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【書籍2巻発売決定】可愛い双子の子育てと契約妻は今日で終了予定です【漫画カドコミ連載中】  作者: 氷雨そら


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魔術精霊主義派と魔力革新派 2


 子どもたちのお茶会は解散となった。

 参加していた貴族たちは、これからどう立ち回るべきか思い悩むような表情を浮かべ去って行った。


 ルードとリア、そしてウィルソン公爵令息のカールが、レティシアを囲んでいる。

 レティシアは、気丈に微笑んでいたが……まだ幼い彼女の心中はいかほどか。

 メリッサの胸はチクリと痛んだ。


 だが、フレデリカは曾孫を悪いようにはしないだろう。少なくともフレデリカがレティシアを見つめる視線は、慈しみに満ちている。


「「レティシアさん……」」


 ルードとリアが、心配そうにレティシアに声を掛ける。

 レティシアは、表情を変えることなく口を開いた。


「わかっていたことよ……。父は悪いことをしすぎたから」

「「……」」


 幼いレティシアは、ルードとリアの両親の死と自分の父が関係していることに気がついているのかもしれない。ルードとリアは、言葉を失ったように神妙な顔になった。


「レティシア!」

「フレッド……いいえ、第三王子殿下」

「――あの、その、なんて言ったらいいか」


 フレッドはそこまで言うと、泣いてしまった。

 曾祖母を同じくする彼らの関係は再従兄妹なのだ。

 きっと、幼いころから一緒に過ごすことも多かったのだろう。


「王家の一員たるもの、人前で泣くものじゃないわ!」

「うっ……ごめん……でも……」

「ああもう、仕方ないわねぇ……」


 本当はレティシアこそが泣きたいはずだ。

 けれど、号泣してしまったフレッドを前にレティシアは苦笑してハンカチを差し出した。


「――ありがとう」


 レティシアは、ルードとリア、そしてフレッドとカールに微笑んだ。


 * * *


 会場を離れる。馬車の中で、ルードとリアは静かに外を見ていた。

 フェリオは会場に残っている。

 三人きりの車中で、メリッサは何も言うことができなかった。


 ルードとリアにとって、フィアーレ公爵は父と母の仇だった。

 ようやく彼を捕らえ、これから余罪についても調査されることだろう。


「「……」」


 ルードとリアが、メリッサを見た。

 二人は席から移動して、メリッサにしがみついてきた。


「「お母さま」」

「なあに?」

「「ずっと、一緒にいてくれる?」」


 メリッサには二人の質問が、フェリオが帰ってきたあの日の馬車の中でのやり直しのように思えた。

 もちろん、これからもたくさんの出来事があるだろう。

 けれど、メリッサは今ならこれだけは自信を持って言える。


「一緒にいるわ!」

「「……っ、うん!!」」


 ルードとリアは、メリッサに抱きつく力を強めた。


「僕がず~っと守ってあげるね!」

「私もず~っとず~っと守ってあげる!」


 二人はまだ幼い。いつかメリッサの元から巣立っていくのだろうが……。

 それでも、可愛い双子と幸せに暮らす日々はまだ続くに違いない。


 今日の出来事を語り合うには、まだ気持ちを整理する時間が必要だろう。

 だから、メリッサは今はただ双子のことを強く抱きしめ返した。


 * * *


 フェリオが帰宅したのは、真夜中だった。


「お帰りなさいませ」

「ああ……ルードとリアは」

「眠っています」

「……そうか」


 フェリオとメリッサは、談話室へ移動した。

 ソファーに座ると、フェリオが重い口を開く。


「本当は、今日のお茶会で第一王子殿下とフィアーレ公爵令嬢の婚約が発表されるはずだった」


 先日、フレデリカに招かれたときレティシアも王城に来ていた。

 それは恐らく第一王子と会うためだったのだ。


 現国王陛下には、三人の御子がいる。

 第一王子と第三王子の母は側妃、第二王子の母は正妃だ。

 本来であれば、正妃の子どもが王太子となる。

 しかし、第二王子フレッドは魔力がない――その事実は、王立学園の入学時の魔力測定式ですでに明らかになった。

 このため、誰が王太子になるかはいまだ不透明だ。


「以前であれば第二王子殿下が王太子になることはなかっただろう。だが、変わるかもしれないな」

「ええ、そうかもしれませんね」


 今回の出来事で、魔術精霊主義派の力は大きく削られ、フレデリカを中心とした魔力革新派が勢力を広げることだろう……。


 メリッサはフェリオを見た。

 彼はこの王国で誰よりも強い魔力を持ち魔法を行使することができる。

 それでいて、魔法の恩恵をすべての国民が受けるべきだと考える魔力革新派の中心人物でもある。


 魔力中心から魔道具中心に時代が変わるというなら――。


 彼の表情には、何の感慨も浮かんでいない。

 未来は変わるのかもしれない、けれど――彼はまだきっと、戦い続けるのだ。


「魔道具がもっと広まり、ルードとリアが戦わなくて済むようになればいい」

「――フェリオ様も、老後はのんびりできるかもしれませんよ」


 フェリオは軽く目を見開いたが、そのあとすぐに笑みを浮かべる。


「考えたことはなかったが、君が隣にいるなら……そんな未来も悪くない」


 メリッサも微笑んだ。

 家族揃って過ごす日々は、きっと明るいものだろう。


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