表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/134

仇討ち


         聖地 地下施設


 ビィィー!! 整備室に終了を告げる音が鳴り響く。


 ガコン!  横並びに立てられていたラゴウ達が地面に着地する。


「...各部異常無し」


 ラゴウは最終チェックを済ませる。


「ツクヨミ!聞こえているか?」


「はい、何か?」


「俺の追加量産はどうなってる?」


「...現在連合軍との戦いは一進一退、資材は量産型ヒューマノイドの製造を優先に回されています」


「ヤルダバオトの量産も止まってるな?」


「ヤルダバオトは天使を呼び込みます、無駄に資材を浪費したくありません...事態は切迫しています」


 ツクヨミは本当の事を話せない。


「なら俺が前線に立つ!」


「もう少し待ちなさい、人間達は何れ疲弊して動けなくなります」


 ツクヨミは焦っている。最高意思決定機関であるマザー本体はデミウルゴスの中、自分はあくまで残された下位機関。


 ラゴウとヤルダバオトの追加増産はマザーの許可無しでは行えない。


(デミウルゴスは行方不明...ディアボロスの居場所さえ分かれば)


「ヤルダバオトを前線に」

「禁止します、今天使と全面戦争になれば敗北は確実」


「あぁ!クソッ!」


 頭をガシガシ掻き乱す。


 すると...轟音と地響きが施設を襲う。


「何だ!?攻撃!?」


 ツクヨミはすぐに施設内をサーチするが、反応が無い。


「侵入者無し...生体反応、魔力反応共に無し」


 更に爆発は続く! ガタガタと整備室が揺れる。


「内部からだぞ!どういう事だ!?」


「これは神隠し?...いやソレは無い」


 行方をくらませ逃げたデミウルゴスが此処を攻める理由が無い。


 事態が飲み込めない2人に更に追い討ちが来る。


 街中と郊外にある量産型製造工場がメギドにより地下施設毎、地上を巻き込み吹き飛ばされた。


「何だ!この揺れは!何が起きてる!」

「...」


 電灯は点滅を繰り返し、施設はグラグラと揺れ続ける。


「ツクヨミ!現状報告!」


「量産型製造工場消滅、施設内稼働率20%敵影...確認!」


 犯人が姿を現す...


「照合確認、南市街地対象はアルファと断定」


「アルファだと?」


 モニターが外を映し出す。


「巫山戯やがって...殺す!」


 ラゴウ1体が飛び出して行った。



          南市街地


 高い建物の上でシルファは待ち構える。


(早く来なさい...積年の恨み晴らさせて貰う)


 シルファは花の都を出て直ぐに聖地へ潜入、資材搬入に紛れ各所に爆弾を設置。


 神隠しを常時使用可能なシルファに侵入出来ない場所は無い。


 吹き飛ばした街の中心を眺める...統制を一時的に失ったヒューマノイド達が右往左往していた。


「!?」


 脳内で警告が出る前に右に飛び退く!


 ドガッ!! 前方から飛来した何かが建物を抉り取る。


「チッ!避けやがった」


 ラゴウは急停止し踵を返しシルファの前に降り立つ。


「久しぶりだなアルファ〜!」


 ヤルダバオトの1面が顔を出す。


「随分様変わりしたようね?」


「見た目だけじゃねぇぞ?性能もダンチだ!」


 漆黒の外骨格をガンガン鳴らす。


「あなたを殺しに来た...プサイの仇討たせてもらう!」


「グハハハ!!ナンバーズ如きが調子に乗るな!」


 2人は睨み合い間合いを取る...


 次の瞬間! ラゴウの動きが止まる。


「は??消えっゴハッ!」


 神隠しからの強烈な脇腹への一撃!メリメリと音を立て拳が外骨格に減り込む。


「てめぇ!」


 シルファは後ろに下がりながら呟く。


「爆ぜろ!」


 爆音と共にラゴウの脇腹が消し飛んだ。


「なっ...何をし!んぐっ!?」


 対応出来ないまま突進して来たシルファに口を塞がれる。


(マズイ!何か含まされ)


「終わりだ死ね!」


 ラゴウの顔が爆散した!


 残された体はぐったりと倒れ込む。


「ふぅ〜」


 息を吐き興奮を抑える。


「さっさと出て来なさい!後9体居るのはわかってるのよ!」


 周囲に隠れていたラゴウ達が飛び出す。


「チッ...油断した所をと思ったが調査済みか」


「...9体全て居るわね、ふふふ」


 シルファは喜びの余り笑ってしまう。


「ヘラヘラ笑ってんじゃねぇ!すぐに殺してやる!」


「あら?少しは成長した?前はすぐ犯してやるだったのに」


 軽い挑発に乗る。


「女に興味はねぇ!」


「盛りのついたサルみたいだったのに?今更?」


「黙れぇ!!そう造られただけで俺の意思じゃねぇ!!」


 シルファは見下す様に見つめる。


「まさか今になってそんな言い訳?呆れ果てるわね」


「さっさと死ねよ!!!」


 ラゴウは一斉に飛び掛かるが...姿を捉えられない。


「汚ねえ!汚ねえぞ!隠れるなあぁぁ!!」


「あら失礼ね?」


 ドスッ!! ラゴウの背後から剣が突き立てられ腹へ貫通した。


「この程度でっ!オゴッ!」


 剣を上に引き上げながら飛ぶ! ラゴウは無様に顔まで真っ二つに切り裂かれた。


「アハハ!どうしたの?その程度なの?」


 空中でまた姿を消す。


「殺す!殺す!殺してやるぞ!」


 怒り狂うラゴウに冷静な判断など出来なかった、性能はシルファが上だが数で対応すれば十分戦えた筈。


 飛び出した1体の首が飛ぶ!


「ルーク貴方の剣凄い切れ味!それにこの身体!負ける気がしない」


 酔いしれながらも油断はしない。


「そこ!動いたら死ぬわよ?」


「そんな脅しが」


 踏み出した右足が何かを踏んだ瞬間、閃光と共に吹き飛びそのまま切り裂かれる。


「ツクヨミ見てるだろ!サポートしろ!コイツの動きを先読みしろ!」


「...」


 返答は無い。


「何故黙っている!」


 ツクヨミは緊急避難用に造っていたヒューマノイドに自身をインストール中で手が離せない。


「マザーにも見放された?でも安心して」


 パチンッ! 指を鳴らすと...


 ゴゴゴゴゴ!! 地下施設の心臓部でメギドが発動した。


 轟音と爆炎が立ち上る。


「あぁ...そんな...」


「見逃すわけ無いでしょ?全て私の手で終わらせる」


 ラゴウは初めて恐怖していた、怒りも憎しみも恐怖には勝ら無い。


「誰だ!ビビりやがったのは...クソッ!」


 並列化の弊害、恐怖が伝播し統制が取れなくなる。


「たっ助けっギイイィィ」


 頭を押し潰され断末魔をあげる。


 数の有利など既に無くバラバラに動き、容赦無く切り刻まれ叩き潰される。


「残りは2体〜さあここから」


「俺が!俺が負けるかぁぁ!!」


 もう神隠しすら使わない、単純な力比べの体制に入る。


「ぐぐぐ!アアアアア!!!」


「それで全力?ほらほら」


 メキメキメキ! 腕が捻られ音を立てて軋む。


「畜生!何処でその体手に入れた!汚ねえぞ!」


「愛する人に貰ったの...お陰で良い気分!」


「チクショウ!チクショオォォォ!!何で!こんなの理不尽じゃねぇか!!」


 バキバキバキ! 腕がへし折られた。


「まだ死なないでね?」


 首を掴み引き抜く、残された頭部は後の楽しみに取っておく。


「お前はコレからよ...ふふふ」


 残された1体を見て笑う。


「みっ見逃してくれ...頼む...」


「駄目よ?何言ってるの?プサイが殺された時みたいに!生きたまま八つ裂きにしてあげる!」


「頼む...許して...許し...」


 懇願しても止まらない止まる訳が無い、目の前で恋人を殺された恨みが彼女を駆り立てる。


「ふふ...あはは!!死ね!死ねぇぇぇ!!」


 腕を足を身体の1部をその力で引きちぎる!叫び声が耳に入らない、もがき苦しむ姿に快感すら覚えていた。


「プサイ!見て!仇討ったよ!!!」


 もぎ取った頭部を天に掲げ歓喜と共に粉々に粉砕する!


「まだよ!まだ終わりじゃない!」


 残された電脳に電源を繋ぎ箱に収める、カイが用意した拷問設備だ。


「散々嬲られた私の恨み...その電脳に直接ウイルスを送り込む」


 恐怖、憎悪、屈辱、辱め、ありと凡ゆる恥辱を体験させる。勿論その相手は反吐が出る程の化物達。


「声が聞こえないのは残念だけど、死ねないその姿で永遠に嬲られなさい」


 箱を閉じると、箱は天界に転送される。


 後ろを振り返ると...辺り一面焼け野原、夢にまで見た光景に笑いが止まらない。


「アハハハ!最高!」


 復讐を果たし満面の笑みで天を仰ぐ。


 ツクヨミを失ったヒューマノイド達はこの後連合軍に敗れ去る事になる。



         天界 神の座


「おかえりシルファ」


 ルークがシルファを迎え入れる。


「ただいま」


「その顔、もう大丈夫だな?」


「うん、スッキリした」


 アルファの時の話し方は落ち着き、シルファらしさが戻っていた。


「なら約束通り俺の傍に居てくれるな?」


「うん、ずっと傍に居る」


 復讐を終えこれから安らかな時間が訪れる。


 しかしルークは1つ問題を抱えていた、今夜はその事で地上のヒューマノイドで行動する。


(もう1人の復讐者をどうしたものか...)



       スローン城 メイヘの寝室


 夜も老けメイヘの寝室で甘い声が響く。


「んっ...そうです、その調子よメイヘ」


「はぁはぁ...エキドナ様!」


「本当に上手くなって立派よ」


 エキドナはメイヘに絡みつく。


「こんなの駄目なのに気持ち良い!!」

「ふふ...可愛い子...あっあっ...」


 ガチャ... 部屋の扉が開く。


「メイヘ入るぞ〜」


 ルークの依り代のヒューマノイドが部屋に入ると...


「父さん!会いたかったよ!」


 メイヘが駆け寄る。


「エキドナが迷惑かけてる様だな...」


 ルークはベッドで眠るエキドナを見る。


「今は淫夢を見せてるのか?」


「うん、僕がヴァンパイアで助かったよ」


「そうだな」


 ルークはため息を着く。


 エキドナは復讐を果たすべく、メイヘを襲い無理矢理関係を持とうとしたが逆に魅了をかけられ騙されている。


 コンコン! 開いた扉をノックする。


「母さん!」


「大変な事になってると聞いてましたが...あなた?コレはどういう事?」


 モリガンが詰め寄る。


「それを話に来たんだ全部話すが...動揺するなよ?」


 ルークはマモンの事を包み隠さず2人に伝えた。


「お父様が...わたくしも操っていた??」


「主に操られていたのは俺だ、恐らく俺を疑わない程度にお前達を操作したはず」


「僕が魔王に成ったのも?」


「嫌、メイヘは自分で覚醒したそれは保証する」


 気休めだが、ルークに言われれば安心は出来る。


「問題はエキドナだ...マモンへの復讐、ケルベロスを操り離反させた結果あの結末だ」


 妻と兄弟をその手にかけ最後は廃人となったケルベロス、その魂はルークが救ったとはいえエキドナは到底納得出来るものではなかった。


「今は僕の支配下にあるけど...その内現実との差で目覚めると思う」


「騙されたと気が付けばプライドも傷付きますわね」


「参ったな」


 メイヘが提案する。


「お爺ちゃんの身代わり用意出来ないかな?」


「難しいな...エキドナとマモンの付き合いは長いぞ?」


 モリガンがハッとする。


「それならクローンに脳を移し本体を差し出してみては?」


 ルークは少し考え込むと。


「確かにそれは良いな...多分行けそうだ」


 マモンの抜け殻をメイヘが狩り差し出せば恐らく騙すことが出来る。


「準備が終わるまで僕が何とかするよ」


「すまん迷惑かけるな」


「メイヘ、今後淫夢の使用は極力減らしなさい!貴方の魔力は強すぎます...」


 メイヘは少し焦る。


「でも...父さんに悪いし僕も嫌だよ」


「エキドナを廃人にするつもり?それだけ貴方のヴァンパイアとしての力は強いのですよ?」


 ルークはメイヘの肩をポンポン叩く。


「今は別れてるし、そもそもお前はエキドナとは血が繋がってない気にするな」


「えぇ!それでいいの父さん!」


「魔王だろ?いい人でいる必要は無いんだぞ?」


「う〜ん?」


「好みじゃないか?」


「エキドナ様は凄く綺麗だよ!でも歳が...それに僕ら家族が変な目で見られちゃうよ」


 千年以上の歳の差、流石にメイヘから見ると見た目以上の差に戸惑う。


「メイヘ!女性の歳を気にするなんてマナー違反ですよ!」


 モリガンが叱責する。


「でも...」


「魔王なら全て喰らい尽くす!その位の気概で居なさい!」


「えぇ...」


 両親は何故か押してくる。


「おかしいよ2人とも!」


「その内わかる」

「まだまだ子供ですわね...」


 ヤレヤレとルーク達は首を振る。


「知らないよどうなっても!」


 メイヘは先の事を想像し頭を抱える。


 聖地が滅び世界に安定と平和が訪れようとしている、残すはエキドナの復讐と女神達だけ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ