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魔法士希望の令嬢は武闘派天使と世界を救う  作者: 綾瀬 ちいの


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初投稿です。よろしくお願いします!

天界と地界。

天界には天使が、地界には人間が住んでいる。

そして地界の大陸の中心部、中央都市「イクイリオン」、その地のみが天使と人間が共存する場所……


 の、はず、だよね?



なぜか今、私の目の前に天使が倒れてる!

ん?え?ここは中央都市でもなんでもない地界のはず……

と、とりあえず容態の確認と必要なら治療だよね。



私は慌てて走り寄ると行動を始めた。

「大丈夫ですか!?」

体をたたく。意識なし。

怪我は……ちょ、ちょっと擦り傷みたいなところが数カ所?

見た目はそこまで酷いようには見えない。でも意識がないということは打ち身とか、内臓系の損傷?

もしかすると、もしかして、天界からの落下事故とか!?頭を強く打ってたらどうしよう!

「私の治癒魔法でなんとかなれば良いけど……」

まだまだ発展途上な私の治癒魔法を全力で天使様に使い始めた。

頭の中は大混乱だけども-!



とりあえず全力で治癒魔法を使いながら今の状況を考える。



この世界は天界と地界、あとは神様が住まうと言われる神界が存在する。

神界においては誰も見たことないし神話レベルの存在ではあるが、天界と地界は実在する。


天界は天に浮いた世界で天使が住み、地界は地上にある大陸を指し、そこには人間が住む。

地界の中心には空間の大きな歪みが存在し、そこから魔物が発生する。

そのため空間の歪みのある大陸の中心を防壁と魔法結界で囲み、その土地を中央都市「イクイリオン」と呼ぶことになった。


そして天使は主に天界に住んでいて地界に降りてくることはない。

唯一魔物を討伐するときに中央都市「イクイリオン」に降り立ち人間と協力をして魔物の討伐を行う・・・というのが私の知っている知識である。


ちなみに私は12歳の伯爵令嬢。

ごく普通の、一般的な、どこにでもいる伯爵令嬢、である。

今日は毎日の日課である魔法の練習をしようと思って伯爵家の敷地内の訓練場にやってきたところ、この天使様が倒れているのを発見したのだ。


え?なんで天使様ってわかるかって?

そりゃああれよ!真っ白なキレイな二枚の翼!

これぞまさに本で読む天使様の特徴的な姿。人間に翼は生えてないから。

それに倒れているのにうっとり見とれてしまいそうな輝かしい雰囲気を感じる。

すごい存在感で本当に困ってしまう。

いやいや、今は治癒魔法に集中しなければ……!


「私の治癒魔法で間に合うかしら……魔力がつきたらとにかくすぐに誰か呼びに行かないと……!」


治癒魔法が発現していて良かった!と心から思う。

天使様は魔法がとにかく得意で何属性も持ち、人間よりも魔力量も多いのだと聞いたことがあるけれど、人間はそうはいかない。

まず魔法を使えるのは人間の一部のもので(貴族の血縁に多い)、さらに発現する魔法は1つから2つが平均的。

発現する属性だって選べるわけではないし、そもそも魔力量が天使様よりもずっと少ない、らしい。

だから私が魔法を使えて、さらに治癒魔法を発現していたのは奇跡だ!と、思ったのだけど……


「治癒魔法が使えても天使様が回復するまで私の魔力持つかしら……」


魔法を使えるようになるのはだいたい10歳前後で、魔力を持って生まれた子どもたちはある日突然体のどこかに属性の紋章が浮かび上がり、その日から魔法が使えるようになるのだ。

私も例に漏れず、10歳の時に治癒魔法と氷魔法の紋章が現れて使用できるようになったので、言ってもまだ2年なのだ。

毎日魔法の訓練しているとは言え。


「んー……見た目は問題なさそうなところまで治った気がする!たぶん、でも目が覚めないってことは体内かしら?まだどこか治っていないのよね?実際に大怪我の人に治癒魔法かけるの初めてだから良く分からないー!」


分からないけども!とにかく目が覚めるまで、私の魔力が尽きるまでかけ続ける!


気合いを入れ直すと私は治癒魔法に集中しなおした。

魔力は、まだ大丈夫そう、たぶん。


「――……様……!いらっしゃいませんか――――バルデウス様!」


遠くから誰かの声が聞こえてきた。

まだ結構遠くにいそうだけどすごく必死で大きい声で叫んでいるようだ。

きっとこの天使様を探しに来た方ね!

良かった!治療を手伝ってもらえるかも!


私は思いきり空気を吸い込むと令嬢にあるまじき大声で叫んだ。


「ここです!!ここにいます!!天使様ですよね!?ここでーす!!」


するとすぐに相手からも反応があった。


「――!そちらにいらっしゃるのですね!すぐに向かいます!」


良かった。私はほっと息を吐いた。

きっとお母様が聞いていたら怒られるであろう大声を出してしまったけど、人命救助……いや、天使様救助だし、許してくれるだろう。

どうも普通のご令嬢よりも元気がありすぎるようでお母様にはよく注意されてしまう。

ご令嬢とは大変なのだ。


この伯爵家の訓練場は森に隣接している。

伯爵家の屋敷の裏にあり普段は境界騎士団も訓練に使用している、しっかりとした訓練場だ。

先ほどの声は森の方から聞こえてきたので、私も治癒魔法をかけ続けながら森の方を目をこらして確認していると、がさがさと木々が揺れるのが分かった。

するとそこから、なんと、短めの銀髪がきらめく天使様がいらっしゃった……!もちろん真っ白な翼もきらめいていて――。

うっかり私は見とれてしまった。本当に、天使様とはなんて美しいのだろうか……。

おっと、見とれている場合ではなかった!


「こちらです!お探しの方はこの天使様ですか?私が見つけたときはお怪我をされていたので今治癒魔法をかけているのですが……怪我は治っていそうですがまだお目覚めにならなくて……!もしよろしければ治療を変わっていただけると……」


現れた天使様に驚きつつも声をかけた。

すると銀髪の天使様もこちらに気が付き走り寄ってくる。その表情は心配した悲壮な顔、ではなく、なぜか困惑したような表情で。


「え……?怪我?目が覚めない?バルデウル様に限って?まあ100歩譲って怪我は分からなくはないですが……」


怪訝そうに呟く。

その内容は、聞こえてはいるけれど私にはよく理解できなくて。


「て、天界から落ちてしまわれたのでしょうか?見た目の傷はそれほど酷くないようには見えたのですが、目を覚まされないので。もしかすると強く体を打ち付けたとか、あるいは頭を打ってしまったとか……。

私の治癒魔法ではだめなのかも知れません、もしよろしければ代わっていただけないでしょうか?」


すると銀髪天使様は無言でなおかつ無表情で倒れている金髪天使様に近づき顔をのぞき込むと、何かを確信したのかため息をついた。

その後こちらを見てふんわりと優しい笑顔を浮かべ、


「これは、挨拶が遅れてしまい大変失礼いたしました。

私はムニアンと申します。この度は我が主を助けて下さり誠にありがとうございました。治癒魔法をかけて下さったのですね。お心遣い感謝いたします。」


と言い、自分の胸に手を添えて優雅に頭を下げる。

その所作があまりに美しくて私は挨拶も忘れて見とれてしまった。

そんな私に銀髪天使様は、もう治癒魔法は大丈夫ですよ、と声をかけて魔法を止めさせると、すっと無表情になり、金髪天使様にむかって口を開く。


「バルデウス様。気づいていらっしゃるのに何をやっているのですが。……必死に治癒魔法かけてくださっている方に失礼だと思わないので?」


心なしか低い声でそう言って金髪天使様の鼻を――つまんだ。


「――ぶふっ!!ちょ、おまえ何するんだよ!!苦しいだろ!」


なんと金髪天使様、目覚める。いや、目覚めて、いた?


私はぽかーんとして二人を眺めていたが、金髪天使様の開いた瞳を見ると別の意味でまたぽかーんと時を止めてしまった。


透き通って光り輝くプラチナブロンドの長めの髪は揺れる度に光りをまき散らすようにきらめき、群青色の深みのある青の瞳は吸い込まれるように神秘的で――。

産まれてまだ12年だからかもしれないけれど、こんなに美しい人は初めて見た。

いや、美しいなんてものではない、神々しい、とでも言うのだろうか。

私はこの方を的確に表す言葉を知らない。

そのくらい、美しいと思った。


例え、鼻をつままれて吹出して目を覚まし、言葉遣いが、やや外見とかけ離れたイメージを醸し出していても。

……なんかとっても残念な感じは否めないが……。





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