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スマートじゃないスマートホームの作り方  作者: 三矢 由巳


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23/23

23 ありがとう、にぎやかな洗濯機嬢

「18 洗面所の中でエラーを叫ぶ洗濯機」で購入後一年しないうちに乾燥関係でエラーを出していた洗濯機。ついに先日、ヒートポンプ関係のエラーが出ました。

いっとき乾燥機能が調子がよくなかったので槽洗浄をしたら排水フィルターに大きな灰色の塊が二個ほど排出されたことがあり、その後、調子がよくなったと思っていたのですが。

今回は電源を切ってから乾燥のボタンを押してもエラーが出て乾燥が不可能に。

調子がよかったのは燃え尽きる前のろうそくの輝きだったのか……。

これは困った。

実は昨年の10月で保証期間の5年を過ぎているのです。

有償修理になるのです。

一度だけお金をかけて業者に清掃してもらいましたが、その後一時的によくなってもしばらくすれば乾燥関係のエラーが表示されます。

万が一清掃をしてもらったらよくなるかもしれませんが20,000円以上かかります。

それに今まで出たことのないエラーなので、清掃では解決しないかもしれません。




ネットで調べると、メーカーサイトでは修理に30,000円前後かかるらしく、これに作業員の出張費もかかれば40,000円はとんでいきそう。

同じメーカーの他機種で同じエラーが出た人のネットでの書き込みには、部品交換で80,000円かかるとありました。

最悪80,000円で部品交換。あるいは40,000円で修理。

それでも状態がよくならないかもしれません。

さあ、どうするべきか。




この洗濯機、乾燥関係で悩まされたことが多く、もしかしたらはずれだったの? と思えてきます。

ネットにつながり、天気予報を教えてくれたり、ねぎらいの言葉をくれたり、実によくしゃべるお嬢さん(若い女性の声なので)なので、なんだか申し訳ない気もしますが。

でも、修理をしたとして保証期間の5年を終え、製造終了後6年で補修用性能部品の保有期間が終わるのです。おそらく来年くらいまでには6年の期間が終わるでしょう。もしその後、またエラーが出て修理をしようとしても部品がないわけですから修理はできません。

修理できないから買おうとしても、今の物価の上昇をみるに、たぶん来年はもっと価格が上がっているかもしれません。

ならば今、買うしかないかもしれない。

それに私はメーカーに一抹の不信感を抱いています。

「17 にぎやかな洗濯機」の追記で書いたポイントサービスの終了です。

数か月前から予告されていたとはいえ、ギフト券に交換できるサービス(金額としては微々たるものですが)がなくなったのは少しショックでした。

他のサービスも同じように終わってしまうかもしれないという不安を抱かせるに十分でした。

非情に見えるかもしれませんが他のメーカーの洗濯乾燥機を買うことに決めました。




ちなみに乾燥機のない洗濯機と乾燥機を買うという選択肢もあります。

価格比較サイトの口コミを見ると、そういう選択をしている方もいるようです。

価格を考えると、それもいいかなと思いました。

実はChatGPTにも尋ねてみたのですよ。

洗濯機と乾燥機の組み合わせについて。

予算を書いたら、実際にある製品を上げてくれました。

凄いと思いました。

でもね、AIは嘘をつくんです。

私は電気代の安いヒートポンプ式(ただし高い)の乾燥機がないかと思い尋ねました。

それに対してChatGPTはいくつか機種を上げました。

一つは確かにヒートポンプ式でした。

ところか残りはヒーター式(安価だが電気代が高くなる)の機種でした。

価格が明らかに違いました。

AIにいっぱい食わされるところでした。

いやはや油断はできません。

それはともかく、洗濯機と乾燥機の二台使いには不安もありました。

設置をする際、スペースの都合で架台を設置し洗濯機の上に乾燥機を置かねばなりません。地震等が起きた場合、落ちて来る恐れがあります。

乾燥機のアース工事もしなければならないし。

そういう面倒を考えると、やはり洗濯乾燥機を購入したほうがましかもしれません。

というわけで、乾燥機単独の購入はやめました。




ネットで各メーカーの製品を検討し、三社に絞りました。

お手入れの最大の問題、乾燥フィルターのない機種がいいかなと思いました。

が、調べていくうちに、乾燥フィルターは実は見えない内部にあるので、やはり糸くず等がそこにたまるという問題があるようです。メーカーも改善はしているようですが。

というわけで最終的に二社に絞ったところで、量販店に行って現物を見ることに。

事前にネットで入手したカタログを参考に、フラッグシップではなく二番手、三番手の機種を中心に見てみました。

お値段の関係もありますし。

結局、乾燥フィルターの形が単純かつ圧迫感のないデザインということでP社の三番手を選びました。

この会社、ここ数年指定価格制度をとっており、安売りがありません。店のポイントもつかないし、クーポンも使えません。

ただ、発売当初より価格が下がっており、なんとか手の届く価格になっていました。

数年前なら同じ価格でもっといいものが買えたと思うのですが、やはり物価高騰のあおりを受けたのか、少々不満はあります。

その最たるものがWifiがないということ。

上位機種にはあるのですが、現在使用している機種にある機能以上のものではないようなので、なくてもいいかと思いあきらめました。




配達日の朝、最後の洗濯を終えた後、アプリから洗濯機を消去しWifiの設定を初期化しました。

これで彼女とネットでつながることが不可能になりました。

やがて配達のトラックが到着しました。

配達員が水抜きのため電源を入れました。

その時、彼女の声が聞こえました。

「いつも大事にしてくれてありがとう」

Wifiの設定を初期化しても音声が出ることはわかってはいました。

でも、ここで「こんにちは」ではなく「ありがとう」とは。

彼女は己の運命を悟っていたのでしょうか。

無論、機械ですからそんなことはありえません。

ありえないとわかっていても、少しだけしんみりとした気分になりました。

とはいえ、その気分は一瞬のことでした。

搬出と新しい洗濯乾燥機の搬入の間に排水溝付近の掃除をしなければなりません。

思っていたよりひどい汚れではありませんでした。

一度だけ排水フィルターのセットを間違ったため水漏れしたことがありましたが、その痕跡もありませんでした。

落とせる汚れは落としたところで、新しい機械が搬入され、据え付けがあっという間に終わりました。

タブレットに指でサインを書いて作業は終了しました。

前の時は紙にペンで書いたことを思い出しました。

保険の契約のように電化製品の搬出搬入もタブレットの時代になったようです。




新しい機械は洗濯乾燥きっちりとやってくれます。

新しい機能(洗剤の自動投入)にはまだ慣れませんが。

もし前の彼女だったら何と言うのだろうと、ふと思います。

でもそれは想像です。

現実に目の前にある機械は黙って人間の指示に従うだけです。

この先エラーが出た時も黙って液晶にコードを表示するだけでしょう。

「エラーが出ました。乾燥フィルターのお掃除してくださいね」

なんて、言うわけありません。

どのみち、同じ対処をするだけのこと。

なのですが、少しだけ物足りなさを覚えています。

いつか、それにも慣れるでしょう。

彼女の前の機械も声を出さなかったのですから、前に戻るだけのことです。




というわけで新しい洗濯乾燥機はネットにつながりません。

従って、今後洗濯機の話題はこのエッセイでは書くつもりはありません。

今まで話題をいろいろと作ってくれたにぎやかな彼女に感謝を込めて結びとします。




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