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考古学の仕事をしながら親父の消息を調べるために各地を巡っていき、四年が過ぎた雪の降る時期、目的地の途中海が干潮の日だけ通れる道があると聞き、ちょうど近道になるのでそこを通ることにした。
その途中ある洞窟に目が止まる、親父の絵のこともあるので洞窟を見つけたら手記を取り出して見比べることが癖になっていた。
今回も特に期待もなく見比べてみると、入り口の形、周りの風景が酷似している。まさか、と心の中がざわつく。
行かないという選択肢は全くない、ランプに火をつけ少しはやる気持ちが体にも表れ早足で洞窟の中に入っていった。
もともとこの洞窟は満、干潮差が激しい場所に位置しているので干潮時以外は常に海の中にある。
洞窟の中は海藻が張り付いていて上から水が滴り落ちてくる。
人が入った形跡は見当たらなかった。洞窟の奥のほうは海水が溜まっていて最深部らしきところにつく頃には膝上あたりまできていた。
だが、行き止まりに着いてみたもののただの行き止まりで壁を探ってみても何も気になるところは見当たらない。
落胆したが、まぁこんなものか、と諦めの気持ちもあった。
干潮の時間は過ぎてまた満ちてくるので急いで戻ろうとした時、何か硬いものを踏んだ感覚があった。
手探りで掴み上げてみると何で出来ているのかわからない装飾が施された手のひらサイズの棒状のものだった。
知識から古代に使われた鍵のように見受けられたが何故こんなところに、と思ったその時、その鍵の様なものから全身が振動する咆哮のような音を発し洞窟内に鳴り響く。
音はすぐに止まったが驚いて水の中に落としてしまい、また拾い上げようとした時おかしなことに気付く。
さっき行き止まりだった洞窟の壁に真っ暗な穴が開いていた、どう考えてもさっきはなかった穴だ。先が全く見えないのでランプを近づけて照らそうとした時黒い靄が腕に絡みついた。
びっくりし振りほどこうとしてもより暗く全身を覆っていく。
この暗闇がいったい何なのか何もわからないまま抵抗も無駄なようで半身以上絡みついた時には諦めて死を覚悟していた。
もし親父が描いた洞窟がここであるなら親父もこの謎の暗闇に呑み込まれたのだろう。親父と同じ死に方をするなんてやはり運命みたいなものなのだろうか、母はまた悲しんでしまう、など走馬灯のように頭を駆け巡る。悲しみと無念が心を埋め尽くし自分も暗闇に完全に呑みこまれた。




