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英雄ロイドの災難  作者: 古淵 有


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12/50

その頃の王国 リアラとミラ

今回はリアラ視点です。

ロイドの仲間で師匠の孫です。

 ロイド・ヴィクトルが反逆の意思があるとして始末されてから二ヶ月の月日が流れた。


 その出来事を信じている者は王国内にはほとんどいない。


 もちろん私自身もそんなこと信じていない。

 キールがロイドを始末したということになっているが実力を考えたらそんなことはあり得ない。


 国王ですら信じていないが、ロイドという最高戦力が王国内にいないという事実を広めないために裏で糸を引いているであろう犯人捜しは誰もしていない。


 キール自身ロイドのことを尊敬していたのでキールが自分だけの判断でやったとは考えづらい。

 となるとロイドがキールの事情を知って身を引いた――?


 そんなことを考えながら私は先日の帝国との戦争の戦後処理を行っている。

 これはいつもならロイドの仕事だったが、ロイドの代わりに私が先頭に立って行っている。


 この一ヶ月ロイドを探しに行きたい気持ちを抑えながら何とか過ごしてきた。

 ロイドが終わらせた戦争を良い形に落ち着かせなければロイドに会わせる顔がないと思ったからだ。


 ◇


 その数日後一緒に戦ったメンバーであるミラが私の執務室に訪れた。


「リアラさんこんにちは。無理なさっていませんか?顔色が優れないようですが…」


「ミラ。ありがとう。そういうあなたも調子が良さそうには見えないよ」


 室内の二人の放つ空気は重いものになっている。


「リアラさんさっそく本題に入りますが、私はロイド様を探しに行きたいと考えています」


 ミラならそう言うだろうと思っていた。


「そうだよね。ロイドが死ぬとは思えないし、どこかで生きているって考えるのが普通だよね」


「はい。私はロイド様に救われて以来行動を共にして来ました。この二ヶ月ロイド様の代わりにと思って仕事をしていましたが、やはりロイド様がいないのならば王国にいる意味はないと思っています」


 ミラは真剣な眼差しでこちらを見る。

 私も考えていた。

 ロイドがいない王国にいる意味があるのか。


 ロイドがイリア様と婚約したと聞いて落ち込んだけど、それでもそばに居たいと思ったあの日。

 王国に戻りその婚約が破棄されたと聞いて、正直なところ嬉しかった。


 自分でも嫌な女だなと思うけど、それだけロイドの事をこれまで思い続けてきた。


「そうだよねミラ。私も同じ思いだよ。ミラはどうやってロイドを探すつもりだったの?」


 私の中の燻った火が、ミラの思いを聞いて勢いを取り戻す。


「恥ずかしい話ですが私は探索するのは正直苦手で、それでリアラさんに相談しようと思ってここに来たんです。大賢者シド様のお力も借りられないかなと」


 大賢者シドは私の祖父で、ロイドの師匠でもある。両親を早くに亡くした私に取っては父のような存在だ。

 それに彼も私のことは小さい頃から可愛がってくれた。


「確かにおじいちゃんならロイドの居場所を見つける事が出来るかもしれない。ミラ今日の夜に私の家に来てもらっても良い?」


 ミラはそこでようやく緊張した面持ちからいつもの表情に戻ったように見えた。


「私は何としてでもロイド様に会いに行きたいのです。リアラさん、本当にありがとうございます」


「お礼はロイドの居場所が分かってからにしてね」


 よし。まずはおじいちゃんに連絡をしよう。


 ◇


 おじいちゃんと一緒に住んでいる家に、今ミラも来ている。


 ミラはおじいちゃんにこれまでの経緯を説明した。しかしロイドを連れ戻したいと伝えるとおじいちゃんの顔が急に険しくなった。


「二人がロイドに会いたいのはよくわかる。しかし、あやつが何かに巻き込まれて今王国にいないことくらいワシにも理解できておる。その何かがある王国にあやつが戻って来たとして、幸せになることは出来るのじゃろうか?」


 それもそうだ。私自身会いたい気持ちが強く、ロイドを連れ帰ってどうするかは考えていなかった。


「なぜワシがそう思うかと言えば、ワシも以前の戦争を終わらせた時、似たような目にあいそうになったのじゃよ。ただその時のワシは上手く関わらないように立ち回った。しかし今ロイドにもそれが起こっておる。ロイドはそういう立ち回りは苦手じゃったからのぅ」


「それでも私はロイド様に会いたいのです。会えなければ私はここにいる意味がありません!」


 そう言うミラの瞳から光るものが零れる。


 私もそうだ。ロイドに会いたい。


「おじいちゃん!私もミラと同じ思いよ。このままじゃいられない。だからロイドの居場所を教えてください!」


「ふむ。そこまで言うのなら居場所だけは見つけてやるか。その後の事は二人に任すぞ。では術の準備を始めよう」


「おじいちゃん!ありがとう!」

「シド様!ありがとうございます」


 二人の声が揃う。おじいちゃんは笑顔でこちらを見て魔術を開始した。


「あやつの強大な魔力ならどこにいても、ワシなら見つけることが出来る。ーー何!?。ハハハ。あやつはどこまでも面白いのう!」


「おじいちゃん!ロイドはどこにいるの?」


 おじいちゃんはニヤリとして言った。


「魔皇国の皇都じゃよ。なぜそんなところにいるのか分からんがのぅ」


 魔皇国ですって!本当に何でそんなとこにいるのよ。ロイドーー。

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