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鼠谷健一郎の並行世界な話  作者: しろ


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第一話 似て非なる文化

第一話 似て非なる文化


「俺達は、君が蹴飛ばされる様を、一部始終見て居たんだが、特に、変わった事は、見て居ないよ」と、鼠谷は、見解を述べた。黄兎が、ボサボサ頭の男子生徒に蹴飛ばされて居ただけで、おかしな点は、見当たらなかったからだ。

「ちょっと、待て!」と、豚崎が、待ったを掛けた。

「ひょっとすると、“異世界トラック現象”とでも、言いたいのですか?」と、比手元が、口にした。

「そ、そうだ…」と、豚崎が、口を尖らせた。

「ピテに、先を越されたみたいだな」と、鼠谷は、察した。豚崎が、台詞(せりふ)を取られて、悔しがって居るからだ。

「その、“異世界トラック現象”って、何だい?」と、黄兎が、質問した。

「そうだなあ。簡単に言えば、事故みたいなのに遭って、別の世界の生物へ、“転生”するって事かな…」と、豚崎が、説明した。そして、「お前、何かしらの“事故”みたいなのに遭ったか?」と、尋ねた。

「そうだねぇ。巻き物を、授業中に読んで居たら、担任のカリヴァーに、しばかれたかな?」と、黄兎が、苦笑した。

「とんだ、暴力教師だなぁ〜」と、豚崎が、ドン引きした。

「そうですねぇ。今の時代なら、大問題ですよ!」と、比手元も、同調した。

「昭和じゃあ、当たり前だったけどな」と、鼠谷は、ぼやいた。担任に、よく、理不尽な八つ当たりをされていたからだ。

「しかし、“異世界トラック現象”を引き起こすとは、相当な馬鹿力だぜ」と、豚崎が、表情を強張らせた。

「ですね…」と、比手元も、苦笑した。

「昭和って、物騒な時代なんですねぇ」と、黄兎が、口にした。

「そうだな。“世界大戦”が在ったり、“校内暴力”なんてのも、在ったかな?」と、鼠谷は、淡々と言った。“世界大戦”とか“校内暴力”に、遭遇していないが、テレビ番組(ドラマ)やニュースで、見た事が在ったからだ。

「“世界戦争”って、八回在ったよね。第一次世界戦争は、“宇宙ステーション落とし”から始まったって、習ったよ」と、黄兎が、したり顔で語った。

「お前の“世界”の歴史をぶっ込むんじゃねえ!」と、豚崎が、指摘した。

「そうですよ。僕でも、“世界大戦”は、“二次”までしか教わってないですよ」と、比手元も、補足した。

「ええ⁉ そんなに少ないの!」と、黄兎が、素っ頓狂な声を発した。

「どうやら、俺らは、お互いの“世界”の事を知るべきなんだろうな」と、鼠谷は、見解を述べた。このまま、会話を続けて居たら、自分を見失いそうだからだ。

「確かに、珍妙な兎と会話している時点で、まともじゃないもんな」と、豚崎も、理解を示した。

「僕は、別に、兎が喋っても、おかしいと思いませんけどね」と、比手元も、意に介さなかった。

「この中で、僕は、“異質”な存在みたいですから、鼠谷さんの言うように、この世界の“流儀”を知るべきですね」と、黄兎も、理解を示した。

「鼠谷、何から質問するつもりだ?」と、豚崎が、冴えない顔で、尋ねた。

「そうだな。社会構造的なところかな?」と、鼠谷は、回答した。自分達の社会構造と、黄兎の社会構造から比較してみた方が、良いからだ。そして、基本的な事を尋ねた。

 しばらくして、「多少の文化のズレは在るが、社会構造は、あんまり変わらないみたいだな」と、鼠谷は、感想を述べた。自分達の社会構造と大差無いからだ。

「鼠谷さん。“異世界トラック現象”で、元の世界へ帰られるかなぁ〜?」と、黄兎が、不安がった。

「豚崎、どうだ?」と、鼠谷は、眉根を寄せた。ラノベ的な話なら、豚崎が、詳しいと思うからだ。

「“転生”は、無理だろうけど、“転移”なら、可能性は有るんじゃないのか?」と、豚崎が、険しい表情をした。

「豚崎先輩。しばかれて、こっちの世界へ跳ばされたのでしたら、“転生”の可能性が高いんじゃないんですか?」と、比手元が、口を挟んだ。

「確かに、担任にしばかれた事が、事故だとすると、“転生”になるかも知れないな」と、豚崎も、頷いた。

「つ、つまり、僕は、担任に、殺られちゃったって事っ!」と、黄兎が、素っ頓狂な声を発した。そして、「こっちの世界で、生きて行く事になるのか…」と、溜め息を吐いた。

「あんまり、気を落とすなよ」と、鼠谷は、慰めた。異世界へ、独りになって、不安になるのも、何となく、理解出来るからだ。

 その直後、「よっしゃあーっ!!」と、黄兎が、歓喜した。そして、「これからは、こっちの世界を“堪能(たんのう)”するぜ!」と、小躍りした。

「滅茶苦茶、喜んで居ますよ!」と、比手元が、目を見張った。

「おい、あんまりはしゃぐなよ」と、鼠谷は、注意した。騒がれると、目立って、面倒な事になるからだ。

「す、すみません…」と、黄兎が、神妙な態度で詫びた。

「相当、嫌だったみたいだな」と、豚崎が、推察した。

「だって、問答無用で、先にしばかれて居ましたからねぇ」と、黄兎が、清々しい表情で、口にした。

「何だか、戦時中を再現した番組を連想させるな」と、鼠谷は、顔を顰めた。教師が、生徒を平手打ちする場面(シーン)が、度々、描かれているからだ。

「この世界では、戦争なんて無いのかい?」と、黄兎が、怪訝な顔をした。

「そうだな。少なくとも、この国ではな」と、鼠谷は、言葉を濁した。海外では、色んな場所で、“戦争”をやっているからだ。

「そうなんだぁ〜。僕の世界じゃあ、第八次世界戦争の真っ最中だね」と、黄兎が、しれっと言った。

「“第八次”って、想像がつかねぇな」と、豚崎が、頭を振った。

「そうですね。考えただけでも、ゾッとしますねぇ」と、比手元も、表情を強張らせた。

「まさか、“核兵器”が、主武装になっているとか…?」と、鼠谷は、息を呑んだ。第八次ともなると、原爆みたいな兵器が、通常兵器として使用されてても、おかしくないからだ。

「確かに、“第三次”くらいまでは使っていたけど、“第四次”からは、使われなくなったよ」と、黄兎が、回答した。

 その刹那、「え⁉」と、三人は、面食らった。

「ひょっとして、“核兵器”を上回るような兵器が、開発されたとか…?」と、豚崎が、声を震わせた。

「いいや、違うよ」と、黄兎が、頭を振った。

「じゃあ、どんな“戦争”をして居たんだ?」と、豚崎が、小首を傾いだ。

「そうですよ。核戦争に突入していても、おかしくないでしょう!」と、比手元も、口添えした。

「まあ、通常兵器に戻ったんじゃないのか?」と、鼠谷は、口にした。核以外の兵器を使うとしたら、自分達の世界の通常兵器だと考えられるからだ。

「う〜ん。第三次の時に、燃兵器を撃ち過ぎちゃって、瀬戸内領域以外は、吹き飛んじゃったんだよね」と、黄兎が、表情を曇らせた。

「マジかよ…」と、豚崎が、愕然となった。

「聞いているだけで、ゾッとしますね…」と、比手元も、身震いした。

「おいおい。俺らの世界でも、“核兵器”をチラつかせているヤバい奴らが、居るからな。下手すりゃ、この星自体が、消滅しかねないくらいの量が有るからな」と、鼠谷は、表情を強張らせた。“大国”が、核武装をして、粋っているからだ。

「第三次は、まさに、大惨事でして、その“燃兵器”使用を止めて、“釘バット”での殴り合いへ移行したんですよ」と、黄兎が、語った。

「つまり、それが、第四次世界戦争って事か…」と、豚崎が、苦笑した。

「ええ。近隣(きんりん)ですので、“燃”は使えませんし、ミサイルや砲弾を使うのは、高く付きますので…」と、黄兎が、理由を述べた。

「何をやるにも、お金が要りますからねぇ〜」と、比手元も、眉根を寄せた。

「じゃあ、“第四次”は、どんな戦争なんだ?」と、鼠谷は、眉間に皺を寄せながら、問うた。安上がりな戦争とは、どんなものなのか、想像つかないからだ。

「“草やきう”という、投げて、打って、走るというルールに変わっちゃいましたよ」と、黄兎が、回答した。

「ひょっとして、“野球”じゃないか?」と、豚崎が、口にした。

「何とも、平和的じゃないか!」と、鼠谷は、称賛した。スポーツで解決出来るのなら、素晴らしい事だからだ。

「鼠谷先輩。僕らの知っている“野球”なら、勿論(もちろん)、素晴らしい事ですよ。けれど、ちゃんと、内容を聞かないと…」と、比手元が、指摘した。

「そうだな。詳しく聞いておかんとな…」と、鼠谷も、頷いた。戦争の手段の一つだから、似て非なるものだと考えられるからだ。そして、「一応、“草やきう”ってのを、詳しく教えて貰えないかな?」と、要請した。

「う〜ん。どこから説明したら良いかなぁ〜?」と、黄兎が、険しい表情で、前足を組んだ。

「じゃあ、“打つ”ところから、説明して貰おうか?」と、鼠谷は、促した。一応、“打つ”から聞いてみれば、共通点が在るかも知れないからだ。

「“打つ”はだねぇ。“釘バット”で、敵の投げる“手投げ弾”を打ち返すんだよ。それを、双方が、後退でね。でも、“三人以上”が、殺られちゃうと、後退だよ。でも、“三人未満”だったら、何度でも、やれるんだよ」と、黄兎が、語った。

「それは、何回くらいだい?」と、鼠谷は、質問を続けた。

「大体、九回くらいだね」と、黄兎が、回答した。

「形式は違うけど、九回というところは、共通しているな」と、鼠谷は、理解を示した。投擲(とうてき)物を打ち返すのは、同じだからだ。

「“打つ”と“投げる”は、解ったけど。“走る”必要なんて、無いんじゃないですか?」と、比手元が、疑問を呈した。

「そうだな。“走る”要素が、見当たらないな」と、豚崎も、同調した。

「“投打”だけで、成立してそうだけどな」と、鼠谷も、“走る”必要性には、眉を顰めた。そして、「一応聞くけど、“走る”ってのは、何をするんだ?」と、問うた。投擲物を“投げて”、打ち返すだけだから、“走る”場面が、想像出来ないからだ。

「“DR”という走り専属の兵士が居て、相手の基地に忍び込んで、情報を盗んだり、指揮官の暗殺又は、施設の破壊をして、生還するのが、主な役割なんだけどね。どれか、一つでも成功させれば、その“戦闘”は、“強制終了”になるんだよね」と、黄兎が、説明した。

「“DH”なら、聞いた事は在るが、“DR”は、初耳だぜ」と、豚崎が、冴えない表情をした。

「君達の言う“野球”とは、かなり違うみたいだねぇ」と、黄兎が、察した。

「そうだな。それに、お前の言う“殺し合い”じゃないからな」と、鼠谷は、応答した。物騒な物は、一切使用しないからだ。

「君達の世界の“野球(やきう)”ってやつを見せて貰おうじゃないか!」と、黄兎が、意気込んだ。

「そうだな。見て貰った方が、手っ取り早い」と、鼠谷も、同意した。“百聞は、一見にしかず”だからだ。

「ゲームの方が、手っ取り早いんじゃないのか?」と、豚崎が、提案した。

「ここでは、用意出来ないだろう?」と、鼠谷は、眉根を寄せた。電脳家族(ハミコン)くらいのゲーム機しか思い付かないからだ。

「鼠谷先輩。今は、スマホで遊べる時代なんですよ。丁度、僕が、“野球”のやつを“インストール”していますよ」と、比手元が、得意顔で、口にした。

「ピテ、見せてやれ」と、鼠谷は、促した。

「はい!」と、比手元が、意気込んだ。そして、右手で、画面をタップした。その直後、「鼠谷先輩、繋がりません…」と、苦笑した。

「混線中なのか?」と、豚崎が、怪訝な顔で、尋ねた。

「表示が、変なんですよ」と、比手元が、冴えない表情をした。

「どういう意味だ?」と、鼠谷は、覗き込んだ。言っている意味が、さっぱりだからだ。

 黄兎も、比手元の頭頂まで駆け上り、「どれどれ?」と、見下ろした。程無くして、「僕の世界の物とも違いますねぇ」と、他人事のように言った。

「お前、こんな変梃な画像を待ち受けにしているのか?」と、豚崎が、眉を顰めた。

「ぼ、僕は、こんな“画像”知りませんよ!」と、比手元が、語気を荒げたて、否定した。

「ふん! 好き勝手言うんじゃない!」と、画像が、口にした。

「ピテ。勝手に、しゃべらすなよぉ〜」と、豚崎が、目を細めた。

「私は、四次元人のゲロッピーだ。お前達に、重大な話が、有るのだがな…」と、ゲロッピーが、仄めかすのだった。

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