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選ばれしもの

「ずっと貴方を捜していました」

 道端で猫に話しかけられた。長いしっぽがしましまの、麦わら猫だ。

「猫に興味がなく、我々が話しかけても無視する。貴方こそがふさわしい」

 もしも猫好きの人に話しかければ、立ち止まってくれるだろうに、私はあまり動物が好きではないから、一瞥だけして足は止めない。

 猫は急ぎ足でついてくる。

「貴方は猫にも、猫が話すことにも全く興味がない。それゆえに、この話のメリットだけがお分かりになるはず」

 もう一匹、白猫が合流した。黒猫が塀からおりてまた合流する。

「明日、猫又会議がございます。我々四つ足の中でも、年経た、尾の分裂した生き物です。決して人に見られてはならない会議、とはいえ、遠方から来る方々に記念品をお渡ししなくてはならない」

 マタタビ酒セットを、人の店に注文しましたが受け取り手がいないのです、と猫は悲壮な顔つきで言う。

「我々の代わりに、これからそこの空き地に届くマタタビ酒を受け取っていただきたい。代金はもう振り込んであるので」

 人間と直に接触しなければ、我々が猫又とは知られませんから、社会活動は可能でして、と猫は続けた。

「直接人間に遭遇する場面のみ、猫又を世間に広く知らしめたいとは思わない、無関心な人間に頼まなくてはならないのです」

 お礼にマタタビ酒をひと瓶くれるという。

 ネコモンドセレクション金賞の、珍しい品らしい。

 猫には興味がない。猫又を動画にして拡散するつもりもない。

 お土産は、少し気になる。

 答えはイエスしか思い浮かばなかった。

「ずっと貴方を捜していました」で始まり「答えはイエスしか思い浮かばなかった」で終わります。

#こんなお話いかがですか

shindanmaker.com/804548


から、始まりました。

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