125話 決戦前夜
一気に時間が進みます。
さて、ローリー達を仲間になったあの日から、どれくらい時が進んだか知ってるかい?驚かないで聞いて欲しい。5年だ。
あれから色々な事があった。背中に鳥のような翼を持つウェザー族が人族に狩られそうになっているとろこを助けたら、そこの代表という出ている所はちゃんと出ている美しいお姉さんに好かれたり、同じ様に助けた狐人族の母娘に好かれて親子狐丼を頂きそうになったり、ほぼ毎日迫ってくる物理系四天王をいなしたりと、この5年間は充実した生活を送っていた。何度か頂きそうになってしまったこともあったが、ギリギリのところで理性が打ち勝ってなんとか耐えきることに成功している。この時代の人間じゃない俺が、余分な遺伝子を残してしまったなんてことになったら、未来がどう変わってしまうかもしれないからな。まぁ、あれからもかなり介入してしまっていることもあって、今更な気もしないでもないが・・・。まぁ表舞台には出ていないから史実に残る事はないだろう。
それにしてもローリーの奴はなんなんだろう?あれから5年経ったというのにまったく成長していない。永遠の13歳ですっとかいうのを体現しているみたいだ。年齢を聞いてみたことがあったが、現在彼女は17歳だとのこと。なんでも成長が遅い種族なんだとか。合法ロリに走れるわけだな。色んな種族がいるもんだなーと思った。
ヴァン君は立派な青年に育っている。まだ幼さを残すが、体つきもしっかりしてきたし、俺の授業もしっかり学んでいる為、魔法の腕もかなり上がっていた。まだ俺レベルにはなっていないのを見ると、ミイ師匠は教えるのが上手かったんだなぁと思う。たった4ヶ月で俺とアリアをこのレベルまで伸し上げてくれたんだもんなぁ。ちょっと甘くはしているが、同じ様に教えているつもりなのに何が違うんだろうな。5年も教えているんだけどなぁ。まぁそれでもヴァン君は魔法の腕なら俺を除けば天獣王軍(解放軍から改名した)で一番の腕前だ。これなら天獣王軍でも立派な青年兵になれるだろう。・・・というより立派な青年将軍になってしまっていたりする。
彼・・・ヴァン君は四天王入りしてしまったのだ。詳しく話すと、今から2年くらい前だろうか?大陸中の奴隷を解放しまくった俺達は、奴隷達の国を作ることになった。その時はガオーの側近として兄貴とアホとローリーが君臨しており、その頃には天獣王物語でも有名な呼び名で呼ばれていた。
銀狼のシルベルター
技巧派の優れた戦士であり、対峙したならばいつの間にか命を刈られてしまうと言われている。
実際に兄貴は緩急の使い方が非常にうまく、静から動への移行が全然わからない。予備動作なんかもなく、気付いたら至近距離に接近されていて、反応する前に一撃を貰ってしまうのだ。その一撃が的確に急所を突いてくるわけで、攻撃を受けた時にはもう手遅れだ。
蒼穹の流星ルコー
天獣王軍きってのスピードスター。その速さは目で追えず、運よく攻撃を避ける事が出来たとしても、彼が通過した後には暴風が吹き荒れて吹き飛ばされてしまうと言われる。
こいつはマジで速い。見えてから回避行動を取ってもほとんど避ける事は出来ないだろう。アホという欠点がなければとてもやり辛い相手だろう。
破壊女王デスフィスト
その拳は山を吹き飛ばし、大地を割る。彼女の前に何者も立ち塞がる事は出来ない。全てを粉砕され、原型すら残す事はないだろう。
四天王の紅一点。我等が自称魔法少女のローリーちゃんだ。この子の拳から解き放たれるスーパーなんちゃらエクスプロージョンによって全てを破壊するのだ。俺が本気で展開したバリアをただのパンチでぶち抜かれた時はかなりビビった。コキュートスで作った分厚い氷壁も、その拳で粉砕してたしな・・・。この子だけは怒らせたらいけない。
ついでに四天王じゃないけどもう1人。
万眼のスーリオン
全て見通すと言われる天獣王軍の軍師。どんな計略を仕掛けても全て読まれてしまう。彼と戦をしたものは口を揃えて手のひらの上で踊らされていたと終わってから気付かされる。
脳筋ばかりの天獣王軍におけるブレーンである。かなり頼りになるが、やはり子供っぽいところも残っており、ガオーやルコーはよくリオンに騙されたりしてからかわれている。
リオンの除いた3人は、天獣王の三将軍と呼ばれていたが、天獣王国建国時にガオーが四天王の方がかっこよくね?とか言うもんだから、技、速、力はいるんだから、魔法関係のスペシャリストを急遽探したというわけだ。最初は頭の中がお花畑なローリーが魔法のスペシャリストとして立候補したのだが、満場一致で却下。ガオーはどうやら俺を四天王に加えたかったみたいだが、俺が表舞台に出ることを嫌って辞退した。それならばと俺の弟子であるヴァン君をという形になったのだ。まさかヴァン君があのヴォンヴァンカンだったとはね。ヴォンとカンはどこから付いたのだろうか?まぁ別にいいか。つまり、三将軍にヴァン君を加えた4人で四天王となり、ガオーをサポートしていくことになったのだ。この中の2人はガオーというよりも俺に心酔している節が見られるけどね・・・。ちなみに軍師様も俺寄りだ。俺が謀反を起こせば王座を奪う事も出来るだろう。やらないけどな。
国としては、建国する前よりも建国してからの方が大変だった。国家としては認めないという人族の国が攻めて来たりしたのだ。少なくない犠牲も出たし、悲しい出来事だってたくさんあった。四天王も無事ではなく、兄貴だって右腕を失ったし、ルコーなんて下半身と翼を失ったりもした。まぁ全部リバースで元に戻しましたけどね。
フハハハッ、リバースマジチート。神聖魔法で治せないような重症を負った者は、俺がコッソリとリバースで治して、天獣王とセリアルの恩恵だと吹聴して周った甲斐もあり、死にさえしなければどうにかなるということが全軍に伝わり、戦場で致命傷を負った者でも、生きている内は動ける者が後方まで送り届けたり、怪我をしたら無理をせずに戻ってきたりしていたので、死者の数はかなり減ったと言えよう。そして治療によって治った戦士達は、すぐに戦場に飛び出して行くといった半不死戦法みたいな感じで戦っていたのだ。相手からしてみたら堪ったもんじゃないだろう。確実に殺さないとなかなか数が減らないのだからな。
俺も治療だけをしていたわけじゃないよ?さすがに大規模な攻撃なんかをしたら俺の存在がバレる可能性があるから裏方がメインだったけど(数回上級魔法ぶっ放したが)、裏方って結構大忙しである。
街道を全て封鎖されて兵糧攻めにもあった時は、食べ物が無いなら増やせばいいじゃないかと、クローンで食料を複製したり、魔法の袋に詰め込んだ戦士達をテレポートで運搬して後ろから奇襲をかけたり(もちろんテレポートの副作用で俺はぶっ倒れてました。)そんな感じで俺は結構大活躍してたのだ。そんな従来の戦い方をあざ笑うようなやり方で人族を圧倒し、敵対する国を黙らせて行ったのだ。
そして最後まで俺達と対立していた人族の国であるタバーナ王国が残るだけとなる。あとはタバーナ王国を黙らせることが出来ればオーの目的は達成されたと言えるだろう。他の国々は俺達の主張を呑み、獣人を不当に評価せず、人族と同列に扱うことという署名をさせている。俺達に負けたほとんどの国はそれに従った。戦争初期の頃、まったく耳を貸さなかった国がいくつかあったが、そいつらには残念なことながら滅んで貰った。その事がそれに続く人族の国家の態度を軟化させたと言えるだろう。要求を呑まなければ滅亡させられると・・・ね。
そんな中で最後まで抵抗しているのがタバーナ王国というわけだ。この国は人族で最大の勢力を持った国である。俺達が他国を併合していくと、危機感を覚えたタバーナ王国は周辺各国と連合を組み、巨大な連合国を作ったのだ。その連合国の盟主となったのが、タバーナ国王であった。なので正確にはタバーナ王国ではなく、タバーナ連合国と呼ぶのが相応しいのかもしれない。
長きに渡るタバーナとの戦いも、とうとう佳境に入った。もちろん俺達が優勢だ。後が無くなったタバーナ連合国は全軍を集めて俺達を迎え撃つつもりらしい。決戦は明日になるだろう。俺達はタバーナを打ち破るべく、最後の軍義を行っていた。
「タバーナはほとんど死に体だよ。でも奴等は最後に死に物狂いで僕らを迎え撃ってくるだろう。そういう相手はとても危険だね。タバーナ王が兵士達にどんな事を吹き込んでいるのか知ってるかい?この戦に負ければ人族は獣人の奴隷になるのだ。だってさ。今まで自分達がやってきた事を自分にやられるのが嫌なんだろうね。それくらいなら死んだ方がマシだって思ってるみたい。その死んだ方がマシって思うような事を獣人達にやってきたという反省はないみたいだ。」
「チッ、ふざけた野郎共だぜ。」
「でもさ陛下、こっちは人族を奴隷にするつもりはないでしょ。」
「ったりめーだ。そんな事したら歴史が繰り返すだけだろ。いずれどこかに天人王が生まれるだろうよ。」
「まぁその事を説明したとしても、甘言に惑わされるなって言って聞かないんだろうけどね。話を聞かせるならば、徹底的に疲弊させて、敗戦濃厚という空気にしてから交渉するしかないね。兵士は奴隷になるなら死んだ方がマシって思わされてるみたいだけど、タバーナ王や、幹部達は死にたくは無いだろうから。ホントに奴隷にするなら死を選びそうだけど、陛下にそのつもりがないなら交渉の余地はあると思うよ。」
「素直に聞いちゃくれねぇか。仕方ねぇ、徹底的に心を折るぞ。」
「それじゃ、これからそれぞれに作戦を出すね。」
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「・・・・・・という感じで行こうと思ってるんだけど。・・・ねぇ?聞いてる?」
「おうよ。」
「いや、陛下はいいんだよ。ちゃんと聞いててくれたみたいだからさ。理解もしてくれてるようだし陛下はいいんだ。シルベスターさんとヴァンにも言う事は無いよ。文句を言いたいのはね・・・キミだよローリー!ボクが一生懸命皆が死なないように色々考えているっているのに、なんでさっきからずっとヨー兄とベタベタしてるの!?」
「えー?だってそんなことよりダーリンの方が大切だものー。わかってるわよ。ダーリンとローリーの邪魔をするやつをローリーの魔法で吹き飛ばしちゃえばいいんでしょ?簡単よー。」
「うっさい筋肉女!まだ自分が魔法師だって勘違いしてるのか!?いい加減眼を覚ませよ!ローリーが言ってるなんちゃらエクスプロージョンなんてないんだよ!ただの馬鹿力によるパンチなんだよ!!」
「パンチじゃないもん!ローリーの超絶極大天変魔法なんだからー!」
「あんなのが魔法なわけあるかっ!いい加減現実を見なよ!!」
「え~ん、ダァリーン。ちびっ子がイジメるぅ~。」
「お前にだけはちびっ子って言われたくないね!!言っておくけどボクの方がもう背が大きいんだからね!ボクはもう大人なのさ!このチビ!!」
「やだぁ、もうそんなに老けちゃったの?リオンがどんどんおじさんになっていくー。そういえばなんか加齢臭みたいな臭いがするわ。」
「そこまでじゃないよ!まだ15歳だ!15歳のハイエルフから加齢臭なんてするわけないだろう!!」
「え~、気のせいじゃないと思うんだけどなぁ。自分では気付かないもの?まぁいいか、リオンのことだし。」
「待って!しないよね!?ねぇヨー兄!ボク臭くないよね!?ねぇ聞いてる!?」
あー、うるさい。なんで会議の度にこいつ等はこうも騒々しいんだろうか。もうちょっと真面目に会議が出来ないのか?遊びでやってるんじゃないんだぞ。仮にも天獣王軍の幹部がこんな体たらくじゃ、部下達に間違っても見せられないな。こんな状態を見せられたんじゃ全体の士気に関わってしまう。もっと静かに冷静に事を運んで欲しいもんだ。
「・・・ねぇ、ヨー兄。ヨー兄は何をやってるの?」
「ん?これか?これはボトルシップって言ってな。作るのに結構集中力がいるんだぜ。」
「へぇ~、それはいいね。集中力を磨けるのか~。・・・でもさ、それってこの大事な会議中にやらなくちゃいけないこと?」
「・・・・・・」
「・・・・・・ウリャーーーッ!!!」
ガチャーーーンッ!!
「ああああぁぁぁぁぁっっっ!!」
「うわーーーんっ!陛下ーーー!2人が、2人がボクの事を馬鹿にするんだーーー!ボクこんなに頑張ってるのにーーー!」
「おーよしよし、おいヨーヘー!今のはお前が悪いぞ!ちゃんとリオンに謝れ!!」
「うっ、悪かったよ・・・。でもさ、俺って結局いつもとやること変わらないだろ。だから別に会議出なくてもいいかなーと・・・。」
「ダーリンは悪くないわ!大丈夫よ!ダーリンの敵なんてローリーが全部吹き飛ばしてあげるんだからっ!だから明日ローリーが活躍したらいっぱい褒めてね!」
「うわーーーんっ!やっぱり全然聞いてなかったーーーっ!!」
「いや、リオン泣くな。ヨーヘーはともかく、ローリーはいつもあんな感じだろ?あれはもう・・・っておい!アホウドリ!お前ぇどこに行くんだ!!」
「クコッ!?えーっと、たしか眠くなったから自室に帰ろっかーとNE☆」
「たしかってなんだ!?眠くなったからって帰るんじゃねーよ!今会議中だぞ!お前さっきリオンが言ったことちゃんと理解したんか!?」
「当たり前さ!えーっと、うーんと・・・いつもより速く飛べばいいんだよNE☆」
「うわーーーーーんっ!!!馬鹿ばっかだーーーー!!もう嫌だーーーーっ!!もうボク軍師やめるーーーー!!」
「落ち着けリオン!大丈夫だ!俺様とシルベスターとヴァンはちゃんとお前のいう作戦を理解してるから!アホには好きに飛んでもらったってあんまり支障はねぇだろ?そもそもあいつに何かを覚えさせるのなんて奴隷解放よりも難しいと思わねぇか?ローリーだって前線で暴れて貰ってれば相手の数が減らせるんだ。後は俺とシルベスターとヴァンがリオンの考えたとおりに動けばリオンの作戦通りに行くんじゃねーのか?な?それでいこう。それでいいよな?」
「うぅ、ヒックヒック。」
「よくわからないけどもう寝てもいいかNA☆なんとなく眠くなってきちゃったんだよNE☆」
「この鳥頭がぁぁぁ!そのまま永眠させてやらぁぁぁっ!!」
「クコーーーッ!!?」
なんとも騒々しい会議である。
軍師様が拗ねてしまったので、今日の軍義はこれで終了。あとはガオーや兄貴がフォローするだろう。




