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あれから一年と少し…私は現在、王妃に収まっている。
私の戦う姿が麗しく女神のようだったとその場の勢いでプロポーズしてきたアストラン。当然一旦保留となった。
保留にはなったのだがそんなに保留は長引かなかった。
理由としては「我が娘こそ王太子妃に相応しい」と息巻いていた高位貴族がいたがその当の娘たちが「ベロニカ様以上に相応しい方はいません!」と私を妃にと推しに推しまくってきた。なんでもあの会場で戦っていた私の姿が華麗で美しく、まるでこの戦場に舞い降りた女神のようだったと本当に神を崇めるような熱い語りを披露してみせた。どうやら王子だけでなくご令嬢方の心まで掴んでしまったらしい。さらに周りも自分だけでなく王太子も護れるとは最高ではないかと押せ押せだったため高位貴族達は黙るしかなかった。
そしてまさかあのプロポーズが物語になったり、劇に、歌に、絵画にまでなろうとは…。おかげで国民の心までがっちり掴むことができた。
さらにもう一つ決まった事があった。
今回のこの騒動を受け、国王陛下が王太子の成婚と共に王位を譲渡することを発表した。穏やかな時においては賢王と呼ばれるに相応しい人であったがこの先の事を思えば王太子の方が王にに相応しいとの判断だった。
よって国内の事に関しては大した障害も無く、むしろノリノリで進んだと言えよう。
建国祭での襲撃は隣国が関係していたが、知らぬ存ぜぬと逆に言いがかりをつけてきたかと思えば突然の宣戦布告。が、私の采配とバージルの活躍によりあっさり終結。これによりバージルは昇進を果たすと後々、歴代最高の騎士団長と歌われるまでになるのであった。ちなみにバージルが騎士道を極めると言い家督相続を拒否。我が家はエゼルが継ぐこととなった。もちろん2人とも死ぬまで私には勝てなかった。
なんだかんだと日々バタバタと動き回ればあっという間に時間は過ぎ去ってついにその時がやってくる。
「ベロニカ…」
ずいぶんしわがれてしまった声でアストランが私の名を呼ぶ。
「母上!」
「うるさい!もう少し静かに出来ないの!?」
息子が息を切らして扉を勢いよく開ければ、娘が瞳に涙を湛えながら息子を怒鳴りつける。
「…おばあさま」
孫たちの涙は止まらない。
こんなにも沢山家族がそばにいてくれ、別れを惜しんでくれる。前世も充実してとても幸せだったのは間違いないだけれども今世もまた違った充実感と幸福感を得られた。
だから私は…
「ねぇアストラン…」
「なんだい?」
「私とっても幸せだったわ」
そう言って微笑んで私は瞼を閉じたのだった。
願わくば来世もまた充実して幸せな人生でありますように。
fin
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