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荒れ野を行く
荒れ野を歩くと、足裏から草花が伸びる。双葉、四つ葉。茅のスッと伸びた葉。重たげな茎と蕾が振られて、ぱっと花が開く。
「姫様!」
呼ばれたけれど振り返らない。
生白くて細い足裏は、荒れた大地で傷だらけになる。
「どれだけ無様でもね。力を温存するよりはいいと思ったの」
嘯いて歩いていく。
草花の種は貴重品。種籾すら食い尽くされる時代を乗り越えたそれを、神殿は大切に育ててきた。
豊穣の女神として生まれ、避けられない荒廃によって冬眠した自分も、緑が増えるたびに力を取り戻しつつある。微力でも、幾分か豊かな土地を増やしてやりたい。
鳥や獣やお前たちのためにと、小さくなった女神は祈って歩いた。
#Monthly300 @mon300nov
毎月300字小説企画第41回お題・葉




