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迷子のドラゴン

私はドルガ達のいる地下施設に足を運んだ。山の奥地に露天掘りの大きな穴の側面に白色のツルツルした壁面と入り口らしきモノが露出している。


そこへ泥だらけの機械人形が捕まえた野生動物をもって出入りしている。


ノワール「これが、神代の遺跡か。壁は何でできてるのかしら?大昔の建物なのにツルツルしてるし……」 


ドバババ……!


穴にたまった水が動力で吸い上げられ勢いよく外に噴出していた。施設の前はちょっとした池になっている。


ピコーン


ノワール「山の天然水として売りましょうコレ。捨てるなんて勿体ないわ!」


閃きを忘れないように。ポケットからメモ帳を取り出し、書き殴る。


コレで良し!


ノワール「ドルガさんに後で相談しましょう。」


私は税収の種を見つけてウキウキした気分で施設に入った。




シンフィールド「私の城!ドラゴン精製施設へようこそ!」


ドルガ「おいおい、見つけたのはノリコだし、発掘したのは私だぞ?」


シンフィールド「で、私が一番この施設を有効活用できてるんだから、実質、私の城だろ?!それでいいじゃん!」


細かいことは気にすんな!


笑うシンフィールドの傍らには全身、濃い緑色をした大きなトカゲがチロチロと舌を出していた。背中には小さい飛膜のある羽が生えていた。


ノワール「シンフィールドさん、それがドラゴン?」


一面白無垢の部屋で魔女が二人してトカゲを囲んで、どこからか持ってきたのか、うちのワインで酒盛りをしている。


シンフィールド「そうさ!コレでも幼体なんだぜ?」


ドルガ「幼体の時はまだ保護色で、成体はウロコが赤くなるんだっけ?」


シンフィールド「そうそう!この種は、正確には赤地に黒の斑点だ!」


シンフィールドはドラゴンを肘置きのようにもたれかかっているが、ドラゴンはびくともしてない、平然としていておとなしい。


ノワール「幼体はおとなしいの?」


シンフィールド「腹がいっぱいならな。今はそこら辺で取ってきた野生動物で事足りてるけど、成体は村一つだな!」


えげつな。


ドルガ「そんなんに私のとこの機械人形を使うな、ゴブリンどもにやらせろよ。増えてきたんだし。」


いや、増えたゴブリンはエンハンブルク側にある麻薬畑の再利用に回したいんだけど?


シンフィールド「硬いこと言うなよー。ノワールもそう思うだろ?」


ノワール「そしたら、今後は食料輸送させましょう。」


シンフィールド「お、いいねぇ!」


ドルガ「運搬は私の機械人形を使うといい。人じゃここまで運ぶのは難しいだろうから。」


シンフィールド「それには使ってもいいのかよ、ドルガの価値基準がわかんね〜な?」


ドルガ「お前なぁ、山ん中、野生動物追いかけるのとは訳が違うぞ!泥だらけだし、関節に詰まった土やパッキンのメンテナンスが大変なんだぞ?!」


パッキン?メンテナンス?私には分からない用語だが、神代からの知識がある魔女には通じるらしい。

正直、会話についていけない。


ノワール「ところでドルガさん。外の水は瓶詰めできるように出来る?」


ドルガ「え?あー、できるけど。あんなもん、どうするんだよ?ただの水だぜ?」


私は天然水の構想を魔女たちに話した。彼女達なら、もっと商品化に向けた、いいアイデアが出るに違いない。


ドルガ「そしたら濾過装置と無臭処理が必要だなー?」


シンフィールド「あと滅菌だな。」


ノワール「何か果物の匂いとかつけられない?」


ドルガ「香料か、いいね!桃にしよう!」


シンフィールド「あ!うまそう!」


ドルガ「そうと決まれば装置を取ってくる!二、三日空けることになる。その間の機械人形達のメンテナンスはシンフィールド、お前がやれ!」


シンフィールド「えぇー!めんどくさい!」


こうして、辺境領イスラの桃の天然水開発がスタートした。




次に私は魔女集会に出かけた。


地質学者の魔女に、炎の巨神スルトのいるマグマ溜まりを見つけてもらえるよう依頼しないといけない。

いつものように集会場奥のテーブル席で角砂糖を餌に集会場を見渡しながら、紅茶を楽しむ。


ノワール「マリアッチもいいけど、ここの子達もいいのがいっぱい。」『どんな顔して泣くのかしら?』


そこへショートヘアにヘルメットを被った、汚れた作業服姿の魔女がやって来た。


顔の汚れとかも気にしないのだろうか?

この人も目にクマがある。整った美人なのにもったいない。魔女は種族的にそうなのか?


それにしても、だいぶ風呂に入ってない感じだ。土臭い。


ノワール『風呂キャンセル界隈の人?』


魔女は総じて癖が強い。加虐性癖でオオカミ女の私も人の事は言えないけど。 


ノリコ「君が私を探してるオオカミの人?私がそのノリコさ、よろしくな!」


ノワール「ソリタニア辺境領イスラの領主をしております、ノワール=B•オルクスでございます。」


ノリコ「うん!知ってる!なんかすごいえげつない人でしょ?!」


ノワール『魔女の間では私は“すごいえげつない人”で通ってるのか……』


受付のホムンクルスに待ち人のことを伝えててよかった。私はノリコと握手を交わし。空いてる席を勧めると、さっそく本題に入った。


ノワール「スルトを探してもらえないかしら?何でも、お礼はするから!」


ノリコ「スルト?マグマ溜まりだ。山を調査しないと。いいね、面白そうだ!」


ノワール「引き受けてくださる?」


ノリコ「やろう、やろう。お代は調査期間のご飯でいいよ?」


え?それだけ?


もっと法外な要求をされるかと思った。それが顔に出ていたのか、ノリコは笑い出す。


ノリコ「うちは、家が太くてね?私も学校出て、ずっと定職につかづに趣味の地質調査ばっかりしてるんだ!」


無職でも行き倒れてたマリアッチとは大違いね?


むー、私はそれでノワール様の所に拾われたからいいんです!


幻聴に苦笑いする私をノリコは不思議そうに眺めていた。


ノリコ「いつからやる?」


ノワール「すぐ始めてくださいな!」


ノリコ「オッケー、オッケー、丁度、前の地質調査が終わったトコなんだ。やるとこは君のところの領地の山でいい?」


ノワール「ええ!」『龍神もこの(ソリタニアに封じられたって言ってたし、エンハンブルク側には居ないでしょ?多分。』


これがうまく行けば、私の顔はもとに戻る。


おっと、いつの間にか口の横から出ていた舌を直す。


ノワール「それでは、よろしくお願いします!」


私は将来の明るい希望に、ノリコは未知なる探求に胸を躍らせながら力強く握手を交わした。




それから数日経ったある日


ドルガ「おい!そこをどいてくれノリコ!作業の邪魔だぞ!」


ノリコ「ドルガの方こそ!排水口をずらーぶべべべべ!」


ノリコの口めがけて濾過されてない緑っぽい水が勢いよく放たれる。


ノワール「ちょっと!やめなさいよ、あなた達!?」


その時、ドラゴン精製施設の方から警報音がなった。


ビー!ビー!


『警戒レベル3発生!警戒レベル3発生!職員は速やかに退避してください!繰り返します……』


ドルガ「なんだ?」


ノワール「何?警戒レベル?何のこと?」


施設から慌ててシンフィールドが出てきた。


シンフィールド「お前ら無事か?!」


ドルガ「何やらかしたんだよ!シンフィールド!」


シンフィールド「わりぃ、未知の区画があったから、好奇心で入ってみたら、できたドラゴンの発着場だったらしくって、そこからドラゴンが逃げちまった!」


えー!?何やってんの、この魔女は!!


シンフィールド「ドラゴン追いかけてその区画を進んだら、出入り口はエンハンブルク方面に出たから、多分うちにはこないと思うけど……」


ノワール『ゴブリン達や鉱山、へパのところには言っとかないと!』「何か、襲われないようにする手立てはないのでしょうか?」


シンフィールド「幼体の時は炎がまだ苦手なんだ、かがり火があるとこには近づかない!と思う。」


ノワール「思う?」


シンフィールド「腹が減ってたら話は別ってことさ。」


最悪の事態なのでは?


クエストランドと化したエンハンブルクはマリアッチが魔獣たちの管理をして計画的に襲撃したりしてたけど、首輪のされてない奴かぁ。


放し飼いの猛犬は手がつけられなくなるじゃない。


商売相手、エンハンブルクの市場規模の縮小は望まない所だ。実入りが減る。


ノワール「あ、勇者一行にやらせればいいか。」


金ならエンハンブルクの大臣あたりが出すだろうし。


ノワール「とりあえず、みんなには警戒させとこう。」




幸い、

我が町ゲルブムント、ゴブリンの巣、鉱山、サメンフントのところには被害はなかった。


シンフィールド「今日もかかってなかったよ〜。え~ん。」


ドルガ「いい年して泣くなよ、シンフィールド。アレは、もう帰ってこない。諦めろ。」


檻罠を数日出してはいるが、かかるのは普通の獣ばかり。


それらは、駆除……は、もったいないので魔獣の材料にする。


マリアッチ「じゃぁ。材料もらっていきますね〜!」


シンフィールド「わーん!どこ行ったんだよー!私のドラゴンちゃん!」



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