39、皆にプレゼント
ベティとロージーは孤児院を出ると、町の手芸店に寄った。そして、十人分のマフラーを編むために、赤い毛糸を山のように買い込んだ。
ベティは店を出ると言った。
「ロージーが居て良かったですわ。こんなに沢山の毛糸は、一人では持ちきれませんもの」
「そうですね」
ベティもロージーも沢山の毛糸が入った袋を両手に提げている。
二人がフローレス家に帰った。ベティは早速マフラーを編み始めようとしたが、その前にロージーに尋ねた。
「ロージーは編み物は出来るのかしら?」
「いいえ、ベティ様。私は編み物はしたことがありません」
ロージーはそう言って、ベティを見つめた。
「それでは、私が教えて差し上げますわ。一緒にマフラーを編みましょう。一人では編みきれませんもの」
「……ありがとうございます」
ベティは部屋の棚の中から古い編み棒を取り出すと、ロージーに渡した。
「これは、私が子どもの頃に使っていた編み棒です。よかったら、貰って頂けますか?」
「ありがとうございます」
ロージーはベティから編み棒を受け取ると、不思議そうにそれを眺めた。
「それでは、マフラーの編み方を教えて差し上げますわね」
「はい、お願いします」
ベティとロージーは居間に移動して、沢山の毛糸を机の上に置いた。
「毛糸を針に絡めて……そうそう、上手ですわ。ロージー」
「意外と楽しいですね」
ロージーはそう言いながら、ベティに教わったとおりにマフラーを編み始めた。
ロージーの手が止まる度に、ベティは丁寧に毛糸の編み方を教えた。
「それにしても、どうして赤色の毛糸を選んだんですか? ロージー?」
「じっちゃんは、赤色が好きだったから……」
「そうですか……」
二人はその後、黙々とマフラーを編み続けた。
しばらくして、夕食の時間が近づいた頃にベティが言った。
「来週には、皆にお揃いの赤いマフラーがプレゼント出来そうですね」
「……はい」
「マフラー編みは、明るい時間に一緒にやりましょう。ロージー」
「分かりました」
二人は居間の片隅に大きなかごを置いて、その中に毛糸と編みかけのマフラーをしまった。
「皆、喜んでくれるかな……?」
ロージーは毛糸の山を見つめながら、呟いた。




