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魔王というもの


さて、午前の授業が終わった後。

手早く昼食を済ませると、適当な用事をでっちあげ、私は図書室に来ていた。


「さて…。」


本棚をざっと眺める。

目指すは歴史書や魔法学、ついでに地図あたりだろうか。


ただ、大規模な図書館というのは恐ろしい。

探し物があるときに限って、目的の本以外にも興味深い本を見つけてしまう物なのだ。


「おお、『神話と人種の成り立ちについて』!興味深い…!!」


目的からは微妙に外れている。

私が探しているのは歴史書。神話ではない。

でも、神話の中には、実際の歴史をもとにしている物もあるとかいうし、人種の分布とかは、歴史と非常に深いかかわりがある。

……うん、関係ないわけじゃない!!


(まあ、あと三年ある!!)


自分で自分に言い訳をしながら、私はその本を持って席に着く。欲望…ゲフンゲフン、知識欲には抗えなかった。

ちなみに、地球の殆どの図書館がそうであったように、外部貸し出し以外はよっぽど特殊な本じゃない限り特に手続等はいらない。

少し硬めの椅子に深く腰掛けると、私はページを捲った。



「ふむふむ…。」



本の内容は、私の期待以上に興味深いものだった。



一応、前々から知ってはいたが、種族には大きく分けて、人間種族、亜人種族、精霊種族、魔族に分かれるらしい。


人間種族は、まあ、普通の人間のこと。大きな特徴はない。これもゲームとかでよくあるね…。


亜人種族はとても範囲が広いようだ。ケモナー大歓喜な方々や、ご近所にもいたトカゲっぽい人達、あとこの学校にきてから初めて見た鳥系の人達…とか。

ただ、亜人種族の人達と例えばケモノ、トカゲ、鳥…それらが直接かかわりがある、というわけではないというのが、この世の常識らしい。

驚いたことに、他の生物の優れた部分を持った人間を、神様が作ってみた……という、結構思い付きじゃね?それ?というのが、その始まりとのこと。

信憑性は、私からすると怪しいもイイとこだけど、この世界は魔法とかあるし(以下略)、まあそういうことなのかもしれない。


精霊人種は、ファンタジーでおなじみ、エルフやドワーフ達だ。彼らは、例の精霊さん達が何らかの理由で肉体を得たものの末裔らしい。

つーか、精霊さん達の生態が非常に謎である。魂?でも魔法や物に干渉しているみたいだし…ポルターガイストみたいなもんか?(多分違う)


ちなみに、私がこの本で一番驚いた内容はこうだ。

この世界はある時、ある魔王によって大幅に人口を減らした時があったらしく、その時に一気に混血が進んだらしい。

だから今の世の中、よほどの純血主義の国とか、辺境の部族でもない限り、純血の方が珍しいくらいらしい。(国によっては王族でさえも!)


どんだけ減ったんだよ…人口…魔王恐ろしい子!!


「大変だったんだよー、あの時は!」

「魔王にみーんな焼かれちゃってさ、僕たちも巻き込まれたんだぁー。」


と、魔王の力に戦慄しているとどこからともなく精霊たちが現れ、私の周りをふよふよと飛び始める。

どうやら、この本の内容を補足してくれるようだ。


(そ、そうなの?)


ちなみに私は口に出さなくとも精霊と会話する方法をこの数年で身に着けていた。独り言を言う怪しい子と思われない対策である。



「魔法の力を調整するのが僕たちのしごと。でも、魔王は僕たちのことなんかお構いなしに魔力をまき散らしたからさ。」

「闇の魔力と自分の魔力を練り上げて、どっかーん!!」

「光の精霊が止めようとしたんだけど……。」

「光の精霊は、数が少ないから…。」


ちょっと悲しげな顔でそう語る彼ら。どうやら不幸な結果に終わったらしい。

しかし、そこで抱く素朴な疑問。


「え、みんなその時からいるの?」


まるで当事者のような口ぶりに私はちょっとびっくりしてしまう。

伝承になるほど昔の話っぽいし、何十年じゃきかなそうだ。何百年、いや、何千年…?


「いるといえばいるし、いないといえば、いないよ。」

「僕たちだけど、僕たちじゃない。でも何が起きたのかはよーく知ってる。」

「どの魔王も、子供のころから魔力が高かったね。」

「あ、あの大陸を吹っ飛ばした魔王もさー。」

「僕的には、あの勇者から魔王になって…。」



……。



ええい、意味わからん!!

やっぱり精霊、謎の存在である。



(というか、魔王の数、思ったより、多っっ!!!)



歴代魔王を思い出しながら、思い出話(?)に耽る精霊たちを見ながら、私は本のページを再び捲るのだった……。


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