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ハートフルな生活を求めて異世界放浪  作者: 時雨
序章

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1/4

転生

どこまでも平凡な人生

俺はある程度有名な大学を出てすぐ大手企業に就職してはや9年、彼女もできないまま31歳になってしまった。

勉強も仕事もしっかりこなし身なりもデスク周りもしっかり整えてるのに彼女ができないとは、俺は人生のどこで道を間違えたのだろうとつくづく思う。


「おーい桜花!俺だよ!西村!」


元気な声で俺を呼んできたのは俺の中学校時代からの親友の西村幸。大学まで一緒だったため今でも親交がある唯一の友達だ


「おぉ、準備して来たか?」


「うん。釣竿とか割と高かったんだぜ?」


今日は幸と海で落ち合うと決め、釣りに行く約束をしていたので釣具を買って来たと言われたらまぁ当たり前かと感じるが


「だから俺が貸してやるって言ったじゃん」


俺は幸に前もって貸してやると伝えていたのだ。それなのに幸は断って自分で買うと言い出したので止めはしなかったが、やはり止めておくべきだったと今更ながらに感じる


「何でもかんでも新品で揃えようとするのはお前の悪い癖だよな」


「まぁそう言うなって。さ、早く始めようぜ」


今日は久々にテトラポットまで行って穴釣りをする。中学の頃転落して死にかけて以来穴釣りはやっていない


「いやぁ、お前が穴釣りやるの久々に見るからさ、そう考えるとなんか緊張して来るわ」


何でお前が緊張するんだよ!緊張してんのは俺だよ!心臓バックバクだよ!と内心思いつつ、俺と幸はテトラポットへ向かった


「よし。今日はここで釣るか。転落しないように気をつけろよ?マジで落ちたら死ぬから」


「はは、分かってるって」


分かってなさそうだが、多分幸は奥まで行く度胸がないからそこまで心配する必要はなさそうだ。それにコイツももう大人だしね


それから俺たちは夕暮れ時までずっと釣りを楽しんだ。


「よし、じゃあこれぐらいにして俺ん家で一緒に飲もうぜ」


「それは良いんだけどさ、ちょっと相談したいことがあって」


幸が相談事とは、いつもは幸が俺の相談を聞くって形なのに、今日は立場が逆らしい


「なんだ?今日ぐらいは俺が聞くよ」


「ありがとう。実は俺結婚しようと思うんだけど」


「えっ」


声が出たのはコイツが結婚すると知った時のショックなのか、それとも動揺で足を滑らせ、テトラポットの中の渦へ吸い込まれていったからなのかは定かではない


「健!?」


後頭部に痛みを感じながら俺の意識は薄れていった




気がつけば体の痛みは既になくなっていた。

というか何も見えないし聞こえない。これじゃまるで死んだみたいじゃないか

…もしかして俺死んじゃったのか?

体を動かそうと努力するもそもそも体の感覚がないから何もできない


これはつまり…そう言う事なのだろう

どうやら俺の平凡な人生は終わりを迎えたらしい


あぁ、せめて今連載してるあの漫画が完結してから死にたかったなぁ…


彼女も欲しかったけど、努力してもできなかったのだからこれはもうしょうがないのだろう


そんな事を考えながらぼーっとしていると何処からか声が聞こえた


「貴方を、異世界へ飛ばします。言語は向こうにあわせますので、頑張ってください」


…何言ってるんだコイツ?と思わず口に出してしまいそうなほど突拍子もない事をいきなり告げられた


異世界って何だ?その、ラノベみたいなそういうやつなのか?


そんな事を考えているうちに体の感覚が戻って来た


「貴方には現在危機に瀕している他の世界を救う使命があります。それではいってらっしゃい」


使命だかなんだか知らないが、俺は叶うなら現世に戻って漫画が読みたいなぁ…


そうしているうちに五感が少しずつ戻って来て…


目覚めた時、俺は浅い海の上に浮かんでいた


「どっ!?何だこれ!?」


海と言っても水深1メートルぐらいしかない浅い海だが、いきなり海の上に放り投げられて慌てないほうがおかしいだろう


「おい!そこの君!大丈夫か?」


声がした方を見ると背の高い青年がこちらに向かって手を振っていた。溺れるほど深くもないので心配されるほどではないが、俺が急に声を上げたことに驚いて声をかけてくれたのだろう


「はっはい!大丈夫です」


…ん?声が高いような…?まぁ気のせいか


転生したのか何なのか分からないが、取り敢えず服的なボロい布は体に纏っているっぽいのでひとまず安心だな


「いや驚いたよ。まさかあんな浅い海で溺れる人がいるのかと焦ったけど、大丈夫みたいだね」


「ははは…」


もはや苦笑いしかできない。いやしかし、近くで見ると随分とイケメンだなぁ…いいなぁ…彼女の一人や二人出来たことあるんだろうなぁ…


「ちょっ…顔が近いよ」


「あぁっごめん」


男同士なんだからそんな距離感とか気にしなくて良いのに。そんな事を考えていると目の前のそいつが話しかけて来た


「君、名前はなんて言うんだい?」


相手の名前を聞かないで自分の名前を最初に名乗るのは俺の流儀に反するので名前を聞き返してみる事にした


「あなたの名前は?」


「俺の名前を答えたら君の名前も教えてくれるのかい?」


「もちろん」


「なら良い。俺の名前はクレア。よろしく」


へぇ、こっちの世界は元の世界でいう外国の姓をしてるわけか。なら日本の名前ってのは少し変かな?


俺の名前は桜花健だから…桜花の読み方を変えたら何になるんだ?


あぁ!オウカか!良し。今度から俺はオウカを名乗ろう


「俺の名前はオウカだ。まだこの世界に馴染みがないから色々教えてくれよな!よろしく」


馴染みがないと言う部分に引っ掛かっているようだが、なんとか飲み込んでくれたようだ


「…君って女の子だよね?」


「は?」


聞き返し方が若干怒ったように聞こえたのかクレアは俺に少しだけ怯えながら


「いや、別に喋り方が男っぽいって言ったわけじゃないんだけどさ…」


…クレアは何を勘違いしているんだ?喋り方も何も、俺は…


俺は…転生したけどさ、体は男なのか?


そういえば今さっきから髪の毛が重い気がする。海に落ちていたから髪が濡れただけだと思っていたが、これってもしかして…


「な、なぁ…今の俺の容姿ってどんな感じ…?」


「…美少女って感じ」


「この世界って鏡のあるトイレとかある!?」


少し狼狽えながらもクレアがあると答えてくれたので場所を教えてもらい、全速力で中に駆け込んだ


「…これって…」


鏡に映る自身の姿を見る。透き通った水色と深い真紅のオッドアイ、髪は紫色に限りなく近い黒で肩にかかるぐらいの長さまで伸びている


「完全に女じゃん」


いや、まだだ!めちゃくちゃ美しい男な可能性だってある!俺は自分の息子を確認するべくトイレの個室に入って布切れをそーっとずらしてみた


「…ついて…ない」


着いてなくても、女だったらまだ良かった


何だこれ。これじゃまるで中性じゃん。

こっちに転生してきた時から既に身長は150はありそうだったから、もしかしたら人間ですらないのかもしれない。


…クレアにこの事を伝えるべきだろうか


いや、伝えよう。変に勘違いされたままは気持ち悪いしな


「なぁクレア。俺、人間じゃないみたいだ」


「…は?」


単刀直入に伝えすぎたか?まぁいっか!


「いや、今さっき確認して来たんだけど、中性みたいでさ…実は俺、別世界から転生して来た男なんだよ」


「…それをどうやって信じろと?」


布切れを外して見せると言うのも何か気恥ずかしいので何故転生することになったからを一から説明することにした


俺が元いた世界で釣りをしてたら海に落ちて呆気なく死んでしまった事。体の感覚が消えたと思っていたら転生をしてこの世界を救えと告げられた事。そして、気付けば海の上にいて、クレアが声をかけてくれた事。


ここまで言ってようやくクレアは本当なんだと信じてくれた


「いやしかし、人間じゃないものに転生だなんて聞いた事ないよ。こっちにも異世界人は何人かいるんだけど、その人たちは全員人間だからさ」


なんと。こちらにも異世界人がいるらしい。俺が元いた世界と同じ出身だとは限らないが、会ってみる価値はありそうだ


「それで、こっちの世界が危機に瀕してるって話なんだけど、説明してもいいかな?」


俺もそこは知りたい所だったので心置きなく了承する


「この世界は十年前に突如として魔王が生まれたんだ。そいつが悪魔だったのが厄介でさ…世界の法則を捻じ曲げて、他の魔物の種族からも魔王が一人ずつ生まれるようになっちゃったんだよ」


なるほど、つまりこの世界は人間対魔王という関係が生まれているわけだ


「僕は実は生物学者でね、この世界にいるありとあらゆる生き物の種族名と特徴を記憶してるんだけど、君のような特徴の魔物は聞いたことがないんだ。だからもしかしたら、君はこの世界に生まれた新しい種族なのかもしれない。もちろん、生殖を行うことのできない人間って可能性もあるんだけど、魔物ってのは瞳の色が全員赤だからそこで見分けるしかないね」


俺の片方の瞳の色は澄んだ水色だから…どっちなのだろうか


ここで俺は重要なことに気付いてしまった


「今さっきの話だと、種族から一人魔王が出るんだよね?」


「そうだね」


「それじゃ俺ってどうなるんだ?」


「あっ…」


もしかしたら俺、生まれてそうそう魔王になっちゃうかもしれない


新シリーズです。こいつはしっかり毎日投稿できればしていきます。平日は文字量的に厳しいかもしれませんが頑張ります


追記 見分け方の変更

魔法が使えるか使えないか→瞳の色が赤いと魔物

です

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