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。鈍。  作者: 深水葉月
89/89

83刀

 夕暮さんの背中滴る血にデシャヴを覚えた。

 恐怖で足がすくむ。

 嫌だ、目の前で人が死ぬのは。


「三咲今なら、許すから。頼むから戻ってきてくれ」

 甘美な誘いには乗らない。

 夕暮さんを守らないと。

 私はだって、鎦花さんのかわりに守るって誓ったんだ…!

 みんなを、夕暮さんを。

 誰一人欠けさせない。


「思い出してください。」

 倒れている同級生から、剣を剥ぎ取った。

 重い剣に腕が震えた。


「私は"貴方の大切な人"なんかじゃない!!!」



 切っ先に憎悪を込めて、突いた。





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