第十二話 変装しよう
「予想外のことが起きたが、計画自体に大きな支障はなさそうだな」
俺は深く息を吐くと、そう呟いた。
どっちにしろ、俺のやることは変わらない。この街に来るネイルとハルスを上手いこと路地裏に誘導し、拉致、もしくは始末すればいいだけなのだから。
路地裏に誘導する手段は、ネイルとハルスの近くで俺がひったくり事件を起こして路地裏に逃げ、その俺を二人に追わせることだ。護衛の騎士が後から追ってくるだろうが、それはノアに任せればいい。因みにケインはひったくられ役だ。
「ことが済んだら、次はどうするか……」
ケインが言っていた抜け道を使えば、この街の外に出るのはたやすいだろう。だが、俺達はガルド公爵からマリア殺害の容疑を向けられている。その為、二人を殺せばその犯人は俺達だと思われてしまう可能性が非常に高い。そうなってしまうと、今後の行動が大きく制限されてしまう。
「……ガルドもやるしかないのか」
闘いづらくなってしまうが、仮面をつけて正体を隠せば殺しに行くことも可能だろう。後は諜報部員も殺しておかないとな。奴らに俺の情報を持ち逃げされたら大変だ。
「さてと。ノアは……て、寝てるし」
ノアは机に顔を伏して、すやすやと寝息を立てていた。
「それじゃあ寝づらいだろうに。〈創造〉」
俺は部屋の角に〈創造〉で木製のベッドを作った。その後、そのベッドの上にマジックバッグから取り出した敷布団を敷くと、ノアをその上に寝かせ、最後に掛け布団をかけた。
「ノアには俺の私情につきあわせてばっかりだなぁ」
ノアには嫌になったらいつでも俺から離れていいと言ってある。その為、ノアは俺の私情につきあうことがいやというわけではないのだろう。だがそれでも、申し訳ないという思いがあり続けることに変わりはない。
「さっさとゴミどもを潰して、のんびり生きてやる」
俺はそう心に決めた。
「カイン。買ってきたぞ」
暫くして、ケインが革袋を持って帰ってきた。
「ありがとな」
俺は革袋を受け取ると、中身を取り出した。
「幻術系の魔道具か。お前のことだからてっきり染粉を買って、浮いたお金で酒を飲みまくるのかと思ったよ」
俺はペンダントを手に持つと、笑いながらそう言った。
「……俺に対する認識について、これから一緒に話し合いましょう」
ケインはにこやか~な笑みを浮かべると、俺の肩を強めに握った。
「い、いやぁ。ち、因みに俺だったら染粉を買うぞ」
俺は視線をそらしながらそう言った。
「それは貴方の考えですよね? さあ、俺に何か言うことはございませんか?」
こ、怖い。目が怖い。不気味な何かを感じる。こいつはやべぇ……
「あ、あなたのような素晴らしい部下を持てて、僕は幸せ者だなぁ……あと、すいませんでした!」
俺はケインを褒め、そして謝罪した。
「……よし。初めてカインの頭を下げさせたぜ。いい気味だ」
ケインはガッツポーズを取ると、そう言った。
前言撤回。やっぱりケインはケインだった。
「……まあいいや。早速つけてみるか」
俺あそのペンダントを早速身に着けてみた。
「どんな感じかな?」
俺は以前来ていた服の装飾品を原材料の銀に戻すと、それとガラスを素材に〈創造〉で鏡を作った。
「ん~……髪は赤。眼は金か」
髪色は白銀から赤へ、瞳の色は蒼穹から金色に変わった。
「そこに、伊達メガネをかければ完成」
俺は〈創造〉で伊達メガネをつくると、それをかけた。
「おお。ぱっと見なら分かんないんじゃないか? 顔の造形は同じだから、お前のことを良く知っている人ならカインだと分かっちゃうと思うけど」
「まあ、これに追加でローブを羽織り、フードをかぶるから問題ない。後でノアにも渡しておこう」
俺はそう言うと、ベッドでぐっすりと寝ているノアを見た。
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