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22、お茶会の行方

 クライドの案内で、テラスに行くと席が三つ用意されていた。

「ロージーさん、少しお話ししましょう」

 クライドの目は冷たく光った。


「ベティ様からは厳しいことは言われないでしょうから、僭越ながら申し上げたいことがあります」

「……クライド様がそうおっしゃるのなら、私も伺いますわ。ロージー良いですね?」

 ベティの問いかけにロージーは硬い表情で頷いた。

「私に拒否権はありません」


「まず、お知らせですが、修道院の牧師のアーロン・シモンズ様が亡くなったそうです」

「え!? じいちゃんが!?」

 ロージーは驚きのあまり立ち上がってしまった。


「ロージー、座って下さいませ」

 ベティに促されて、ロージーは椅子に座り直した。

「嘘でしょ? だって、まだまだ元気だって言ってたのに……」

 ロージーは空を見つめて、呟いていた。


「そしてシモンズ様は、ロージーが貴族社会の労働者として生きていけるかを心配していたそうです」

「まあ、そうでしたの……」

 ベティは顔を扇子で隠して、俯いた。


「ロージーさん、貴方はベティ様のお屋敷でこれからの生活を送ることになっていますが、帰る場所も無くなったと言うことです」

「……」

 ロージーは静かに涙を流しながら、クライドを睨み付けた。

「ロージーさんの振る舞いは、フローレス家の評判に直結します。一刻も早く、良い召使いになれるよう努力して下さい」


 ベティは首を振った。

「クライド様、今はまだ、心の傷を癒やす方が先ですわ。ね、ロージー」

「ベティ様、貴方には私の気持ちなんて分かりません」

 ロージーはポツポツと話し続けた。


「アーロンのじっちゃんは、スラムで一人きりで暮らしてた私を助けてくれたんです。いろんなことも教えてくれました。神様はいるって言ってたのに、こんな仕打ちするなんて、神様なんて嘘っぱちだ……」

 ベティは複雑な表情を浮かべていたが、席を立つとロージーを抱きしめた。


「ベティ様、貴方は偽善者だ」

 ロージーは涙を流したまま、ベティを冷たい目で見た。


「偽善でも構いません。今はこうさせて下さいませ」

 ベティはロージーの心の内を思うと、やるせない気持ちになった。


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