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私は死ぬでしょう  作者: 鬼火の子
外の世界より
7/7

兄の思い

お久しぶりです。

兄の視点です。





 私はあの子の兄だ。


 あの子、私の妹はとても魔力が強く、将来を期待されていたが、身体が弱く、それ以上に心が脆かった。


 本当に、心が脆かったのかは、今でも分からない。


 ただ、心が本当に脆かったら、幼少期から続く病に心が負けていただろう。


 だとすると、あの子は強かったのだろうか。





 あの子の訃報が入ったとき。


「ああ、来てしまったか」


 そう感じただけで、涙は出なかった。


 あの子の生命を握った精霊王に、刃向かう勇気は私にはない。ただ、あの子の行く末を後ろから遠くで見つめるだけ。


 なんと、最低な兄であったか。


 慰める言葉も、あの子にとっては薬の一つにもならない。あのドクズとの恋をやめ、他の人にしろ。と言っても、あの子は耳も貸さない。


 あの子にとっての唯一は、ドクズだったのだろう。


 だから、結局は私が何を言っても、あの子のドクズへの気持ちは変わることがなかった。


 あの子の一番は、私たち家族でも、あの子自身でもなく、あのドクズ。


 生命を落としても、魂を精霊王たちに握られても、あの子の至上はドクズで、その為の対価は怖くなかったのだろう。


 ただ、ドクズといたいが為に、あの子の長らえた生命は一瞬にして消えてしまった。





 ゴーン、と葬送の鐘の音が聞こえた。


 囲む棺桶に、あの子がいないことわ私は知っている。あの子はもう、人間の世界にはいないのだろうか。


 あの子は、精霊王のもとへ行けたのだろうか。


 あの子が精霊王のもとで、楽しく幸せになってくれるなら、感謝を捧げよう。


 前を向けば、ドクズが涙を流し、憔悴していた。


 頬が痩け、無数の涙の跡がこびり付いている。空になった瞳で棺桶を見つめている姿に、不謹慎だが嗤ってしまう。


「ざまぁみろ」


と。


 私はあの子と精霊王の契約を知っている。


 だから、あの子が結婚二年後に死ぬことも、悟っていた。


 ドクズが、あの子を愛さないことを知っていたから。


 ドクズにとってのあの子は、都合のいい道具だ。自己肯定感を高める為の、都合のいい道具。


 今までずっと、都合のいいようにあの子を使ってきたことを、私は知っている。


 だからこそ、

「ざまぁみろ」

と、口を動かすのだ。



 あの子を救えなかった最低な兄は、ただ後悔しながら、ドクズを嗤う。


 どうか、あの子が精霊として、幸せにやっめいることを祈りながら。


 感謝します、精霊王様。


 どんな形であれ、あの子と少しの時間を長く過ごせたのだから。


 怨みます、あの子の元旦那よ。


 あの子が長く生きたかもしれない未来を、潰したのだから。

ありがとうございました。

これにて、本当に完結です。


現在、新作「世界最高峰の魔術学園に行ったら、探し人(その1)がいた〜伝説の始祖様、旧友を探す〜」を投稿しました。


是非、ご覧ください。

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