団長さんを見に行こう!
「あ、あそこにいるの、サラちゃんの知り合いの人じゃない?」
ある晴れた日の放課後、校庭に向かってルカちゃん、グレッチェンちゃんと歩いていると、ルカちゃんが前方を指さしそう言った。
目を向けてみれば、先日久しぶりに会ったうちの一人の姿が。
「ディアン。」
「よう、サラ。」
そこには、騎士学校の実技用装備を付けたディアンの姿があった。流石に今日はシャルロッテと一緒ではない。
小走りで近づくと、ディアンはよっ、と軽く手を挙げてくる。
ルカちゃんたちは、ディアンに軽く会釈すると先に校庭行ってるね、と歩いて行ってしまった。別に先輩だからって気を遣わないくていいのに……ディアンだし。
まあ、せっかくだから少し話していこう。
「自主練中?」
「ああ。もう終わったけどな。今日は騎士団の人達が来るから。」
「そーいえばこの間言ってたね。」
騎士団長さん達が見学に来るんだっけか。
周りを見てみると、ディアンと同じように装備を付けた生徒が何人もいた。先輩っぽい人も結構いる。張り切っているのはディアンだけじゃないようだ。
「いつ来るの?」
「4時頃に、集会場の方に来るらしい。」
「へえ。4時頃……もうすぐじゃん。」
「だから皆張り切ってる。騎士団長様を間近で見られる機会は多くないしな。」
はあー、皆熱心だね!
シャルロッテも言ってたけど騎士団に入るにはこの学校出た後さらに上級学校に通わないといけないのに。
「まあ、もしかしたら顔を覚えてもらえるしれないしね。でもディアンもまだ2年生じゃん。」
今から売り込んでどうかなるもんなのかな?
よっぽど目立つ子じゃない限り、そんな覚えてられない気もするけど。
「確かに、普通はそうだけど…そうじゃない人もいる。傭兵とか冒険者上がりの団員もいるし…ごく稀だけどさ、上級学校に上がる前に騎士団から声がかかることもあるんだ。」
「そうなの?」
なるほど、あくまで『普通は』上級学校に行ってから入団するっていうわけか。
「ああ。現に今年卒業の先輩にも一人だけそういった先輩がいるし、今の第三騎士団の団長様に至っては卒業どころか12歳で入団してる。」
「12歳!!」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
いや、12歳って、小6か中1でしょ!それで騎士団って…。しかもその人今団長さんかい!
「凄い才能だね!え、でも学校は…。」
「そのあたりはよくわからない。ただ、第三騎士団長…ベルセバルダ様は貴族出身だから家庭教師かもな。」
「あー、なるほど。」
町の学校は基本町中の子供たち全員が通う。
だけど、貴族の子供の中には学校に行く代わりに家庭教師を雇って、同じような教育を施す場合もある、らしい。
まあ、私庶民だし?周りにもそういう子はいなかったからね。よくわからんね。
そんな会話をしている時だった。
わっと周囲が色めき立ち、私とディアンはそちらに注目する。
「来たんじゃない?」
「かもな。」
ディアンの落ち着きが一気になくなる。こーいうところ昔と変わらないな。
「私も一緒に行ってもいい?」
「いいんじゃないか?」
「よっしゃ。」
正直騎士団長様にちょっと興味がある。
きっと宮廷魔術師団長のキュミラスさんよりマッチョだろう。肉体派だろうし。うん、そうに違いない。
わけのわからない期待に胸を膨らませながら、私はディアンに促されて集会場に向かうのだった。




