41、クリスマス
クリスマスになった。
フローレス家とロージーは教会のミサに出かけた。
「今日は、大勢の人が集まるでしょうね」
「ええ、お母様」
ベティは母親に笑顔で答えた。
「ロージーも知り合いに会うかも知れませんね」
「……はい」
ロージーは浮かない顔をしていた。
馬車が教会に着いた。教会にはもう多くの人が集まっている。
「やあ、これはフローレス様」
「こんにちは、コールマン様」
父親とコールマン子爵が挨拶をしている。
「こんにちは、ベティ様」
「こんにちは、クライド様」
「ロージーさん、こんにちは」
「……こんにちは、クライド様」
ベティ達は一通り挨拶を終えると、教会の中に入った。
「おい、ロージー! 久しぶりだな」
「あ、バーニー。久しぶり。元気だった?」
「ああ。それにしても、良い服着て馬車に乗って、いい気なもんだな」
バーニーと呼ばれた少年は修道院の服を着ていて、その首には赤いマフラーが巻かれていた。
「ロージー、施す側に回った気分はどうだ? 気分が良いか?」
バーニーは首のマフラーを握りしめて、嫌な笑みを浮かべた。
「え!?」
ロージーはバーニーの言葉を聞いて、固まった。
「俺、見たんだよ。この前の朝、お前とベティ様が門の所にマフラーを置いていくのを」
「……」
バーニーは冷たい目でロージーを見つめてから、慇懃な態度でお辞儀をした。
「ありがとうございます、ロージー様」
「やめてよ、バーニー。友達じゃないか!」
ロージーが寂しそうな表情で言うと、バーニーは答えた。
「もう、ここに関わるのは止めろよロージー。自分のためにならないぜ」
「え? そんな……」
ロージーが狼狽えていると、ベティから声がかけられた。
「ロージー、前の方へ行きますよ」
「ほら、ご主人様が呼んでるぜ」
ロージーはバーニーの方をチラチラと見ながら、ベティの元に走って行った。
「私も、あんな風にベティ様のことを見ていたんだっけ……」
ロージーはベティの顔を見上げた。
「どうしました、ロージー? 何か言われましたか?」
ベティは優しく微笑んでいる。
「いいえ、ベティ様」
ロージーは鼻の奥がツンとするのをこらえて、ベティに笑顔で返事をした。




