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短編B-③ 『観測者が最初の一行を書く日』  作者: Taku


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第7話「彼女の余白」——著:学生







『名もなき誰か』


           著:学生


この物語には、


英雄は登場しない。


名前も知らない誰か。


誰にも覚えられていない誰か。


声をかけなかった人。


ただ、


見ていただけの人。


一通のメールを送った人。


たった一枚のメモを


残した人。


そのときは、


何も起きなかったように見える。


本人だって、


きっと気づいていない。


けれど、


その小さな何かが、


誰かの選択を変えていることがある。


人生を変えた人は、


そのことを知らないまま


生きているかもしれない。


だから、


物語を動かしているのは、


いつも物語の中心にいる人とは限らない。


もしかしたら、


名前のない誰かが、


知らないうちに、


次の一行を


書いているのかもしれない。


――物語には、


名前のない席も、ちゃんとある。










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