様子が見て取れた。こいつはマグロの対面に座っているからマグロの口の中にいる団体さんを直視しちゃったんだろうな。同情す・・・おい?お前、何食ってんの?それ肉だよな?なんでお前だけ肉食ってるんだよ?さっき「俺様は見ての通り肉食だからなぁ」とか言ってたのってそれ貰う為か!?つーか肉あんのかよ!?あの野郎、抜け駆けしやがって・・・ゆ、許せぬ。

俺は気持ち悪そうにしているガオーを介抱する名目で近付いた。


「す、すまねぇ。あまりの光景に我慢できなくなっちまった・・・ゥオェ」


「おいおい、大丈夫か?(くたばれ)」


「ギャウッ!?」


俺はガオーに電撃魔法をお見舞いし、その意識を刈り取ってやった。ふん、馬鹿が。

俺は横たわったガオーの口に芋虫さん達を詰め込んでおく。本当に肉食ならば上手く消化出来ないこともあるかもしれないが、こいつの好物はチャーシューメンだ。肉が好きというのは本当だが、別に肉食というわけじゃない。こいつはこの料理から逃げたのだ。天獣王ともあろうものが情けない。まったくもって情けない。

ガオーへの天誅を下した事で、俺の溜飲も下がったので、さりげなく族長から遠い場所に座り直したのだが、族長は逃がしてくれなかった。


「お連れ様はお疲れですかな?」


「えぇ、そうみたいです。体調も悪そうだったから寝かしておきました。この料理は健康に良さそうだったから口に詰め込んでおいたので、じきに体調も良くなることでしょう。」


「おぉっ!ヨーヘー殿はよくわかっておいでですなっ!そうなのです。これらは健康にも良く、風邪を引いた時でもこれを食べると一発で治ってしまうのですよ。」


「やっぱりそうなんですねー。早く良くなって欲しいものです。」


俺は言いながらどんどんガオーの口に芋虫さん達を詰め込んだ。


「そうですな。ではヨーヘー殿もこれをお食べくだされ。」


ちくしょぉぉぉぉぉっ!




苦行とも言えた宴も終盤に差し掛かる。ダンシングワームさん達と毛虫さんは全てマグロの胃袋に収まったのだ。どうやって切り抜けたかというと、食べる寸前のところで「ざ・わぁるど」を使ってやった。時の流れを止めている間に全部マグロの口に叩き込むことでこれを回避した。他の料理はちゃんと食べましたよ。意外にも美味しいのもあったのは驚きだった。赤いのはちょっと無理だったけど。


食事も終わり、しばらくするとガオーが目を覚ましたので、族長さんにルコーの居場所を聞いておこうと思う。


「族長さん、ちょっと聞きたい事があるんですが、いいですか?」


「ほ?なんですかな?」


「この辺りにルコー、蒼穹の流星が眠っていると聞いたんですけど、その場所がどこだか知っていますか?」


「おぉ、賢空王のルコー様ですか!知っておりますとも。聡明なあのお方は今でも我等を見守ってくれておりますからな。」


「ブフッ!」


ガオー、控えろ。俺も今笑わないように必死なんだ。もしかしたらルコーさん違いかもしれないだろ。あのアホウドリが賢空王なんて呼ばれているわけがないだろうが。


「かつて天獣王軍の四天王としてご活躍された賢空王様は偉業達成後も我等に知をもたらしたと言い伝えられております。」


アホウドリ本人だと確定しました。天獣王軍四天王のルコーなんてあいつだけだ。そしてその言い伝えは偽りの言い伝えだと族長の目を覚ませてあげたいのだが、問題しかうまなそうなので我慢した。


「賢空王様にお会いになりたいのですか?それでしたらワシが案内致しましょう。ここからですと少し遠いですが、空を飛べばそれ程時間は掛かりませぬ。今日はもう日が暮れますので、明日の朝に若い者に運ばせますぞ。」


「いいんですか?それでしたらお言葉に甘えさせて頂きます。」


「集落の恩人のお役に立てるのでしたらこんなに喜ばしいことはありませんからな。ホッホッホッ」


族長の申し出には助かった。実際頂上にいるってことしかわからなかったので、案内は願ったり叶ったりだ。運んで貰わなくてもフライで飛んで付いて行けばいいんだけど、折角の好意だしお言葉に甘えることにしよう。

作者もあの生き物は苦手でしょうがないんですが、なんでこの話を書いたのか不思議でなりません。悪ノリするような出来事はなかったはずなんですが・・・


飛ばした方の為のダイジェスト。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

鳥人の集落を助けたら族長にお礼を言われ、食事をご馳走してもらうことになった。

用意された食事を見てビックリ!そこには様々なピーーーが並べられていた。

ヨーヘー:「胸糞悪ぃもんばっかじゃねーか!」

族長:「ほっほっほっ、ささっ食べなされ。」

ヨーヘー:「○□△※▼◎■っっっ!!!!」


食事を乗り切った洋平はルコーについて何か知ってないか尋ねる事にした。

ヨーヘー:「あのさ、ルコーの墓って知ってる?」

族長:「賢空王様のことですな。案内しましょう。」

ヨーヘー・ガオー:「賢www空www王wwwww」

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