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僕の職業適性には人権が無かったらしい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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訓練2 85

「じゃあ、受け流しと剛剣のスキル習得訓練、開始!」


 僕の指示を受け、村に残った人や子供たちが石を投げる。それを、三十人の騎士達は剣を振って防いでいた。一方、残った二十人の騎士達は大きな丸太を両手で持ち、必死に地面に振り下ろしていた。


「ぐ、ぁああああっ!?」


「ほ、本当にこんなこと、で……っ!? 痛っ!」


 騎士達は訓練内容を疑いつつも、必死に言われたことをこなしていく。まぁ、上下関係に厳しい騎士達だから、命令された通り訓練をしているのだろう。


 やり方は教えたので、スキル習得訓練中の騎士達は放置していて良いだろう。後は、騎士達の訓練を面白おかしく手伝ってくれている村人たちが頑張ってくれる。


 そして、イリーニャは小さな傷でもしっかり治し、聖職者の熟練度上げができる。


「さて、午後は僕も訓練だな」


 そう呟きつつ、村に残った商人の職業適性を持つ三人と一緒に熟練度上げを行った。ブルーノ、ボー、カリネという男女である。どうしても戦闘で役に立ちたいという三人の意見に、仕方なく戦闘商人のスキル構成を教えてあげた。


 商人は基本的にはギルドに所属し、パワーレベリングや高級装備を使ってレベルと熟練度を上げ、生産系に特化した商人になるものだ。しかし、どこでも異端というべき者達はいる。つまり、ソロで戦える商人のスキル構成である。


 投石銃と銭投げ、武器投げを極めるスキル構成である。投擲には器用さが必要であり、生産系スキルとの相性は良い。最終的には、自分で鉄製ナイフを作成し、それを投げるという不思議な戦い方をするようになる。


「これを投げ続けていたら良いの?」


 カリネに言われ、頷いて短剣を木に向かって投げた。


「そうそう。とりあえず、百発百中になるまで投げてみて」


「投擲銃より強くなるのか?」


「そうだね。まぁ、本気を出すと物凄い威力になるよ。コスパ悪いけど」


 苦笑しつつ、そう答える。それに三人は顔を見合わせていたが、嘘は言っていない。武器投げは投げる武器に依存する。コスパが良いのは鉄のナイフだが、ボスクラスを相手にする時はミスリルの大剣や斧などを投げたりする。ゲームでは武器は投げれば失われる。その為、貴重な武器であればあるほど、威力が出るのだ。


「とりあえず、アーベルさんの三段斬りの二倍以上の威力にはなるよ。それも、手持ちの武器をいっぱい持っていたら、十回二十回と投げることができる」


 安心させるためにそう告げたのだが、ブルーノ達は目を丸くして固まった。まぁ、確かに、戦士なら通常攻撃からの四段斬りコンボとか、弓使いの矢の雨みたいな派手さはない。魔術師なんて攻城戦、ギルド戦、ボス戦の花形だ。比べると惨めな気持ちにもなるだろう。


 しかし、商人は唯一の生産特化の職業適性なのだ。その有用性はどんなギルドでも理解しているし、誰も侮ることはない。いずれ、彼も商人という職業適性であることを誇りに思うことだろう。


「ラーシュはなんで武器投げをしないんだ」


「そうだよ。そんなに強いなら、もっと練習した方が良いんじゃないか?」


 ブルーノとボーからそんな質問をされるが、それに首を傾げる。


「そんなスキルをとっている余裕はないよ。既に投擲銃を習得してるからね。後は、全て魔導技師のスキルを取らないといけないから」


「魔導技師って、例の希少な職業適性か?」


「商人とは違うんだよな」


「まぁね。なりたい人はなっても良いけど、どの職業適性よりも強くなるまで時間がかかるから、覚悟してね」


 質問に素直に答えると、三人は顔を見合わせた。


「俺たちは、なんだっけ? 錬金術師か」


「そうそう。錬金術師になった方が村の役に立てるんだろ?」


 ブルーノ達は以前伝えたことをしっかり覚えていたようだ。それに微笑み、頷く。


「そうだね。商人の間でも武器や防具、装飾品づくりは出来るけど、本当に最上級の装備品は錬金術師じゃないと作れないし」


 そう告げると、カリネは口の端を上げて答える。


「それなら、私たちは錬金術師を目指すよ。村の役に立ちたいからね」


 カリネの言葉に、ブルーノとボーも笑って頷いた。皆で支え合って生きてきたからだろうか。この村の人々は誰もが村のことを、仲間のことを一番に考えている。そして、真っすぐで優しい人ばかりだった。


「それじゃあ、頑張って熟練度を上げるとしようか」


 笑いながらそう言って、訓練を再開する。延々と木に向かって武器を投げ続けるブルーノ達を眺めつつ、午後の訓練の準備をしておいた。


「た、ただいま戻りました……」


「お疲れ様です」


 村に戻ってきたフィアス達を見て苦笑し、労っておく。とりあえず、こちらが伝えておいたやり方で戦ってもらい、最低でも十人で魔獣一体を狩るように指示していた。結果、十人五班の成果は半日で魔獣六体となった。その間に、アーベル達は周りを護衛しながら魔獣三体を狩っている。


「良いね。それじゃあ、午前中に狩りをしてきた皆は魔獣の死体をこっちにおいて、付いてきてください」


「は、はい」


 疲労困憊といった様子でフィアスが答え、皆を引き連れて歩いてきた。そして、スキル習得訓練中の仲間を見て、絶句する。


「ぬ、つぁあっ!」


「痛い!」


「ふん、ふん、ふん……っ!」


 受け流しと剛剣の訓練を見て、フィアスは難しい顔でこちらを見る。特に、石を投げられて必死に剣で防ぐ騎士達の姿は衝撃だったようだ。





大変申し訳ありません!

諸事情により更新頻度が落ちます( ;∀;)

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― 新着の感想 ―
訓練と分かってても石打ち刑みたいな絵面だよね
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