1.2 遺伝能力
「両者準備」
教師の重々しい声が校庭に広がる。周りからの一挙一動を注目する視線、そしてこの独特の緊迫感。
みんながいつも以上に注目するのは無理もないだろう。だって、あの「吉良」が出てくるのだから。
お互いの周りに幾何学文様が広がる。自分をかたどっている二重螺旋構造の遺伝子の形の延長にあるものを魔法陣のように自分の足元に広げているのだ。大きさは1m程度といったところか。
丸は水、三角は火といったように文様にも基本的な種類がある。そして、それを重ねるようにして魔法陣を形成する。また、属性は一つが普通で、二つ、三つで相当特殊だ。一般的な俺といったような通常な学生は1~3の模様重ねが限界だ。
ここまでが能力の仕組みの簡単な説明だが、例外が2つほど存在する。その一つが先ほど言った「吉良」といった名族の存在だ。
おおーと周りから歓声があがる。吉良の陣の中央から三日月のようなマークが浮かび上がっていた。
「準備は整ったな?」
教師が2人の生徒の顔を確認する。
「はい」
「もちろん」
「それでは始め!」
うおーともう一度歓声があがる。ルールは簡単だ。相手が戦闘不能になるか、陣を壊すまでだ。ただ、授業であるため教師が続行不能と判断したとき勝負は止まる。
先手はもう一人の生徒のほうからだった。クラスは確か隣の組だったような気がする。
彼の周りからこぶし大の水の塊が3つ生成される。そして弾丸のように解き放つ。
普通ならば逃げるか防御をとるが、吉良は違った。彼女の体に近づくと水の玉はいきなり重力がかかったかのように落ちて飛沫が飛び散った。
「さすが、吉良様といったところか?だが、これはどうかな」
水の玉をもう一度3つ作った。なんだよ?もう一度やるのか?と不満げな声があがるが、彼の顔から偏屈そうな笑みが消えていなかった。
1、2、3と攻撃をおおよそ3秒周期に彼女に全方位飛ばすが、例外なく彼女の体をかすめることが無かった。
彼の顔から笑みが消える。どうやらこの程度の秘策しかないのが、一目瞭然だった。
吉良は余裕な笑みで問いかける?
「もうギブしても、誰も攻めないと思うよ?」
「いや、せめて1発でも耐えてみせる」
彼にも意地があったのだろう。吉良はそうとつまらないそうに一言つぶやくと、お返しに青白い光の玉を3つ錬成する。ただ、大きさが10倍ほど違っていた。
光の玉は解き放たれると彼の前へおぞましいスピードで飛んで行った。
そして接触したとき青白い光が大きく広がっていった。
教師は一瞥すると、
「勝者 吉良琴乃」
と手をあげ高らかな声で伝えた。周りのギャラリーも彼女の周りに駆けつけていった。
琴乃は女の子らしい笑顔で彼らを受け入れていたが、遠くの取り巻きで彼女の笑顔が悲しさといったものを秘めている冷たい表情だと感じたのは俺だけなのだろうか?
みんなと和気あいあいとしてる中、彼女は突如として物足りなげに口を開いた。
「ねえ?松永君。私と勝負しない?」
こんばんは、中学の物理です。
作品を読んでくださり本当にありがとうございます。
幼稚でよくわからない作品かもしれませんが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
感想をいただけると幸いです。
今後もよろしくお願いします。




