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lim(x->0) sin(7x)/x話 悪鬼共、血に溺れ、策に溺れる。

「」はしゃべっている時。

『』は擬音だったり強調したいことだったりを表しています。

()は心の中です。

【】はスキル名とかモンスター名に使います。

藍色が世界を包み、月白が人を照らす。

月光に照らされ鮮やかに見える、鮮紅(せんこう)暗赤(あんせき)の水たまり。

結界越しにゼロの瞳に映るのは———

牛頭馬頭(ごずめず)】共らだった。


牛頭(ごず)は、血に濡れた人間の足を貪るように喰い、その淤血(おけつ)で紅い肌を暗く染め、

馬頭(めず)は、口端の血を名残惜しげに舐め、紅から蒼い皮膚へと戻す。


ゼ「………ッ!」

ゼ「な、何だ……?あの、『()』は…?」


声にならない声。震える声。一歩二歩後退りする。

数秒固まったあと、後ろを向き、足を交互に踏み出し始める。

すると、景色が後ろに下がっていく。

ゼロは、逃げ出した。


———数分後。

元の部屋に戻ってきたゼロ。

ゼロの荒い息は、ゲームだというのに湿り気を感じる。


ゼ「あ、あれが侵入者……?」

ゼ「このメンバーで勝てるわけがない……」


ゴ「ヌシ、ダイジョウブカ……?」

ド「ドラァ?」

ゼ「あ、あぁ。大丈夫かはわからないが……大丈夫だ。」


モンスター達から声をかけられ、指が震えるほどの恐怖を残しながら、いくらか冷静さを取り戻したゼロ。


ゼ「でもどうする…?あんな化け物の対抗策を思いつかないぞ……?」

ゼ「今持ってるなかで効きそうなのは……【イワシのくるぶし】だけか……」

ゼ「まあ無いよりはマシか……置きに行こ。」


【イワシのくるぶし】という何度考えても意味のわからないアイテムを見て、少し吹っ切れたゼロは、先ほどよりは軽い足取りで、くるぶしを取りに行く。


ゼ「どこに置こうかなー?設置するだけで良いらしいし、見たくも無いから端っこの方に置くか……」

ド「ドラァドラドラ、ドラ」

ゴ「テキノ、チカク、オイタホウガ、イイッテ、ミスト、イッテル。」

ゼ「マジか……また向こう行くのかよ……。」


先ほどの惨状を見たことで、腰が引けているゼロ。


ゼ「あいつらデカかったんだよなぁ……」

ゼ「ん…?デカい……?」


ゼ(この洞窟の高さは大体……5mぐらいか。洞窟同士を繋ぐ通路がその半分程度。)

ゼ(そして、あいつらはこの洞窟の高さよりもデカかった……)


ゼ「……通路で引っかかるんじゃね?」


安直な閃きではある。なんでそれが今まで思いつかなかったのかも疑問である。

だが、この戦力差を埋めるには藁にも縋るしかないようだ。


ゴブリンとミストの見送りを背に、入り口に最も近い通路まで踝を持って走っていく。

さっきまで脳を絶望が支配していたとは思えないほど、無邪気な顔で。


ゼ(あんな化け物が通路にハマって動けなくなるって考えたら笑っちまうな。)

ゼ(まぁ、でも絶対上手くいくとは限らないからな。気張っていくぞ!)


通路についたゼロは、奥に見える食事を終えたのか、武器を手に取った【牛頭馬頭】らが居た。

その姿に少し恐怖しつつも、その後の滑稽な姿を見るため、隠れた場所に踝を設置する。


すると警告音が鳴った。

『警告。略奪者のダンジョン攻略申請から1時間が経過しました。攻略が開始されます。」

『ダンジョンを攻略された場合、ダンジョンは略奪者に譲渡されます。ご注意ください。』


洞窟の出入り口に薄く貼っていた結界は消えていき、牛頭馬頭らは歩みを始める。

通路に差し掛かった時、馬頭が格下だと舐めてかかり、碌な警戒もしないで頭を入れた。


ゼ「うぉっ!」


目の前に馬頭の顔が出てきたことには驚いたが、先ほどのような恐怖をゼロは感じていないようだ。

それどころかゼロは馬頭の頭を『ちょん』と触ったのだ。


馬「グオ''ォオ''オ!!」


格下だと思っている相手に舐めてかかられた事が癪に触ったのだろうか。

洞窟を震わせるほどの大声を出して激する。

早く通り抜けるために体を捻る。それがいけなかった。

馬の長い顔が引っ掛かり、回ることも出ることも出来なくなり、動くのは牛頭側の足だけだった。


馬「グオ''ォ?」


馬頭の手足の関節に軽い痛みが走る。

踝の継続ダメージだ。


ゼ「………やった。やったぞ!!」

ゼ「コレはハマった!!!」


歓喜の声を上げるゼロ、それに反応し、足を暴れさせる馬頭。そして、置いてけぼりにされる牛頭。

そんなゼロの理想通りの状況。

しかし、そんな理想通りは続かない。


ゼ「イデっ。」


ゼロの頭に小石が落ちてくる。洞窟が物理的に震えている。

そんなことをできるのは何か。()()()()

動く自由のある牛頭が壁に頭突きをしている。


2回目、3回目。何度も何度も牛頭は、自身の角を折る勢いで頭突きをする。

『ゴンッ!!」

大きな頭突きの音。


『ゴロッ』

大きめの石が落ちる音。


『ピシッ」

壁に亀裂の入る音。ゼロの、最も嫌な音。


幸いダンジョンの石は硬いようだが、耐えられても精々あと10回。

その間に馬頭を倒しきれればまだ、勝機はあるかもしれない。


時間のある内に手は増やした方がいい。

元の部屋に走って戻る。


ゼ「ハァッハァッ」


全速力で走ってもSPDが2しかないせいで距離はあまり伸びてないが、体力だけは一丁前に消耗する。


ゼ(そういえば、馬頭は暴れてすぐに疲れてたな……)

ゼ(ってそんなのどうでもいいんだ!急がないと!!)


ゼロは回復した体力をすぐに使い切る勢いで走っていく。

忘れ物をしたけど一定の速度で走る人のように走った方が最適解ではあると思うが。

ちなみに洞窟の初期の大きさは125㎥(5m×5m×5m)が5つと、それを結ぶ通路は12㎥(3m(長さ)×2m×2m)が4つあります。入り口はデカめです。牛頭馬頭たちでも入れます。


Wikipedia引用 牛頭馬頭とは

地獄にいるとされる亡者達を責め苛む獄卒で、牛の頭に体は人身の姿をした牛頭と、馬の頭に体は人身の姿をした馬頭をいう。

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