42 水源での戦いと悪だくみ2
半分しかアップできてなかったので追加しました。確認大事。
「途中から足止めて見てましたよね」
「なんだ、随分余裕があるな」
加勢しなかったことをカージスに責められるが早川は軽口で流す。
「さて、問題の水源はどうなってるかな」
言って、水源を見るように促す。
「なんか黒っぽいぼんやりしたのがいっぱい動いてませんか」
「……私にはよく見えませんが」
「魔物か」
水源にいたのは実体を持つ前の小型の魔物だ。
カージスは何となく視認でき、マシュウには見えない。ナルミスははっきりと見える。
それぞれの持つ能力やこれまでの積み重ねで感知できる範囲が違ってるのだろうと早川は推測する。
カージスが不完全ながら視認できるようになっているのは、この間城での魔物退治にずっと同行させたからだ。
マシュウも魔物退治に付き合わせればその内視認できるようになるのではないかと考える。
それでも、もって生まれた才能だけはどうにもできない。国にいた頃、清六をひたすら同伴させても彼には見えるようにはならなかった。
「一旦、塞き止められないか」
「こうか」
ナルミスが氷魔法で流れを塞き止める。
「じゃあ、つぶしていこう」
「えぇ、こんな細かいのを一つずつ……?」
「なんか方法があるなら考えてくれ」
カージスの正直な感想に苦笑で返す。早川自身も面倒でしょうがない。
「これはどうだ」
どうするのかと見てるとナルミスが水面全体を凍らせる。それを上から衝撃を与えて粉砕した。
「お前はかっとしなければ普通に頭が回るのになあ」
「んだとこらぁ」
一言余計な感想を言ったせいで、また簡単にキレかける。
クリフォードはどうやってこいつを制御していたのかを知りたい。
辺りを警戒しながら退却する。何事もなく山を降りきった。
「お前、なにもしなかったな」
ナルミスがマシュウに告げる。こいつのこういうとこは実にいかんと早川は思う。
「俺が弓奪って、お前が魔法で暴走したせいだぞ」
事実を指摘すると気まずそうに口をつぐむ。
王子の側近と言う立場にいたから増長していたのだろうか。あるいは強すぎる魔法力のために見逃され続けてきたのか。
「もっと武器が欲しいよなあ」
近接格闘が苦手で魔法が扱えなくても破壊力のある武器があればマシュウのような非力な兵士も十分に仕事ができる。その理想は銃だ。
「その辺をちょっと話し合わないか」
今日はもう宿に戻るだけだ。食事がてら話をすることにした。
「この国には銃はないのか?」
これだけ魔法が発展していれば、無くても不思議ではない。
「一応あるが、数はそんなに無い」
だが存在している。これはいい情報だと喜ぶ。
「この国では硝石がとれないのだ」
「ああー」
だがぬか喜びだった。
「クリフォード王子が他国に硝石の輸入を依頼したが、色好い返事はなかった」
「まあ、武器の原料寄越せって言われると戦争でもすんのかって思われるわな」
あいつはようやっとると思いつつ、感想を言う。
「馬糞を発酵させれば作れるらしいが五年くらいかかるらしいしな」
銃の量産は難しそうだ。
「硝石って人工的に作れるのか!? 馬糞!?」
「俺もよく知らんが、冷暗所に置いて発酵させるそうだ」
よく知らないので、作り方の話はここで終いにしたい。
「国に現存してるのをかき集められないのか?というか国の一大事なのに国の兵力を使わないのか?」
「……クリフォード王子がいた頃は騎士団を率いて討伐していたんだが」
「いきなり知らんやつにはついていけんってか」
とてもわかりやすい。
国の兵力が使えないなら、別のところから兵力を調達しなければならない。
「ならば各地を治める領主共から兵力を頂戴しよう」
早川の言葉に彼らは微妙な表情をしている。
そんなことができるのかといった疑問や、各地の領主がそんな兵力を持っているのかといった疑問が浮かんでいる。
「この国はとても平和な国だが、火種はしっかり抱えている。王の後継者争いなんて典型的だ。俺の国の戦乱の始まりも跡目争いがきっかけだった」
どこの国でも人間の本質は同じだなと思わされる。
「その争いを望むなら各自が兵力を蓄えて準備しているはずだ。その兵力をいただこうぜ」
にやりと笑って言うと、隣に座るナルミスの肩を組んで
「第二王子派の勢力を削いでやろうぜ」
と続けた。ナルミスの瞳が分かりやすく揺れている。
「金でも兵士でも武器でもどんどん出してもらおう。お前が個人的にむかついてる貴族共からもふんだくってもいいな」
ナルミスは黙っているが葛藤しているのが手に取るようにわかる。簡単に誘惑に乗ってくれそうでありがたい。
「だから貴族共の勢力関係なんかを教えてくれ」
とても楽しい謀略の始まりである。




