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手紙と魔女と御茶会と  作者: 野花 智
第三幕 貴方を救うために。
29/30

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 とある一日。

 ――――また雑用?


 あたしはいつここから出られる訳?

 

 あんた、あたしの行いがよかったら出してあげる。なんてほざいてたわよね?

 

 で、あんたと館の世話してる偉ーいあたしは、いつ出られるわけ?

 

 ――これじゃお母さま達に怒られちゃうわよ。ただでさえ無断で人間の村に近寄ったってのに――わかったわ、ここから今すぐ出してくれたら、あんたの命は生かしてあげる、どう? いい条件じゃないかしら?


 どうか、って聞いたのよ。

 

 ちっ、クソが。

 

 はいはい分かりましたよ、大人しくしてまーす。

 

 ――契約が解けたら、覚えとけよ。



 

 また一日。

 ――――そうだよ、嬉しいかい?


 それは私にもわからない。


 あぁ、言ったとも。


 もっと君の行いが良かったら、かな?


 何をそこまでして戻りたい? 私は君に不自由させているつもりはないよ。ただ、間抜けで警戒心皆無な、お高く留まるお偉い魔女様を、近くに置いて飼い慣らしたい。それだけなんだがね?


 ――でもこの魔女、魔女内の掟を知らないのか? 破れば即処刑。跡形も残らないはずなんだが。この魔女のことだ、どうせ無断で近寄ったんだろう。怖いもの知らずもここまでくると甚だしいな――あはは、そんな交渉でここから出すとでも?


 何度も言ってるだろう、君の行いが良かったらだ。二度も三度も言わせるなよ、魔女風情が。


 ふむ、それでいい。いい子じゃないか。



 

 あんたね、これはこっち! あれはそっち!


 何度も言ってるわよね?


 いくらあんたの屋敷とはいえ、雑用やってんのはあたしなんだから、少しは気ぐらい使いさないよ!


 今すぐこの服とそこの本、破り捨ててしまってもいいのよ?


 全く、あんなだらしなさでよく今まで生きてこられたわね、一人暮らしだってのに。


 あ、ちょっと! それはまだ触っちゃダメ!


 ご飯はまだよ。


 って、その草は食べられない、そのキノコも!


 本当にいい加減になさいよ、自己治癒できるからってむやみやたらと口に運ばないでくれる?


 ――あたしこいつの母親じゃないんだけど、なんなのこいつ。



 

 えー? どっちも変わんないよそんなの。いいじゃないかそれぐらい。


 そうだっけ? そんな何度も言われていないよ。


 気? 使っているとも。使われている自覚なかったのかい?


 あ、よせ! 悪かったよ私が!


 全く、野蛮な魔女様だ。


 これはもういいかい?

 お腹空いたな、ご飯はまだかい?


 おっ、あの薬草は見たことがないな、あのキノコも。どれどれ、ちょいと味見を……。


 痛っ! 殴ることないじゃないか! 別にすぐ治せるし、減るもんでも……。


 わかったわかった。大人しくしてますよ。

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