表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界じゃないよ?  作者: 乱読家
<おまけ話>
24/30

<異種遭遇>

 大きな口をあけて笑っていたら、場所が場所なだけに先ほどの風で舞い上がっていた落ち葉や腐葉土が口の中に入ってきてじゃりじゃりする。

 さすがにうっとうしかったので、ひとまず3人ともくぼ地から這い上がり、野原で身体についた汚れを簡単にでも落とそうということになった。

 まず、ミアが這い上がるのを2人で下から支えて手伝い、次にミニスがジャントに下から支えてもらった上でミアに引っ張り上げてもらい、最後にジャントを手伝おうとしたら手を貸す暇もなくあっさりと登ってきた。

 さすが手足の数が多い人は違う!

 

「ふぅー、さすがに死ぬかと思った」

「にゃー、昔あんな目にあったなんて聞いてないにゃー」

「(疲労)」

 

 身体をパタパタ叩いてマントや服に付いた汚れを落としながら話しているとミアが得意げな顔をしてこっちを見てきた。

 

「ランタンは落としてきちゃったけど、コレは持って帰ってきたにゃ!」

 そういいながら突き出してきたのは「粉」を集めていた袋だった。

 こんなところまで5年前と一緒だとは!

 思わず苦笑してしまった。

 

「しっかし、あんなのが居るなんて聞いてなかったにゃ。5年前は一体どうやったにゃ?」

「聞いてないも何も、あんなの5年前は居なかったから」

 というかあんなのが居たら子供2人なんて無事では済んでないと思う。

 同意を求めてジャントの方を見たら、よっぽど疲れたのか野原にぐったりと寝転んでいた。まあ、仕方ないか。

 

「へ?そうにゃの?」

「うん、あんなに奥まで行く前に黒いのの大群が沸いて来て、引き返すしかなかったんだ。ランタンも無かったしね」

 もしかしたらあの時ももっと奥まで行けば蟹は居たのかもしれないけれど、そんなことは分からないしね。

 

 ただ、蟹と関連付けて気になったことがひとつある。

 

「記憶より黒いのが全然少なかったのが気になってたんだけど、多分あの蟹が原因なんだろうね」

「あー。なんだか物凄くおなかすかせてたみたいにゃー」

 

 そうなのだ、あの蟹は明らかに私達を食べようと追いかけてきていた。

 そして洞窟の黒いのの減少を結び付けて考えると…多分蟹は黒いのを食べてたんだろうなー。と思う。

 

「でも、これじゃあもうこの洞窟は怖くては入れないね」

「さすがにあれを経験した後もう一度入ろうとは思えないにゃー」

 一寸震えながらミアが言う。

 

 ここで、さすがにリベンジだにゃー!とか言って入ろうとしたら頭叩いてでもやめさせるつもりだったけど今回は大丈夫そうだ。ほっ。

 

「さって、村の子供たちが間違って入ると危ないから、今のうちに入り口ふさいじゃおう」

「うん、そうだにゃ」

「ほら、ジャントも起きて手伝って!」

「(…了承)」

 

 後々のことを考えて、とりあえず今は必要なことをしよう。

 

 最初に3人がかりで運べそうな大きさの石をいくつか拾ってきて入り口をふさいだ後、くぼ地の周りを崩して完全に入り口が見えないように塞いで、その上を踏み固めて更に周りの雑草を根っこごと掘って持ってきて上にかぶせた。

 こうしておけば何処に入り口があるかはもう分からないだろうし、あとは時間がたてば勝手にここも野原の一部になるだろう。

 

「おわったーーーーー!」

「おつかれにゃー!水浴びしたいにゃー」

「(疲労)」

 

 作業が終わる頃には3人ともへとへとになっていて、汗もかいたし泥だらけだしでどこかで水浴びでもしたい気分になっていた。

 記憶にある一番近い水辺って何処だったっけ?

 

 そう思い記憶を探って居ると野原をうろうろしていたミアが何か見つけたようで私達を呼んでいる。

 あんなところにはさすがに水源は無かったよね?

 

 ◇     ◆     ◇

 

「おはようございます」

 

 目が覚めて最初に目にしたのはなんだかのっぺらぼうな人形?だった。

 間接部分も継ぎ目がなく、頭には一寸大きめのヘルメットとそこから伸びる二本のチューブ?が生えている。

 そんなよくわからない変な何かに目覚めのあいさつをされてしまった。

 

「誰だお前」

「船の人工知能ですよ?」

 

 いやいやいや、俺が凍結処理に入るまえはそんなもの無かったろ。

 

「何でそんな身体を…」

「ご要望の、言葉を操る文明とのコミュニケーション。を遂行する上で必要と判断して作成しました」

 

「そ、そうですか」

 思わず敬語になってしまった。

 よくわからないが必要だというなら必要なんだろう。うん。

 それよりも、俺が起こされたということはとうとう言語によるコミュニケーションが可能な文明が誕生したということか。

 だんだん目が覚めてきたこともあり、テンションも上がってきた。すごく楽しみだ。

 ちなみに先ほどの変なのは「外部同期ユニット」と呼べばよいそうだ。

 

「さっそくだけど、状況の説明お願いできるかな?」

 

「はい。現在判明している範囲ですが」

 

 そう前置きして説明されたのは以下のような内容だった。

 

 1.現在地上には複数の種族のコロニーが存在。

 2.コロニーは基本的に6隻の降下艇を中心に形成されている。

 3.例外としては地下を生活拠点としている種族や水中を生活拠点としているものが居る。

 4.コロニー間の交流は活発ではないが概ね友好的に行われている。

 5.「1」で言う種族とは人類的な人種レベルの違いをさすのではなく、まったく違う種を指している。

 6.宗教の概念が誕生している可能性がある。

 7.言語以外のコミュニケーション能力を獲得している可能性が高い。

 8.共通の言語で複数の種族の会話が成立している。それを成立させている原因が「7」である可能性が高い。

 9.この惑星に生息する生命は地球の常識に当てはまらない特殊な進化を遂げた生命体として考えた方が良い。

 10.言語によるコミュニケーション用に即時同時通訳が可能なシステムとして「外部同期ユニット」を作成した。

 11.地上での活動時、安全を確保する目的で「外部同期ユニット追加パーツ」を作成した。

 12.接触目標となりうる、他種族で構成された異種族に対して攻撃性を発揮する可能性の低い集団の選別が完了。

 

「むぅ…な、ながい…」

 物凄いマシンガントークを聞かされた。

 まさかとは思うけど、俺が居ない間、話し相手が居なくて寂しかったなんて事ないよな?

 

「とりあえず、すぐにでも出発は可能なのかな?」

 

「はい、可能です。出発しますか?」

 

「その前になにか、特別気をつけたほうがよさそうなことはある?」

 あわてて降りて後で困るのは嫌なので念のため聞いておく。

 

「質問が漠然としています。その質問に対しての回答として以下のように答えます」

「一旦地上に降りた場合、何らかの理由で降下艇にたどり着けなかった場合は本船に帰還することは大変難しいかと思います」

「生存に必要な呼吸可能な大気は勿論問題ないですが、飲食物に関しては地球化が完了していますので過熱を行った上で摂取していただければ直ちに健康に影響は無いものと推察されます」

「地上にはモンスターの残存が確認されています」

「現在の地上の文明レベルは…

 

「一寸まった!」

 今何か聞き捨てならない事を言いましたよね?

 

「はい、なんでしょう?」

 

「モンスターは殲滅できたはずだよね?」

 確かそれがあの時俺に出されたお願いだったはずだ。

 

「惑星の地球化を行ううえで障害になると予測される分解用のナノマシンの排除を優先するという目的を最優先に、本船が有する地表走査能力の許す限りの範囲で複製機能を持ったナノマシンの排除の確認は行いました」

 

「えっと、どういう意味?」

 

「本船の地表走査能力は地下まで及びませんのでモンスターは地下に残存していた可能性が高いです」

「補足するなら、地球化の障害にならない限りモンスターの排除は最優先ではない。と言うことです」

 

「それはつまり、今の地上には話し相手になってくれそうな生物は居るけど、危険なモンスター達も残ってるということか…」

 あの怪物とまた出会う可能性があるのか、出来ればご遠慮したいところだ。

 

「はい、その理解で問題ありません」

 

「あらー。それでさっき言ってたみたいな「外部同期ユニット追加パーツ」が必要になるってわけか」

 今回は自分で戦う必要はなさそうなのは正直ありがたい。

 

「その理解は十分ではありません」

 

「?」

 

「人類は地表の生物にとっては異物です、友好的な接触を取れる保障は出来ません」

「その場合発生する危険に備えて「外部同期ユニット追加パーツ」を作成しました」

 

「あー。まあ、そりゃそうか。地球の時だって人種差別はあったし、治安の悪い外国へ行くと最悪死ぬことだってあったもんなぁ」

 モンスターだけじゃなく、場合によっては現地人(?)との武力衝突的なトラブルも考えてるわけね。

 地上には軍隊とかもあるんだろうか?

 

「ご理解いただけたようですね」

 

「そういえば、話してて思ったんだけど」

 

「はい」

 

「自然言語での会話がえらいスムーズなんだけど、実は君、人間の感情や情動とか理解してるよね?」

 前に話した時よりアバウトな質問に対して的確な回答が返ってくるので一寸確認してみようと思い聞いてみた。

 

「…今回の目的を遂行する上で必要となると判断した結果、解凍作業中に行った地上での活動時に発生する状況に対応するシミュレーションを繰り返したものをそう判断されたなら私としても幸いです」

 

「了解、そうやって難しい言い方しなくてもいいから。とりあえず、わかるってことはわかった」

 今後のことを考えれば確かにこういった理解力の上昇はこちらとしてもありがたい。

 ただ、説明を聞いていても思ったが冗長すぎて韜晦とうかいでもされてるような気になってしまうのはどうにかならんものか…。

 まあ、船の人工知能には今まで話し相手も居なかったろうし、会話能力が低いのは仕方ないか。

 そこまで考えてから気を取り直して、これから一緒にやって行く相棒としてあいさつをしておくことにした。

「それじゃ、今後ともよろしく。相棒!」

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

「なお、性別は存在しませんが、外部同期ユニットを作成するにあたり女性型を選択しましたので、以降は女性として扱っていただければと思います」

 

「わかった、けど、なんで女性型?」

 

「そのほうが喜ばれるかと思いました」

 

「おま」

 誰得よ。

 でも、むさい男型の相棒よりは…いいのかな?いいのか?

 

「あ、そだ。今更なんだけど君に名前はないの?」

 今までは船の人工知能っていう自己紹介だったし名前はなくても良いかと思ったけどこうやって人の形をした相手に名前がないというのはなんだか落ち着かない。

 まあ、俺の気持ちの問題だけなんだが。

 

「ありません、元々船体制御と地球化を効率よく進める目的で搭載された人工知能ですので、特に名前を必要としてはおりませんでした」

 

「うーん、まあ、乗組員も居ないって言ってたしそういうものか。でも、そのままだと話しかけるとき呼びにくいので何か名前があったほうがいいな」

「じゃあ、今日から君はアリスということで」

 

「質問してもよろしいでしょうか?」

 

「うん、なに?」

 

「どうしてアリスなんでしょうか?」

 

「君が女の子の形をしてるって事と、これから行く地上は、まあ御伽噺の不思議の国みたいなもんだろ?人間の言葉をしゃべる動物と仲良くするならアリスがぴったりかなって思っただけだよ」

 

「理解しました。名前をつけていただき、ありがとうございます」

 

「どういたしまして、繰り返しになるけど、これからよろしくアリス」

 

「はい、こちらこそ」

 

 こうして秀吉に代わる相棒としてアリスが加わった。

 先ほど中断してしまった話の続きを聞いた上で地上に行く準備を完了したらいよいよ出発することになるだろう。

 地上はどんな世界になっているのかを考えると今から楽しみだ。

 願わくば友好的な生き物に出会えますように。


<異種遭遇>(後書き)

どの程度の量が一回の投稿として適正なのかさっぱり分からないので長い時もあれば短い時もあります。


2012/04/14

シーンの切り替えや時間経過を表現するつもりで「・・・」を使っていたのですが、読み返してみると非常に読みづらかったので


      ◇     ◆     ◇


に変更しました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ