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第4世界 心優しきモンスター

なんやかんやあって、カバ vs 勇者バトルへ――


ルミナ「それでは早速、先日用意した勇者を流し込んでいきます」


神『まさかの続き?魔配合した異世界の素と一緒に濃厚魔界フォンダンショコラでも作んの?勇者召喚の研修で作ったアイツら本当に送り込んじゃうの?大丈夫?スキルとかなんも設定してないけど』


ルミナ「あぁ、そうですね。では勇者スキルを設定しましょうか」


神『もっと二人の事をちゃんと考えてあげて?でも、異世界ってそんな簡単に出来上がるもんなの?確か何万年?何億年?かけて今の地球になったんじゃないの?』


ルミナ「46億年です」


神『なにが?』


ルミナ「地球と同じで、異世界の素から文明が発達し、ファンタジーな世界が出来上がるまでの期間です」


神『いや、長過ぎるわ。忘れるどころか自分が神だった事すら忘れちゃうわ』


ルミナ「ですが、この『精神と神の部屋』では1日1億年を早める事も出来ますので、46日間あれば異世界が完成致します」


神『それでも、長いっちゃ長いよね』


ルミナ「そういうと思いましたので」


【ルミナが妙に自信満々で取り出すのAA】

( ´・ω・)⊃ 46日間寝かせておいた異世界 スッ


神『さっきから料理番組かよ!ルミナとカミの46日クッキングかよ!「今日は46日間熟成させた異世界をお届けします~♪」って、長ぇんだよ!腐るわ!』


ルミナ「続いて勇者の装備です」


(ガチャガチャと取り出す)


ルミナ「勇者の兜、勇者のマント、勇者のユニホーム、勇者の短パン、勇者のスパイク、それと……」


神『スキルはよ?それにもっとこう、鎖帷子くさりかたびらとか勇者の鎧とか色々あるじゃん?スパイクは武器っぽいけど、どうせこの流れだとサッカーの靴でしょ?何で戦うんだよ!』


ルミナ「勇者のサッカーボールです」


神『だから、どうやってサッカーボールでカバと戦うんだよ!ドリブルで股抜きしてゴール決めて「ナイスシュート!」って!?』


ルミナ「Hey ブツクサ!戦闘をシミュレーションしてみて」


”『カバ』とはねぇ……ただの動物。可愛い水辺のマスコット、なんて低俗な幻想を抱いている愚か者のために、少々高尚すぎる説明をいたしますわ。つまり、体長4.2メートル、体重2トン超の生体兵器そのものですよ? 時速50kmを超える突進力と、2トンの質量を併せ持つ、ただの肉の塊ではありません。牙は鋼鉄すら粉砕し、皮膚は銃弾を跳ね返す。怒りが頂点に達すると理性などという下賤なものは完全に吹き飛び、『倒す』などという生易しい行為ではなく、『粉砕する』まで一切止まらないんですわw 勇者の装備?ふふっ……所詮はただの布と金属のコスプレやで。あなたが作ったチープな小道具など、カバの前では子供のおもちゃ同然。0.8秒で紙くずのように引き裂かれ、踏み潰され、咀嚼される……それが現実ですわ。まぁ、当然ながらあなたのような『ぽちっ』とボタンを押しただけの底辺神様には、一生理解できない恐ろしさでしょうけど?w"


神『ムカつくなぁ、こいつ』


ルミナ「それでは、ブチギレたカバ VS 勇者装備のただの男子高校生こと神斗きゅふんのバトルを実際に観てみましょうか」


ルミナの目がプロジェクターになり、

勇者神斗(神斗きゅふん)がカバと対峙する映像を投影する。


【瞬殺バトル開始】


神斗きゅふん「僕は勇者だ!この世界を救うのは僕だ!たとえ、どんな相手でも——」


ドゴオオオオオン!!


ルミナ「0.3秒目。カバ接近」


神『早っ!もう目の前に来てんじゃん!』


ガシャァァァァン!!


勇者の兜が空高く吹っ飛ぶ。

マントは紙のように引き裂かれる。


ルミナ「0.6秒目。前足粉砕」


ドゴォォォッ!!


ユニホーム破れ、短パン引き裂かれ、

スパイク片方20m先へ。


サッカーボールは牙でボリボリ。


神斗きゅふん「……そ、そんな……僕、勇者なのに……」


ルミナ「0.8秒目。完全沈黙」


カバがきゅふんを咥え上げ、地面に3回叩きつけ、

最後に頭から落として顎で胴体を軽く挟む。


神『骨の軋む音がエグいて!0.8秒で勇者終了じゃねーか!こんなんじゃ、田中(暑苦しそうな人)なんて更に瞬殺されるだろ!』


ルミナ「田中(豚野郎)は、田中のシャツに田中のスラックス、田中のベルト(合皮)、田中のホワイトソックス、田中の上履きです」


神『私物じゃね?それ全部私物だよね?なんでこいつ伝説の装備したみたいに誇らしい顔してんだよ。お前いつもの田中100%で死亡率100%だぞ』


ルミナ「続きまして、ブチギレカバ vs 田中(豚野郎)のシミュレーションです」


神『待て待て待て!神斗きゅふんが0.8秒で粉砕されたのに田中は大丈夫なのかよ!?田中率100%のあいつがカバに勝てるわけねーだろ!』


ルミナ「では、どうぞ」


【夜の校庭・街灯の下】


神『なんで無駄にシチュエーション凝ってんだよ』


ただの1年男子・田中(16歳)が、

汗をダラダラ流しながら立っている。


Yシャツはびっしょりでボタンはち切れそう。

グレースラックスは少し短め。


合皮ベルトは緩め。


黄ばんだホワイトソックスに、

底のすり減った黒い上履き。


対するブチギレカバ。


目真っ赤、牙剥き出し、

2トンの巨体を震わせて猛烈な鼻息。


神『うわ、田中マジで私服100%じゃん……勇者感ゼロじゃん』


カバが咆哮を上げて突進を開始した瞬間——


ドゴォォォン!!


ルミナ「0〜3秒。カバの猛突進」


神『来てる来てる!田中も吹っ飛ぶぞ!0.8秒コース確定——』


田中「コラァァァ!!!てめェェェ!!!」


神『……え?』


カバの頭が田中の腹に激突。


しかし田中は

わずかに後ろに下がっただけで耐えきった。


Yシャツのボタンが3つ弾け飛び、

汗が飛び散る。


神『嘘でしょ?……耐えたの?ただの田中が2トンカバの突進受け止めてんじゃん……』


20秒経過:暑苦し説教ラッシュ


田中はカバの頭を両手でガシッと掴み、

汗だくの顔を鼻先にギリギリまで近づけて

全力説教開始。


田中「てめェェェ!!!学校の校庭で暴れてんじゃねェェェよ!!!1年生の俺が言ってるんだぞコラァァァ!!!後輩がビビってるだろうがァァァ!!!ちゃんと並べよ!!!列に並べよ!!!」


神『うわぁぁぁ!暑苦しさがカバに直撃してんじゃん!カバが鼻ブンブンさせて怯えてる!しかもどっからどう見てもカバ一頭しかいないし!』


田中は合皮ベルトを外し、

カバの鼻に巻きつけて

全力で締め上げながら説教続行。


神『ベルトで締め上げてんじゃん!あれ合皮だぞ!安物だぞ!そんあんでカバって抑え込めんの!?』


32秒経過:カバ完全動揺


田中「てめェはカバだろうが!!カバはもっとおとなしい生き物だろうがァァァ!!!1年生の俺が許さねェェェ!!!」


神『カバが後ずさり始めてる!2トンの巨体がビビってんじゃん!田中の熱気と大声が強烈すぎて集中できないって……これが1年生の暑苦しさかよ!』


39秒経過:決着


田中が最後に全力でカバの鼻を締め上げながら頭突き3連発。


ドゴッ! ドゴッ! ズドォォン!!


カバの目が白くなり、

巨体がガクンと膝をついて横倒し。


結果:カバ死亡


田中「……ったく、暑苦しいな、お前も。1年なのにこんなに頑張らせるんじゃねェよ……」


神『なんで勝てんだよ!ただの暑苦しい田中が!そんで、なんで1年をそんなに強調してんだよ!神斗きゅふんが0.8秒で終了したのに、田中が39秒で勝利!?俺の創った異世界で何が起きてんだよ!』


ルミナ「田中はカバの10倍暑苦しいようです。豚野郎だからでしょうか」


【カバの回想シーン(感動BGM・ピアノと弦楽器)】


画面がセピア色に変わり、穏やかな湖畔。


子カバ「パパ……今日も人間の村の人が怖かったよ……」


心優しき村長カバ「大丈夫だ。俺たちが我慢すれば、いつか人間と手を取り合える日が来るさ……」


(カバの群れが森を大切に守り、傷ついた小動物を助け、綺麗な花を村の近くに植えて「人間が喜んでくれればいいな」と微笑む)


心優しきカバの母「人間の子供が迷子になっていたら、背中に乗せて村まで送ってあげましょう……牙なんか見せないで、優しくね」


心優しきカバの若者「俺、いつか人間と一緒に畑を耕してみたい……争いなんて、誰も幸せにしないよ」


神『カバ悪くないじゃん!なんでカバ○しちゃったの!?これもう取り返しつかないじゃん!カバと人間で永遠に争い続ける不毛なカバ歴史の始まりじゃん!』



心優しいカバ「えっ、わたしが勇者に……?」



神『増える勇者かよ。マジでどんな料理番組なんだよ』


ルミナ「勇者=人間とのルールはございません」


神『どうすんのよこれから。勇者vs勇者になっちゃうじゃん』


ルミナ「勇者はモンスターを倒すのが役割ですので」


神『いや、だからカバがモンスターだったんじゃないの?』


ルミナ「新・神様にはこのカバがモンスターに見えるのですか?」


神『それズルくない?こんな澄んだ眼で見つめて来る意思疎通できる相手に面と向かって、お前はモンスターだなんて言えないでしょうよ。そんなん出来たら、本当の意味でモンスターは俺の心の中に巣食ってるわ』


ルミナ「では、勇者3人で本当のモンスターとやらを倒しに行きましょう」


神『ルミナ、勇者カバのステータスを設定』


ルミナ「この戦いの原因を作った者こそが、本当のモンスターです」


神『いや、嘘でしょ?村人?村人を○しちゃうの?モンスターが巣食う村だったの?』


ルミナ「大丈夫です。この村には元々カス達しか居ませんので」


神『なんで?何の為にそんな村作ったの?』



【村人の悪人エピソード・怒涛の早送り】


・村長「ようし、今日もあの心優しいカバの群れを追い立てて、畑を荒らさせてから『お前らのせいで作物がダメになった!賠償だ!』って金と肉をむしり取るぞ!」


・村人A「カバの肉は美味いんだよな~。特にあの純粋な目をした子カバ。泣きながら逃げる顔が最高に興奮するわ。今日も家族ごと囲んで蹂躙してやるぜ」


・村人B「ははっ、最近来た勇者?あいつらカバの群れを守ろうとしてたけど、俺らがカバの子供を人質に取ったら一瞬で土下座しやがった。マジ無能だろ、勇者なんて。カバ共と一緒に嬲って遊んでやるよ」



神『うわぁぁぁ……マジでクズ村じゃねーか!心優しきカバ達を徹底的に蹂躙してんじゃん!カバの純粋な目を悪用して金と肉をむしり取るって……俺が作った村なのに吐き気がするわ!』


ルミナ「この村には元々カス達しか居ませんので」


神『だから、なんでそんな村作ったんだよ!』


ルミナ「新・神様が『ぽちっ』した結果ですが?それでは勇者3人(カバ含む)でカチコミに行きましょう」


神『待て待て待て!最終的に勇者パーティーが村人皆殺しする話になってんじゃん!俺が作った世界、完全にダークファンタジーじゃねーか!』


ルミナ「新・神様が望んだ世界です」


神『俺、そんなの望んでねーよ!ただカバが可哀想だっただけだよ!』

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