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いっちゃん(第二部)  作者: Thomas C. Knitter


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第三十一話「いっちゃん、仕事と高校を辞める」

昭和二十九年夏。

一年三ヶ月ぶりに伯母さんに家に戻ったいっちゃんの心は、ぽっかり穴が空いたようになっていました。

昭和二十九年夏。

一年少し働いた私は、弱った心臓のせいで、伯母さんのうちで療養していた。

伯母さんは、病気になって帰ってきた私を不憫に思ったのか、

「女の子にそんな教養なんかいるもんか、体壊すまで頑張らんでええ。仕事をせんでもここで家事をやりながら体を治しゃあええんじゃ。全部やめてしまえ」

と強い口調で言い出した。こうなると、伯母はもう止まらない。自分の思い通りになるまで、言い続ける。

「そがぁに大したことぁ、ないんよ。会社が大袈裟に言うとるだけじゃけえ、もうだいぶ、ようなってきたし、もう少ししたら、会社へ帰ろうと思うとるんよ」

私は必死で伯母を説得しようとした。

「そがぁなこと言うて。ここにおるんが嫌なんか?」

「嫌じゃなあよ。嫌じゃったら、帰ってこん。ここがええけぇ、帰ってきたんよ」

「へじゃ、もう会社に行かんでもええ。ここで花嫁修行すりゃあいいんじゃ」

「いや、でも……」

「よし、もう決まりじゃ。わしが会社に言うちゃる」

「伯母さん、やめて。わかった。私が会社に連絡する」

「ほうか。わかってくれたんか。じゃあ、ここでゆっくり休んどき」

「……わかった」

私は病気のこともあって、それ以上、強く言うことができなかった。


こうして私は、会社と高校を辞めることになった。

はっきり退職が決まった時、

(ああ、これで教師になる夢も終わりか……)

私は目標が何もなくなってしまい、気力がなくなってしまった。

それからしばらくは、ぼーっと伯母さんの家で暮らした。


そして一年近く経った昭和三十年六月の雨の日、成羽の俊雄伯父さんから、私宛に手紙がきた。

(なんだろう?)

と思って読んでみると、そこには……。


(つづく)


「夢が終わった」

そう確信した瞬間の、何とも言えない虚脱感。

俊雄伯父さんからの手紙が、いっちゃんを新たな道に導くのでしょうか?


明日もお楽しみに。

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