16部隊と「魔獣」前哨戦
並大抵のモンスターとは根本から違う威圧感。
この世の物とは言えない異形。
それは、「魔獣」そのものであった。
「やべえ……まさかあれほどのものとは……」
俺は必死に平常心を保とうとする。
「そうだ。攻撃とか試してみないと……」
斥候の意味がない。
「『加速』!『霧隠れ』! それで……『パライズソード』!」
まずは麻痺耐性を調べよう。
剣で切った相手を感電され……られなかった。
「オリジナルスキル習得『パライズシャウト』」
お情けの上位互換技習得。少し悲しいような……
グギャャャャ。
その「魔獣」は暴れだした。
「やべっ! 『高速転移』!」
元の茂みに戻った。
幸い、気づかれてはいない様だ。
「確かに行けた感覚は初めてなんだけどなぁ…… 麻痺は効かないっと……」
次だ。
「『霧隠れ』!」
霧隠れは使い勝手がいい。一日の使用制限がないから。
「喰らえ!『シールドクラッシュ!』」
これは相手のVIT無視で攻撃出来る大技。その代わり一日三回までの制限がある。
グジャッ!
俺の剣が、硬い「魔獣」の皮を突き破る。
鮮血が俺の体と剣に掛かる。
「きったねえなあ。洗うの面倒」
かなりの余裕ぶっこいているけれど、俺の心はかなり深刻なダメージを受けていた。
いつ発狂して暴れ回ってもおかしくない。
「魔獣」はまだ生きている。
ここまでスキル使ったのに。
ふと、最近習得した1つのスキルを思い出した。
あれなら……なんとかなるか?
「これで最後……」
使い所は無いかと探していたこの技、まさかこんな早くに発揮できるとは。
「『龍殺しの舞』!」
刹那、幾千のナイフ達が召喚される。
あの時みたく、周りの木々や、そして「魔獣」に。
ナイフの雨が降る。
そして、「魔獣」から血が溢れ出る。
「どうだ?やった……」
ここまで言って、俺は口を噤んだ。
「こ……『高速転移』!」
俺は何かを悟り、急速にその場を離れる。
そして、そのフラグは見事に回収された。
「まだ……生きてやがる……」
ナイフの雨が止んだが、「魔獣」は倒れそうになかった。まだその威圧を放ち続けている。
まだ粘るか。正直言ってしつこい。
最大火力ブッパしても生きてるとか……。
手強い相手だな。
「はぁ……。 とりあえず隊長の所に戻ろう」
こうして、俺は一時撤退した。
ひとまず、このことを報告しよう。
「簡単に掃討出来ないとはな。まさに井の中の蛙ってやつだな。俺の全火力で削れるHPは精々2割程が限界であろう。また新しいオリジナルスキルを習得したら話は別だが」
そのためには…
「俺が最強の作戦を考えてやろうじゃ無いか!燃えてきたぜ!」
この時点で、俺の頭は最高潮に燃え上がっていた。
いまなら、出来る気がする。




