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あれ(転移)から

ツヴォーク砦奪還作戦


 皇暦268年水の月


 我々第二義勇軍 通称【隻翼の団】は第三正規軍と共に今後の防衛および補給の要所となる砦の奪還作戦に従軍していた。主力部隊は南東部の防衛都市を攻略中で、同時攻略中である。

 隻翼団の団長は先日のフログ高原で戦死したため、副団長の俺が団長となった。

 団長の死、さらに連戦のため団員はかなり疲弊しているがここを攻略できれば一息つける。

 ここが正念場だと団員に激を飛ばし団長から譲り受けた槍を掲げ突撃した。隊の指揮は副官に任せ、最前線で向かってくる敵を蹴散らして愚直に隊を前進させることが自分の役割だ。

 5年前から一緒に戦う盾持ちのドワーフ族のドラドがその巨体を生かしたお得意のシールドバッシュで更に突き進む、続く団一のアタッカーである猫人族のマンドリアが俊敏な体を生かし、恐ろしい速さで敵をなぎ倒すなか、横槍に刺されない様に俺がフォローしつつ、更に前へ突き進む。

 これがウチの団のやり方、突撃力だけしか無いがそれ以外の仕事は正規軍がやってくれるし、副官のネイビーが遠距離部隊に指示を出してうまいこと援護が入る。

 そして大詰めの時、正規軍の連絡役から砦の首領である炎腕の上位魔族アビィースがいる主郭に突撃すると連絡が入る。

 その為、ウチの団は周囲の魔物を狩りまくることに専念した。正規軍には閃光の異名で知られるリュース伯爵がいるしその周囲には今まで最前線で活躍した精鋭が集まっている。負けることはないと確信しての判断だ。

 魔王軍側も撤退ムード、攻略も大詰めのなか、主郭で大きな爆発が起きた、そしてこちらに落下してくる炎の塊、マンドリアが即座に斬りかかるが、相手の攻撃が速いがすでにドラドがカバーに入っている。

 相手はアビュースだ、片腕を切り落とされ満身創痍で逃亡を図ろうとしている。逃すわけには行かない。騎士団を待つ時間などない。

 ここで絶対に仕留める。命をかけて槍を振るった。満身創痍の相手だったが、流石は上位魔族だ簡単にはやられてくれない。

 ただ、ウチの団の連中もこいつを逃さない決意があった。こいつのせいで幾つの村や街が焼かれ、生きたまま燃やされた一般の犠牲者がいるのか分かったものじゃない。

 後援からの氷系魔法や第三正規軍は砦の上からのストーンランスが容赦なくアビュースに突き刺さる。だが再生能力が高い奴には決め手にならない。

 リュース伯爵の一団はこちらに集結する気は無いらしい。一時的にも取り逃した状況、もし俺達が突破され逃がした場合に備えて外園を包囲している様であちらもコイツだけは逃さない気概を感じる。

 だから俺達も逃さない為に包囲し主力での猛攻の末、俺の槍がアビィースの喉を突き破り、首を跳ね飛ばした。けたたましい勝ち鬨が木霊する。


 それから何とか砦の奪還に成功した後は砦の維持を続け、補給線を守り続けた。

 救援信号を受け、魔族の将軍 鳳玉のルシドラの強襲を受けたカナリア防衛都市の救援に向かい、俺達の支援を受け黒鐡のガーランド侯爵率いる第六正規軍が見事、ルシドラを討ち取り勝利した。


 皇暦270年火の月

 勇者リュウ ソウマが魔王フォドラフを打ち破り、全ての魔族は魔界へ強制帰還すると共に魔界への扉は賢者ソルフェージュ伯爵により封印された。


 終戦後、ツヴォーク砦奪還に尽力しその砦での首領を討ち取ったこと、魔族の将軍を討ち取るために尽力した功績により王都にて爵位と領地を賜った。

 本来、土地持ちの貴族になれるほどの功績とは言えないが、今回の戦争では多くの貴族も命を落としたため、多くの領地で守護する事が困難となっていた。

 魔王が死んだ事で魔物の活性化や凶暴化は落ち着いた筈だが、それでも苦しい状況だった。

 だから戦闘能力もある団長クラスに小さめでも領地を与え、治安悪化を防ぐ狙いがあったのだろう。


 領地を貰うことになったが、そんな経験はないため、最低限の教育を王都で受ける事となる。それと同時に義勇軍は解散することとなり、正規軍にスカウトされたもの、地元に帰るもの、冒険者になるもの、様々に散り散りになっていく中、俺は気心のしれた副官のネイビーとドラド、マンドリアに領地に来ないかと、勧誘するがマンドリアは冒険者に戻ることを決めていたので断られ、ネイビーとドラドの二人と孤児で14歳と若すぎて行く当てのないフライとリンクを連れて領地を目指した。

 フライとリンクは実力も経験もあるので冒険者になる道もあっただろう、報奨金も貰えったからそこまで生活に困っているわけではないが、何となく戦いだけの人生ではなく、兄妹でゆっくりと暮らしたいそうだ。なにせ、孤児になってからも義勇軍に拾われてからも本当の意味で安心して寝られるようになるのはこれからなのだ、まだ若い二人には幸せになってほしいと思う。

 義勇軍で使っていた馬車を2台とそれを引く馬4頭、別に馬を1頭もらい受け、それなりの物資を積んでゆっくり進む馬車からのどかな風景を眺め、平和になった事を実感する。

 自然に涙が溢れ出て、この世界に来た時を思い出す。嗚咽を上げて泣き出す俺を心配する仲間には不安にさせて申し訳なかったが思いがあふれ出て止まらなかった。



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