表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の職業適性には人権が無かったらしい  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/85

訓練 84

 途中で魔獣の肉を焼いて昼食をとりつつ、合計五、六時間の狩りを見てもらった。最初はビクビクしていた騎士達も、帰る頃には落ち着いていた。中型魔獣十体と小型の魔獣が二十体くらい出たから、かなり驚いただろうね。


「皆さん、お疲れ様です! とりあえず、今日は鰐のお肉を食べて体力を付けましょう!」


 そう告げると、騎士達は頷き、歩いてくる。


「食事の準備をー」


「はーい」


 村にいる者達に声を掛けると返事があった。


「お、おい……」


「あれは……」


 村の中を歩いていると、騎士達の何人かが驚きの声を漏らす。他に二班だけ狩りに出るように伝えていたが、どうやら獲物を持ち帰ったようだ。


 大きな狼と猪の死体が転がっており、テキパキと素材が切り分けられている。その様子に騎士達は唖然とした様子をみせた。


「今日は中々の成果ですね。夕食も美味しいですよ」


 笑いながら先を歩き、広場へと移動する。


「そういえば、ラーシュ」


「はい?」


 ミケルから名を呼ばれ、振り返る。すると、ミケルが後方の騎士達を指差した。


「なんか、騎士達が魔獣の処理はしてくれるんじゃなかったか?」


「ああ、確かに。まぁ、明日から頑張ってもらおうかな」


「そうか」


 そんなやり取りをして、皆が揃うのを待つ。その間に、食事の準備も済んだようだ。


「ラーシュ様! お食事の準備ができました!」


 イリーニャから声を掛けられ、顔を上げる。見れば、もう大きな篝火が出来上がっていた。キャンプファイヤー状態だ。


「ありがとう。それじゃ、エルネストさん」


 声を掛けると、隊長のエルネストが背筋を伸ばして返事をした。狩りの間に話してある程度性格を把握した。とても生真面目で、ガチガチの騎士だ。つまり、狩人としてはまだ使えない。むしろ、弓使いで騎士としては固まっていないフィアスとかいう騎士の方が有望だ。


「普段ならもう少し調理するんだけど、人数が多いから保存されている肉から焼いて食べてくれますか? とりあえず、調味料とかは多少ありますが……」


 そう告げると、エルネストが胸を張った。


「承知しました。我々も訓練の為に携帯食と調味料を持参しております。お役立てください」


「おお、ありがたいですね。それじゃあ、今日はパーッといきましょうか」


 こうして、皆での楽しい夕食が始まった。村の人数は百人程度。そこに騎士達百人が来ているので、いつもより二倍賑やかだ。


「おお、酒があるのか?」


「予想外だな」


「最近は行商人が来るんだ。皆、週に一回は飲めるんだぞ」


 気が付けば、ミケルとロルフは騎士達と普通に会話をするようになっていた。一部の人懐こい村人もそれなりに騎士と会話をしている。


「いつもこんな高級な肉を食べているのか?」


「こうきゅう?」


「中型魔獣なんて、まず出回らない肉なんですよ。それに、硬い皮や鱗で守られた魔獣は肉が柔らかくて美味しいことが多いんです。だから、こんなに好きなだけ食べられるなんて驚きですよ」


 食事を始めて一時間もする頃には随分と仲良くなってきていた。酒精の力もあるのかもしれないが、特に子供たちは騎士の中でも子供好きの騎士を発見し、色々と王都の話を聞いて喜んでいた。


 うん。最初はどうなるかと思ったが、想像していたよりも獣人への差別意識はないようだ。良かった、良かった。


 そんなことを思いつつ、その日は終わりを告げた。広場内でどうにか野営ができると分かったので、騎士達の寝床は村の中心にある広場である。


「ラーシュ殿。夜間の警備は我々も手伝いましょう」


 エルネストがそんなことを言ってきたが、そうもいかない。なにせ、これからは毎日実戦訓練だ。しっかり寝てもらった方が良い。


 なので、笑顔で断っておいた。


「大丈夫ですよ。夜間は担当の村人が十人で村を守っていますから。大型魔獣や中型魔獣が三体以上出た時は鐘を鳴らすことになってますが、まず大丈夫なので安心して寝ていてくださいね」


 そう告げると、エルネストが頬を引き攣らせつつ、首肯した。


 翌日、騎士達は朝も早くから準備を完了していた。ちなみに、こちらはもう通常の起床時間に戻した為、ゆっくり起きてきたところである。


「おはようございます」


「おはようございます!」


 挨拶をすると、整列した騎士達が大きな声で返事する。


「今日の訓練内容を発表します! まずは、午前中ですが、昨日分けた班の半分がアーベルさん達に付いていって、実際に狩りをします。残りの半数がスキル習得のため、僕が一人ずつにやり方を解説していきます。まぁ、勉強ですね」


 そう告げると、騎士達は顔を見合わせて戸惑う。


 まぁ、やってみればわかるさ。


 そんな精神で、僕はさっそく受け持ちの五十人を連れて村の外へ出る。何かがあっても良いようにイリーニャだけ僕に付いてきているが、残りの村の主戦力は全員騎士達の補佐のために同行している状態だ。


「それでは、騎士の皆さん。今回は戦士の人だけに残ってもらいましたので、全員で基本となるスキルの習得を目指しましょう!」


 そう言って、少し困惑した様子の騎士達の事情聴取を行った。


 結果、受け流しを覚えていない騎士が過半数。恐らく、剛剣を持っていない騎士が過半数。また、連続切りも持っていない騎士もいるようだった。


 これはいかんぞ。そもそも、基本的なスキルが無ければ戦う相手が人でも魔獣でも関係がない。騎士団ではそんなことも教えていないのか。


 ラーシュ君は激おこである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そういえば研究者との話ってどうなったんだろう……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ