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キュー、キュ
マリアッチ「それでは行きましょう。」
夜の2時、姿鏡2枚を合わせ鏡にして片方に濃い赤の口紅で長四角を描く。さながら扉に見えなくもない。
漆黒のドレスの私と冴えない魔女は姿鏡の前に立っている。
ノワール「私だけ?ヴァイスやアルゲンは?」
マリアッチ「男性禁制です。すぐに食べられちゃいますよ?性的な意味で。」
あ、なんか嫌だなー。私も行くの。
マリアッチは小声で何かしら呪文を唱えると門を描いた姿鏡の輪郭がズレる。
ノワール『へぇ、ちゃんと魔女してるわ、彼女。』
マリアッチはその姿鏡に吸い込まれるように消えたかと思うと、手だけこちらに出して手招きする。
クリオ「入るか。」
ノワール「そうね。」
私もマリアッチに続いて入ると、そこは真っ暗な空間だった。
私は人魂を出して足元を照らしたが数歩先しか照らせてない、そして先は見えない。
マリアッチ「いいなぁ。ノワールさんは、そんな事もできるんですね。」
クリオ「俺ができることは大体できるからな。」
私は禍津神と一緒にいるからか次第に彼(?)ができることはある程度できるようになっていた。
髪から漆黒の剣を出す カスカータ
呪いの塊を放ち、触れたら即死の ダークフォンス
髪の毛でアミを張る スカトンケイル
光源の人魂、などなど。
そのせいで、禍津神のノワールと呼ばれているのだが……
クリオ「簡易霊作成と命令コード書くのも覚えろよ。」
いやよ。めんどくさい。
真っ暗な中をマリアッチは先に進む。魔女には道が見えるのだろうか?しばらく進むと、輪郭がイビツな建物が見えてきた。
マリアッチ「ここです。お目当てのへパにゃんは来てるかなぁ。」
ノワール「え?アポイントメントは取ってないの?」
マリアッチ「一応、手紙は出したんですけど、返信がなくて……まぁ、みんなそんなです、魔女って。」
クリオ「代わりもんの集まりだぞ?覚悟しとけ。」
マリアッチに続いて私は中には入っていった。
髪も肌も白い。赤い瞳の受付嬢から渡されたブレスレットを左の手首にはめる。
マリアッチ「ホムンクルスさんです。きれいですよね。」
ノワール「それよりもこれは何なの?」
マリアッチ「あぁ、そのブレスレットですか、封魔のブレスレットです。喧嘩で魔法を使わないようにってことで。」
言ってるそばから近くで取っ組み合いのキャットファイトが始まる。
「〜〜〜!」
ガッシャァン!
マリアッチ「ね?」
クリオ「あー、やだねー。」
???「おや?マリアッチ。」
声のする方を向くとそこには女性のデュラハンを従えた、足のふくらはぎ位まである長い黒髪の魔女が立っていた。
マリアッチ「ひぇ!ベンティ、様!」
ベンティ「貸した金は持ってきたのか?」
マリアッチ「ああ……あの!就職できたんで、次の機会には必ず!」
ベンティ「まぁ、いいや。そっちは?」
魔女は私を指差した。
マリアッチ「私の雇い主のノワールさんです!」
クリオ「挨拶しとけ。」
ノワール「私はノワール=B•オルクス。ソリタニアで辺境伯をしています。」
外行きの声で、自己紹介をして軽くお辞儀をする。
ベンティ「?ん?そいつ人間か?禍津神の気配がするぞ?」
???「何何?禍津神だって?!」
ベンティの肩に一人の魔女が寄りかかる。
ベンティ「触るな!クローサー!」
クローサー「ケチケチすんなよ。私とお前の仲だろ?」
ベンティは顔を青くしてその場を足早に去っていった。ベンティの後ろ姿に投げキッスをしたクローサーは私を舐め回すように見た。
クローサー「へぇ~、面白いの連れてるな、マリアッチ?」
マリアッチ「クローサーさんはへパにゃん見ませんでした?」
クローサー「アイツならあっちでグレダと話してたよ。」
クローサーが指差す方を見ると幼女姿の魔女と談笑している義手を付けた魔女がいた。
マリアッチ「あ、いたいた。」
マリアッチは駆けて向こうへ行ってしまった。クローサーはそれを見て私の尻を撫で回してきた。
ノワール『この人は女性でもいけるの?!』
クローサー「今度、二人っきりで禍津神について語ろうじゃないか……」
耳元で小声で話す彼女を振り払い、会釈すると私はマリアッチを追いかけた。
クローサー「あー、後で連絡先くれよな!」
クリオ「お前も女性いけるじゃん。」
ノワール『ジャンルが違うのよ。あの人も攻めでしょ?』
クリオ「あー、確かに。そんな感じはする。」
魔女達でごった返す、会場を縫うように進み、マリアッチのところに付く。マリアッチと義手の魔女が押し問答をしていた。
???「はぁ?やだし。」
マリアッチ「そこをなんとか、私のクビがかかってるんですよ〜!」
ノワール「どうしたの?」
マリアッチ「へパにゃんが来てくれないっていうんです〜!」
へパ「私は自分の工房から出ない!」
多分、今さっき名前の出たグレダとか言う、幼女姿の魔女がへパに諭すように言う。
グレダ「知識くらい貸してやれよ。へパにゃん?」
へパ「そりゃ、いいけどさぁ。でも、そこに行くのはヤダね。」
マリアッチ「グレダ先輩!助けてください!」
困ったマリアッチは幼女に抱きついた。
グレダ「うーん、ねぇさんが出てきたことだし。あの人にへパにゃんのホムンクルスを作ってもらったらいいんじゃないか?」
マリアッチ「マタル様にですか?」
それを聞いたマリアッチは私を見た。
ノワール「何?」
マリアッチ「グレダ先輩、ホムンクルス一体、何円でしたっけ?!」
グレダ「魔女のホムンクルスだしなぁ、つか、円で換算するなよ。ややこしくなる。」
クリオ「ホムンクルスって後払いできるのか?」
ノワール「物々交換とかは?」
「おや?」と言うと、グレダはクリオの声が聞こえたのか私の方を見た。
グレダ「基本先払いかなぁ。物々交換かぁ、何がある?」
ノワール「えーと、(ヤクザから奪った)債権、エンハンブルクの株式、宝石を少々?」
グレダ「アンタ、ノワールとか言ったな。ゴブリンとか屍兵とかもあるだろ?ゴブリン20体、屍兵なら持ってる奴等全部、くらいでいいかもな。」
クリオ「どんな価値基準なんだ……」
グレダ「知らない。姉さんの考えてることはよくわからないんだ。」
ノワール「なるほど、用意しますので、へパさんのホムンクルスをー」
ガッ
私はいい終わる前にすごい形相をした義手の魔女に胸ぐらを掴まれた。
へパ「さん?」
マリアッチ「ひえぇ!ごめんなさいへパにゃん!この人はその、」
グレダ「初対面だろ?抑えろよ。」
へパ「ふん!グレダ、リュプケには言っとけよな!」
へパば私を投げ飛ばすように離すと物に当たりながら奥へと消えた。
グレダ「まぁ、仲良くしてやってくれ。」
マリアッチ「グレダ先輩、頼みましたよ!」
グレダ「姉さんには言っとくよ。」
クリオ「また来るのか、こんな所に……」
禍津神の独り言に私もうんざりして、ため息をついた。
後日
成人ゴブリン20人に手かせ足かせをして魔女の集会に連れて行った。
ゴブリン達から不安そうな声が漏れる。
会場に入ると、やってきたグレダの隣には長身の魔女が立っていた。
グレダ「きたきた。マタル姉さん。この人が依頼主だよ。」
マタル「グレダ、代金はもらっていくぞ。できたら連絡する。」
シュー
長身の魔女、マタルが変な息を吐きだすと、ゴブリン達が全員白目をむいて口をパクパクさせた。
マタル「活きがいいじゃないか。いい材料になる。」
舌なめずりをするマタルに引きずられるようにしてゴブリン達は会場を出ていった。
クリオ「クローサーって魔女に見つからないうちに早く帰ろうぜ!」
ノワール「賛成。」
まだ談笑したりないと駄々をこねるマリアッチを私は引っ張って屋敷に戻った。
朝起きて部屋を出ると、そこにはマリアッチが立っていた。
マリアッチ「おはようございます!ノワールさん!」
ノワール「珍しいわね、マリアッチが私のとこまで出てくるなんて。」
マリアッチ「今度からお一人でも魔女の集会場に行けるようになってもらおうと思いまして!」
聞けば、談笑したりなかったマリアッチはあの後、魔女集会に戻ってたらしい。
マリアッチ「そこでリサさんに道具をもらった(?)ので渡しておこうかと!」
そう言うマリアッチの手には細身のレンズのメガネを持っている。
ノワール「これ?」
マリアッチ「はい!集会場までの道がわかります!」
クリオ「アクセス権ってことか?」
ノワール「いいわね、マリアッチのそれよりスリムだし。」
スチャッ
私はそのメガネをその場でかけてマリアッチに見せた。
マリアッチ「すごく似合ってます!私が選んだんですよー!後で支払い頼みますね!」
ノワール&クリオ「え?」




