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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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1話 プロローグ

初めまして。

異世界物を書きたくなったので初の投稿です。

異世界ってなんだかワクワクしますよね。

処女作で慣れていない事もあり、ご都合主義になったり、矛盾があったりするかもしれませんが温かい目で見守って頂けると嬉しいです。

「・・・あ、あっれぇ?」


俺は今戸惑っていた。


辺りを見渡すと草原、草原、草原、草原、岩。


「・・・えっと」


こういう時はありきたりな台詞を言うべき所だろう。ベタだとかそういうのは一切気にしない。というよりこの言葉しか出てこないよ。じゃあ言うよ。

せーの


「どこ?ここ・・・」


よし、落ち着いて思い出してみよう。

名前:石川洋平

年齢:22歳

趣味:料理

職業:フリーター

家族構成:祖父母、両親、姉

今年の3月に大学卒業したが、就職に失敗して就職浪人中。

学生でなくなったので、いつまでも実家に厄介になっている事に負い目を感じて、高校時代から続けていたレストランの厨房のバイトで溜めいたお金を握り締め、昨日から新しい土地で一人暮らしを始めた。


うん、大丈夫。私は誰?状態ではないようだ。

俺の記憶で理解が追いついていないのは、現在俺がいる場所についてだけだ。

とりあえず落ち着け俺。どうして俺がこんな場所にいるのかが解かれば慌てるようなことじゃない・・・わけがない。

いきなり知らない土地だぞ?慌てないといけない場面に決まってる。こんな時に冷静でいられる奴なんてどっかぶっ壊れてるような奴だけだ。

頭の中はパニック状態だが、出来るだけ状況を整理しておかないと前にも後ろにも進めない。

まず直前まで何をやっていたのかを思い出せば、ここいいる原因なんかもわかるだろう。


昨日から始めた一人暮らし。

荷物が片付けが済んだから今後の食生活の為にスーパーに食材関係を買い出しに行っていたんだ。

それで買い物を済ませて帰宅しようと住宅街を歩いていたわけだが・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「くぉおおお!重い!重すぎる!指が千切れそうだーーー!」


一人暮らしを始める為、最寄のスーパーで生活に必要そうな食材や調味料を買い込んでいた。

商品棚を見ている内にあれもこれもと必要になるかもしれない物をカートに入れまくり、帰りの事も考えずに買いあさってしまった。どうせ買うものだし、何回かに分けて来るのも面倒臭かったしね。

まぁこれだけあっても、自炊する身であるし、料理は好きだから使わないということはないだろう。

陳列棚にあった物で使うかもとか思ったやつは全部買った。

まぁそんなことはどうでもいい。今は俺の指が切れしまうのではないかということを危惧している。

俺の両手にはスーパーの大袋が両手に4個ずつ。つまり計8個の袋に詰め込まれた食料が超重い。


気になる袋の中身はというと、野菜海草類、肉類、果物類、調味料類、酒類、香辛料、乳製品、缶詰、卵、米、小麦粉・・・珍味やスイーツの材料、インスタントラーメン等の非常食まで。スーパーでも開くの?ってくらい必要以上に買ってしまった。

うん、これだけあれば大抵の物は作れるな。


言いたい事はわかってる。ちょっと・・・いやかなり買いすぎた。自分で自分に馬鹿じゃねーの?って言いたいくらいだし。この荷物すっげー重くて泣けてくる。

選んでる内に楽しくなってきちゃったんだからしょうがないよね。途中からはもう悪ノリした感じになってた。

カート(2台)一杯に詰め込んだ食材を持って、レジで会計しようとしたらバイトと思われる店員さんにちょっと驚かれてしまった。

俺だって合計金額を見て驚いてしまった。

でもやっぱりやめますって言えなかったのですよ。

だって一品一品一生懸命スキャンしてくれたバイトの子の努力を無駄にするのは気が引けたしね。

やりきった笑顔で金額を告げてきた子にキャンセル通告なんて出来ませんでした。

帰り際に頑張ってくださいねーって応援してくれた事は忘れない。サンキュー!また来るからなっ!

店員の子に覚えて貰えた代償として、諭吉さん数人との送別会を開くことになったのは思い出しても辛い出来事だ。

痛い出費だったが、食べ物だし先行投資だと思おう。これだけあると使われずに賞味期限を迎えてしまいそうな物もあるだろうが・・・。いや、腐る前に何が何でも全部食ってやる!

くぅ、それにしても重いな・・・新居であるアパートまであと1kmくらいあるぞ。・・・タクシー使っちゃおうかな。

まぁこういう時に限って通らないわけだけど。タクシーめ、商機を逃してるぞ!


「フハハハ、この重みは不自由しない食生活への幸せの重みなのだ!そう思えばなんてことないぜぇぇぇ!!」


スーパー袋のあまりの重さに変なテンションになりつつ、住宅街を歩いていると前方に虹が出ていることに気がついた。


「おー、虹だー。あれ?でも雨降ってなかったよなー?雨降らなくても虹って出るもんなのか。うーむ、それにしても珍しいなぁ。」


普通の虹なら俺もここまで惹かれることはなかっただろう。

だがこの虹は俺が今まで生きてきて初めて見たタイプの虹だったのだ。

それは、虹の出発点が住宅街の道路から空に向かって伸びているという現象だった。

通常、虹は空に橋のように掛かっているものだ。

昔、まだ俺がアホだった頃、空に虹を見つけたら虹の橋の出発点を見つける為に無駄に虹に向かって走ったもんだ。

その時はどうしても辿り着けなかった虹の出発点が今目の前にある。

夢にまで見た虹の橋を渡るチャンス到来だぜーっ!

まぁ昔に比べればアホではなくなったと自負しているわけで、所詮虹なんて光だし、触れない事なんてわかっている。仮に、仮にだ、もし触れたとしても角度が急すぎてこんなもん登れるわけないけどな!これほぼ垂直ですもん。こんな角度のロック、いや、レインボークライミングなんて出来るわけない。それにこの荷物だしね。

でも、昔夢にまで見た存在が目の前にあるんだ。たぶんこんなチャンスはもう二度と無いだろう。


「とりあえず、突入するっきゃないっしょー!」


現実的に考えればこれはただの光。それでももしかしたらという可能性を否定しきれない。

ふっ、22にもなって俺にこんなメルヘンな一面があるということに驚きだぜ!

でもあとで後悔しない為にも出来る事はやっちゃいますよーー!

うぉー!テンションマーーーックス!!


「ひゃっほぅ!虹の橋よ!俺が渡りきるまで消えるなよ!洋平、いきまーーーっす!!とぅっ!!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



そして冒頭に戻るわけだけど、虹に触れたかと思ったらなんか浮遊感に襲われて気付いたら草原でした。


どうやら住宅街から草原にワープしてしまったようだ。住宅街どこにもないしな。

生えている草を見るが、初めて見る品種だ。太陽も心なしかちょっと大きくなっているような気がする。

空気もさっきまでいた住宅街とは全然違う。


「そうか、随分と意識がハッキリしているけどこれは夢なのかもしれないな。」


風の感触も感じるし、荷物の重みを感じているが夢に違いない。だってこんなの普通ありえないじゃないですか。

おそらく俺は虹に触れた途端、急に眠くなって寝てしまったんだろう。あの浮遊感は意識が飛んだから起こったものなんだ。

夢なら痛みは感じないはずだ。そう思って俺は自分の髪の毛をつねってみた。


「ほらやっぱり痛くない。これは夢なんだ。」


違う、つねる場所を間違えた。髪の毛はつねられても痛くない。冷静になれ俺。

ふっ、俺とした事がかなり動揺しているようだ。

改めて痛みを感じるところをチョイスしないといけないな。

はて?何をすれば痛いんだっけ?

痛みで連想されるもの。

歯医者、タンスに小指、ジュニア・・・

ここに歯医者はないから歯医者は無理だ。

同様にタンスもない。

・・・・・・となるとジュニアか?

視線を股間に移す。


「・・・・・・」


や、やれるのか?てかやらなきゃダメだろうか?

ジュニアは「ぶたないでー」と怯えているように見える。無抵抗なジュニアを叩くだなんて・・・。

虐待で訴えられたりしないだろうか?児童相談所から警告を受ける可能性もある。しかし、現実かどうかを確認するにはもうこれしか方法が・・・

俺の頬に一筋の汗が垂れる。


くっ・・・やるしかないのか?手が、足が、いや全身が震えるぜ。


覚悟を決めて拳を振り上げて狙いを定める。

許してくれ息子よ。俺だってこんなことはしたくない。でもこれが現実なのかを確かめるには仕方が無いことなんだ・・・!

腕を高くあげた事で手に持っているスーパーの袋が腕に食い込んで痛いが、この重みを拳に乗せれば更なる威力を・・って待て待て。

今俺は何を思った?スーパーの袋が腕に食い込んで痛い?

痛み感じてるじゃないか。

よく考えたら別にゴールデンアタックを仕掛けなくても痛みを感じる方法はいくらでもあったはずだ。何を血迷っていたんだろう。

とまぁ、痛みを感じたということはこれは夢じゃないということだな。

夢じゃないとなると現実ってことになるのかなぁ?


改めて周りを見てみるがなんとなく俺の知ってる世界じゃない気がする。


ありえない。本当にありえないが、一番納得出来る可能性が浮かび上がった。


ここはもしかしたら異世界という場所なのかもしれない。


「・・・さて、帰るかな」


踵を返して戻ろうとするが、ここに来た原因だと思われる虹は見当たらない。

わかってた!さっき周りを見渡した時にそんなものは無いってわかってたけど!

ぶんっぶんっぶんっ!!

自分でもそれはないだろうというくらいのオーバーリアクションで虹を探す。


「どどどどどど、どこに行った!?虹ーーーーーーーっっっ!!!」


大いに取り乱して虹を探すが、洋平をここまで連れてきたであろう虹は綺麗さっぱり消えているのだった。

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