10.魔法属性検査では、物語補正の頑張りを感じました
入学式が終われば、寮へ向かいます。
学校内は同じ学生同士として、身分を振りかざすことは禁止されていますが、寮では身分により、部屋の大きさが異なります。
私は家から、二人ほどメイドを連れてきています。『侯爵家なのに二人だけ?』などと言ってはいけません。詳しくいえば、身内の恥ということでお察し下さい。
私の寮での部屋割りは、一フロアです。広すぎるのでもう少し小さいところでと学校側に交渉したのですが、侯爵家ということとエドワール様の婚約者という立場から、一フロア以上の妥協はできないと言われました。
連れてきたメイドは私より六つ上の双子姉妹です。姉の方がナズナ。妹の方がジャスミン。連れてきたメイドが二人だけだったことと、侯爵家なのに部屋割りされた分を当初より狭くしたことに文句を言ってきたのですが、「お母様を思い出して下さい」と言うと、納得して黙ってしまいました。これを言うと家の者としては納得せざるを得ないですよね。
入学式後から五日間は、持ってきた荷物の荷ほどきや整理、部屋の模様替えなどに時間を費やします。私やアルストロメリアさんは魔力を使い、三日間で終わらせました。
そして、四日目。アルストロメリアさんと優雅にティータイムを堪能していると、ミルフィーユ家の優秀なメイドのコットンさんが、部屋に来ました。なんでも、カトレア専用模様替えが思ったより進まないから、私の連れてきたメイドを貸してほしいと言われました。すぐに、私とナズナとジャスミンの頭の中で『カトレア専用=お母様(スミレ様)専用』という図式が浮かび上がりました。これには同情するよりほかにありません。ということは、明日までに済ませるのは無理というものです。寮に住む準備をしている時に、家のメイド長が「ミルフィーユ公爵家のカトレア様は、スミレ様と性格が瓜二つにございます。絶対確実に、カトレア様の寮生活の準備のお手伝いをすることになるでしょう。十分なメイドを連れてきてるとはいえ、その者たちでは絶対に準備を間に合わせることはできません。長年、ガレット侯爵家に仕える者として断言いたしましょう」と言っていたことを思い出しました。これは本当になったのでしょうね。大変、残念なことに。
さっそく、カトレアの部屋に向かうことになりました。恐ろしすぎることに、カトレアは連れてきたメイドたちの努力をことごとく無駄にするようなことをしていました。この中でカトレアに手を上げていいのは、私しかいません。ミルフィーユ公爵にも許可をいただいています。私はカトレアを簀巻きにし、部屋の隅に放置しました。
アルストロメリアさんも手伝ってくれたので、五日目にはカトレアの寮生活の準備をすべて終えました。もう二度としないと、心に誓いました。魔法省で、この手の魔法習得を必須としていたことが役に立った出来事でした。
魔法学校初日は、『魔法属性の検査』です。私とアルストロメリアさんは、魔法省の入所時にこの検査をしているので、しなくてもいいので自習です。なので、私はカトレアの魔法属性をいざとなれば対処しないといけないので、魔法属性検査を見学することにしました。思ったよりも、検査をしないといけない人が多いです。ゲーム本編では描かれなかったところなので、そんなものかもしれないですね。
いよいよ、カトレアの番がきました。あの、カトレアが珍しく緊張しているようです。
魔法属性の検査をするための魔方陣に入ると、光属性の証である虹色の輝きが魔方陣から溢れ出しました。そして同時に、光属性の召喚獣の片割れ『一角獣』が現れました。ちなみに、対になっているのは『天馬』です。
魔方陣の外にいた一角獣は、カトレアを見つけると急にカトレアに向かって走り出し、お尻を角で突こうとしました。カトレアは、一角獣から逃げようとしましたが、追いつかれて何度もお尻を角で突かれています。どれだけお尻を突けば、気が済むのでしょう?
カトレアが大泣きして、魔法属性の検査場所が地響きしてきました。これでは、魔法属性の検査用の魔方陣が壊れて、この場所が大打撃を受けます。
私は銀竜のシルヴァを召喚し、一角獣を捕えました。一角獣は、シルヴァを見て大人しくなりました。これが、精霊王としての格なのでしょうか?同属性でなくとも、効果アリなのですね。
一角獣は嫌々ながらもカトレアと契約し、元の世界に戻っていきました。
ゲームでは、一角獣はカトレアの命令でヒロイン様を追い回し、ヒロイン様のお尻を角で突きまくっていたんですけどね。実際には、納得できない契約者のカトレアに対して、お尻を角で突きまくるという現実。現実って、まだまだ理解ができない場所なんですね。
カトレアの魔法属性を光属性だと分かった時に、物語補正の「私、頑張った。ものすっっごく、頑張った」と言う声が聞こえたのはきっと気のせいじゃない。




