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第7話「彼女の余白」——著:学生
『名もなき誰か』
著:学生
この物語には、
英雄は登場しない。
名前も知らない誰か。
誰にも覚えられていない誰か。
声をかけなかった人。
ただ、
見ていただけの人。
一通のメールを送った人。
たった一枚のメモを
残した人。
そのときは、
何も起きなかったように見える。
本人だって、
きっと気づいていない。
けれど、
その小さな何かが、
誰かの選択を変えていることがある。
人生を変えた人は、
そのことを知らないまま
生きているかもしれない。
だから、
物語を動かしているのは、
いつも物語の中心にいる人とは限らない。
もしかしたら、
名前のない誰かが、
知らないうちに、
次の一行を
書いているのかもしれない。
――物語には、
名前のない席も、ちゃんとある。




