表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

序章

序章



 何十年も前のこと――。

 「鍵の管理者(キーマスター)」と呼ばれる組織が秘密裏に立ち上げられた。創立時は、二人だった。

年数を重ねるごとに、人数も増えていった。

 そんな中、創立者の一人が絶対に外に出してはいけない、「軸の鍵」を、持ち出してしまった。

 組織内は慌てた。そして、もう一人の創立者を全員で問い詰めた。

「どうして、止めることができなかったのか」

「なぜこうなることを予測しなかった」

「責任をもってやめろ」

 数々の言葉を浴びせている中、その言葉で全員が我に返った。彼を辞めさせることができないと、悟ったのだ。現段階でまとめ役は彼しかいない状況に加え、細かなことを何も知らないのだ。今まで創立者の二人に任せっきりだったのだ、無理もない。誰も代わりを務められない、それが分かった瞬間、誰も言葉を発しなくなった。

 創立者もそれを分かっていた。今まで黙って皆の言うことを聞いていたが、静まり返った中で約束をした。「必ず、奴を捕まえる」と。そして、さらにこう告げた。

「奴を捕まえるために、外に出たい。だから、代理の者を立てさせてくれ」

 これを聞いて全員が猛反対した。今しがた裏切られたばかりである。当然かもしれない。だが、彼は何度も説得した。何度も、何度も――。そして、ある物を置いていくことを提案したことによって、全員が渋々ではあったが、納得したのだった。

 その後、すぐに全員で代理人を選んだ。全員、その者にすべてを託した、創立者を除いては。

 それから毎日創立者は代理人に教え込んだ。そして、すべてを教えた創立者は、事件から一か月後に旅立った。全員、帰ってくることはないだろうと信じてやまなかった。



 そして、現代――。


 今もなお、続いている組織・「鍵の管理者(キーマスター)」は、今日も今日とて戦っている。

 物語の登場人物と、その力を借りて――。


「やっと見つけた。これ以上は、逃げられると困るんだ」

 少年は真っ白な仮面――目と口の部分が空いているだけの白い仮面――を顔へつける。その仮面に手をかざせば、少年の姿はがらりと変わった。その姿は、物語の中に出てくる王子様のようであった。剣を抜き、それを構える。

「じゃあ、始めようか」

 少年は地を軽やかに蹴った。

 相対しているは、同じ物語の敵だ――。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ