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忘れていた記憶1
「御主は将来もう一度必ず此処に来るであろう」
狐目の店主は幼い僕を見て突然そういった
「将来?別に明日も明後日も来るよ?本を読みに」
その時の僕は彼女の言っている意味がよくわからず何を言っているのだと笑いながらそう言い返した。
「今は解らなくとも良い、何せ御主は読まねばならぬ本が多いからのぉ」
「もぉ日が暮れて辺りも暗くなっておる、今日はその本で終いじゃの」
僕は渋々ながら了承し、本を読み終える
身支度を整え店のドアに手を書けたとき「忘れ物じゃ」っと声がかかり一つの木製の栞の形をしたストラップが後ろから飛んできた。
「なにこれ?栞?」
「御守り兼道標みたいなものじゃの、御主はちとばかし特殊すぎるでな、身から放すでないぞ?」
店主の真剣な雰囲気に少し気圧され僕は
「わかった、いつも持ち歩くように何かに結んでなくさないようにするよ」
「うむ、それで良い、また迷ったらこの本屋に来るがよい
この稀人の本屋に」
「だから明日も来るって、まだ気になる本もいっぱいあるし」
「そうじゃの、待っておる」
店主は少し悲しそうだが嬉しそうに微笑みそう言い笑って僕を外へ送り出す