第十一話 待望のスキル鑑定、期待のルーキー爆誕
本日二話目の更新です。
第十一話です。
なんか相手が勝手に負けを認めてくれたので、俺は無事にその場を乗り切ることができたぜ。
……いや、実際はナナが俺に当たりそうな攻撃を、石ころを投げて防いでくれたわけだけど。
とにかく俺は、無事に冒険者になることができたのだ。
「では、スキルの鑑定を行います」
というわけで、ギルド内の部屋で俺とナナは晴れてスキル鑑定を行うことになった。
俺とナナの前には二枚のカードと手帳のようなものが置かれている。
「ご存知かと思われますが、このカードは神樹を削り出し、加工されたものです」
「もしかして、貴重なものですか?」
神樹とかどう考えてもやべーもんだろ。
そんな高価そうなものを買う金なんてあるわけないぞ。
俺の質問に、受付をしてくれた男は驚きながら微笑んだ。
「ははは、神樹はそれほど珍しいものではないですよ。当ギルドでは無料で配布しているごくありふれたものです」
オリハルコンといいものの価値感すらもおかしくなってんじゃねぇのかここ。
神様とかそのまんま街中にいてもおかしくなさそう。
「これでどうやってスキルを鑑定するんですか?」
「その前に注意事項を説明しますね」
ナナの質問を聞きつつ、職員さんは一枚の書類を差し出してきた。
どうやらこのカードを使う際の注意事項のようなものらしい。
「まず、スキル内容はギルド職員に伝える義務はありません。推奨はされていますけれどね」
「どうして、ですか?」
「スキルが発現された時点で、ギルド内の記録魔具にお名前とスキル名が登録されることになっているからです。仮に、スキルを悪用するような者がいればすぐに犯人を絞れるようにしております」
なるほど、一部の人にしか知られないというわけか。
「加えて、このカードには追加の機能としまして会得した魔法も記録されることになっております。まあ、これはおまけのような機能ですけどね」
魔法か……そっちも覚えられたら覚えたい。
フィジカル面ではクソ雑魚を超えた微生物レベルだし。
その後、説明受けた後で、とうとう俺達のスキルを調べる。
「少々痛いかもしれませんが、血をカードに垂らしてください」
針で親指を軽く刺す。
軽い痛みに顔を顰めながら、親指に滲んだ血をカードへと垂らす。
「わっ、ユーマ。色が変わったよっ!」
「え?」
ナナを見れば、彼女のカードの色が真っ白な色から赤色へと変わる。
しかも、その縁は金色に彩られており、ものすごいゴージャスな雰囲気を放っていた。
「自分も長く冒険者の方々を見てきましたが、ここまで綺麗なカードは初めて見ますね……」
「赤色だぁー。ユーマはどう?」
自身の赤色のカードを眺めたナナは俺の手元へと目を向ける。
そこには、先ほどと変わらず真っ白なカードがそこにあるだけだった。
血を垂らし、情報を吸ったはずが色は変わらず白。
縁は薄い灰色が浮かび上がっていることから、もう俺のカードに色の変化が起きることはない。
「白も珍しいですね。皆、なにかしら別の色に変わるのですが……やはり貴方は特別なのかもしれません」
ええ、特別ですよ。
マイナス方面でねぇ……!!
「お二人ともカードに情報を刻みつけたようですので、そのカードに念を籠めてスキルを出してみてください」
「念を籠めるって、出ろって考えればいいってこと?」
「その通りです」
い、意外と簡単だな。
よ、よーし、できるだけこの世界で生きていけるだけの強いスキルが出てくれよ……!!
軽く深呼吸をしてからカードに念を籠めようとする。
「わっ、出た!」
「……早くない?」
「……うわ」
「絶望の顔を浮かべるのも早い……」
カードを見て失意の表情を浮かべた彼女は無言のまま俺にカードを見せてくる。
なんだなんだ……。
——―――
★★★★★
SKILL1【超・超・超越個体】
:汝、あらゆる生物の頂点に立つ可能性を秘めた存在なり。
その膂力は大地を割り、その足は海を渡り、その瞳はあらゆるものを見通すことだろう。
——――——
「見るからにやばいじゃん……」
「うん……」
星が五つついているし、超が三つついてるじゃん。
絶対最初の超にスーパーとかハイパーってルビが入るやつじゃん……。
仰々しい説明文まで浮かび上がっているじゃん……。
「ま、まあ、スキルはあくまで個人の能力の延長のようなものなので。それだけ本人の実力が定められるわけではありません!」
「そうですね……はい……」
この受付の人も、まさかスキルが強すぎて落ち込んでいるとは思ってもいないだろうな。
全然同情できないし、むしろ羨望しかないが、どんまいとは思っておこう。
「よし」
次は俺だ。
高望みはしない。
だけど、個人的にはこの世界で生きていける程度に戦えたり、仕事とかに生かせるスキルに目覚めたい……!
出ろ……! 俺に隠された潜在能力!!
必死な顔で念じていると、白いカードに文字が浮かび上がる。
で、出た!
これで異世界からやってきたからスキルがないって心配はなくなったぜ!!
さて、どんなスキルか……。
——―――
★
SKILL1【即死無効】
:汝を死の運命から遠ざける力。
死に至るあらゆる害意、脅威を退ける。
死の暴威すらも汝の命を脅かすことはできず、その五体を砕くことは叶わない。
励め(頑張れ)
——―――
「ジャァァァァァァァ!! 星一ついただきましたァァァ!!」
「ユーマがカードを床に叩きつけた!?」
「な、なにごとですか!?」
ふざけんなコラァァ!!
即死無効とか死ぬ一撃食らわなきゃ意味ねぇ力じゃねぇか!!
たしかに役に立つよ? でもなんでこんな後ろ向きな能力なんだよ! しかも後で付け足すように応援されるとかどうなってんだ!!
なんかの意思が関わってんのかこの野郎……!!
「もし、この世に女神がいたとしたら俺はそいつを呪い殺す」
「何言ってんの!?」
まさかの即死無効という役に立つけど、欲しくなかったスキル。
その事実に打ちひしがれながらも俺は軽く深呼吸をして、落ち着きを取り戻す。
「すみません、取り乱しました」
「……。いえ、貴方にも事情があるのでしょう。……スキルとは、本人が抱く悩みやコンプレックスが影響されることがあるらしいですからね。詮索はいたしませんが、壮絶な時を生きていたと見受けられます」
なんかさらに勘違いされてしまった。
訂正する気も起きないので曖昧に頷く。
「そうですか。この世界に女神への信仰はありますか?」
「ええ、勿論ありますよ」
「分かりました。なら、今すぐ馬の糞を集めてかけにいきます。神殿はどこですか?」
「捕まるのでやめてくださいね……?」
やんわりと止められてしまった。
「恐れ知らずだね、ユーマ……」
「人だろうが神様だろうが、俺にとっては同じようなものだ」
どうせ底辺の強さにあるなら、相手がどれだけ強くても同じだからな……!!
自分でそう考えて情けなくなってきた。
「では、スキルの鑑定も完了したことですし、お二人の冒険者ランクについてご説明させていただきます」
「冒険者ランクというと、冒険者としての格付けのようなものですか?」
「その通り。冒険者としての強さを表す目安のようなもので、数字が低ければ低いほど強い実力を持っていることになります」
なるほど……。
非常に嫌な予感がするが話しを聞いてみよう。
「ランクは12から1までとなります」
「……私とユーマのランクはどれくらいなんですか?」
「最初は皆さん、ランク12からのスタートとなりますので——」
「そこから先は私が話そう」
「って、ギルド長?」
男がランクを口にしようとするとギルド長が部屋に入ってきた。
突然の美人にびっくりしていると、ギルド長は揚々とした様子で俺とナナの前の席に座った。
「この私と、先ほどの戦闘を観戦していた上位ランクと相談した結果、ユーマ君。君のランクは特例のものとなった」
「……はい?」
「ナナ、君は私の推薦で彼ほどではないが、君も特例のランクだ」
「……えっ?」
呆けた反応を返す俺とナナにギルド長はにやりと笑みを浮かべながら、懐から取り出した書類を滑らすように差し出した。
「イズハラ・ユーマ。冒険者ランク3!! ナナ・メラルーカ。冒険者ランク7!!」
「「……」」
「ハッハッハ、君達には期待しているぞぉ。ではこれから同じギルドの仲間として、冒険者として頑張るように」
ハッハッハッ、と高笑いを上げながら部屋を後にしていくギルド長。
無駄にテンションの高い彼女と受付の男が扉から出て行ったところで、隣に座っているナナと俺は頭を抱えた。
「「どうしよう……!!」」
ギルドへの入団を果たした。
しかし、俺にとってもナナにとっても望まない結果に終わってしまった。
分不相応すぎるランクになってしまった……!!
マジでどうしよう……!!
主人公は気づいていませんが、“即死無効”はとんでもないスキルです。
少なくとも主人公にとっては。
次話の更新は本日中を予定しております。




